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星に願いを

 7月7日の本日は、七夕です。

 異世界である〈レティスリール〉には、そんな習慣はないのだろうな……と、すこし寂しく思っていた。

 しかし、お店の入り口から一歩街へ足を踏み出せば、そこにはたくさんの笹と短冊。



「すごい、こんなにたくさん……! 昨日は、笹なんてまったくなかったのに‼︎」

「あぁ……七夕だからね。ひなみ様の世界にはなかったの?」

「うぅん。あったよ、七夕! だから、同じ習慣があることに驚いてる」



 いったい短冊にはどんな願い事が書いてあるのだろう。

 見たい気持ちを抑えながら、私もお店に笹を飾らないと……!



「イクル、うちのお店にも笹を……ささっ‼︎」



 振り向いて、後ろにいるイクルを見ればその手には小さな笹が握られていた。

 いつの間に用意をしてくれたのだろうと疑問に思いながら、私は素直に「ありがとう」とお礼を伝えた。



「あと、短冊はこれね」

「うん! みんな、どんな願い事を書いてるんだろう」

「願い事?」

「え?」



 七夕って、お願い事を書いて、織姫と彦星に叶えてもらう日ではないのだろうか。

 もしかしたら、レティスリールの七夕は日本のそれと違うのかもしれない。

 さらりと概要をイクルに説明すれば、呆れた顔で「おき楽なお祭りだね」と言われてしまう。

 まぁ、確かに日本はレティスリールと違って平和だ。魔物もいないし、科学という便利な力もある。

 でも、人はレティスリールのほうが優しいかなとも思う。何か困れば、誰かがではなくて……みんなが助けてくれる。ここは、そんな世界。



「レティスリールの七夕は、自分が成し得たことを書くんだよ。例えば、ひなみ様だったら……この店をオープンした、とかね」

「達成できた目標とか?」

「そう。自分はこんなに頑張りましたよって、短冊に書いて女神レティスリールに見てもらう。そして、早く帰ってきてくれと祈るんだ」

「レティスリール様への、メッセージ……」



 どこまでも、この国の人に愛されているんだ。

 女神、レティスリール様。私はこんなに頑張っているんです、だから安心して帰ってきてください。そういうことなのだろう。

 日本とはまったく違う七夕活用法に、少し恥ずかしいと思ってしまう。



「それなら、私も……レティスリール様に短冊を書くね」

「まぁ、好きにすれば」



 それにきっと、願い事を書き綴った自分本位の短冊よりも、誰かのために願う短冊のほうがきっと素敵だ。



 それから、リグ様にも短冊を書いていいだろうか。

 2枚の短冊を取り出して、それぞれに想いを綴っていく。

 そして、この世界が幸せでいれますようにと。

ただの、レティスリール七夕事情になってしまった……(´・ω・`;)

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