シンシアとキルトの華麗な日常
canさんにリクエストいただきました!
シンシアとキルトの華麗な日常
ですが、まったく華麗ではありませんでした。
悪あがきとして最後の方に優雅さを入れてみようと失敗しました。
およよ。。。。
リクエストありがとうございました!
視点:キルト
咄嗟に身を翻して、僕はシンシアお嬢様の前へと立つ。
それから目の前にいるハードウルフを睨み付けて、剣を構える。
背後にいるお嬢様が詠唱しているのを聞き、あと少し防ぎきれば問題はないと判断する。
「お嬢様、今ですっ‼︎」
「ええ! 《灼熱の嵐》‼︎」
さっとハードウルフから大きく左へとジャンプをすれば、その隙を狙ってお嬢様の魔法がハードウルフを襲う。燃え上がった炎は一瞬で焼き付くし、ハードウルフを消し去った。
「やった……! ふぅ。耐えてくれてありがとう、キルト」
「いいえ。お嬢様のタイミングがよかったからです」
「そんなこと。でも、お兄様に追いつくにはまだまだね……」
少し寂しそうに笑うお嬢様。
兄であるアルフレッド様に追いつこうと、お嬢様は日々努力をされている。それに加えて、淑女としてのマナーなども勉強されている、大変努力家のお嬢様です。
僕も力になってあげたいけれど、できることはそう多くない。
そんな僕は、シンシアお嬢様の呪奴隷になれたことを、光栄に思う。自分も努力をしないといけないと思うし、お嬢様をしっかり護れるよう強くなろうと誓った。
「今日はここまでにして、街でお茶をして家に帰りましょう?」
「はい、お嬢様」
ぱたぱたとローブについたほこりを払いながら、街へと向かう。
ここはひなみ様の家がある迷いの森の手前。ハードウルフやスライムが生息する初心者向けの森。あの時はかなりやばいと思ったけれど、ひなみ様の回復薬で無事に乗り切ることができた。
前衛術師なのに、魔術師であるお嬢様に怪我をさせてしまうなんて……護衛の呪奴隷しっかくだ。
帰り道は、今以上に気を引き締めないと。
「もう、キルトは気を張り過ぎよ?」
「いえ。僕も、強くなりたいですから……!」
「……そうね、一緒に頑張りましょう」
そう言って、とびきり可愛い花がほころぶような笑顔を見せてくれる。
その度に、強くならなければという焦燥に駆られる。
……でも、一緒に強くなっていきたいとも、そう思うのです。
◇ ◇ ◇
「もう。キルトも一緒に座って食べたらいいのに……」
「いいえ。僕はお嬢様の呪奴隷ですし、街の中では護衛でもありますから」
カフェのテラス席に座り、紅茶を飲むお嬢様。その仕草は洗礼されていてとても美しいなと思う。
狩りの帰りにお茶をされることはよくある。服が汚れているからと、いつもテラス席に座られる。人を気遣うということができるお嬢様には、いつも関心させられる。
自分であればそんなことを考えもせずに店内に入ってしまうだろう。ここが冒険者が行くような食堂ではないから、ということもあるかもしれないけれど。
お茶をするお嬢様の後ろに立ち、何かあればすぐに対応できるようにする。これも冒険者としての修行になるし、お嬢様の後ろに使えることができるので……実は少し気に入っているポジションでもある。
「……ふぅ。少し疲れちゃった。体力もつけたほうがいいかしら?」
「お嬢様はそのままでいいのでは? 魔術師ですから」
「うーん……でも、長距離の移動とかがあったら辛いじゃない? お兄様だって、小さいけれどしっかり鍛えているし」
どうしようと考えるお嬢様を見つつ、周囲にアルフレッド様がいないかを念のため確認する。いくら溺愛されているお嬢様といえど、アルフレッド様に“小さい”は禁句です。
辺りにそれらしき人がいないことにほっとしつつ、お嬢様がムキムキマッチョになってしまうようなことだけはなんとしても阻止しようと思います。
お願いですから、そのままのお嬢様でいてください。
アルフレッド「……む」
ひなみ「どうしました?」
アルフレッド「今なにか悪いことがあったような……」
ひなみ「?」
アルフレッド「いや、きっと気のせいだろう」
これにてリクエストいただいた小話はすべて終了です!
皆様ありがとうございました。
私なんぞにリクエストをいただけて、とても嬉しかったです。
たぶん全部書けたはず…です!
がっ! もし、自分のまだだけどという方いらっしゃいましたらご一報ください。




