リグリスの観察
まささんより
リクエストいただきました。
神様が 彼女の様子を見て 一喜一憂をしている 様子
です!
しかし見ているだけではすまなかった様です…すみません。
リクエストありがとうございました!
「あぁもう、ひなは可愛いなぁ…」
どこからかもれた声は、とても自然であった。とは言え、発生源は自分の口であるのだけれども。
ひなが〈レティスリール〉へと行ってから約1年と少し。現在は一歩も外へでず、箱庭でのみ生活をしている。
もう日課となっている〈レティスリール〉鑑賞をしていれば、畑に実った野菜を収穫しているひなが見えた。
「あ、また軍手つけるの忘れてる… 可愛いひなの手が傷付いたらいけないから、ちゃんとつけるように言ったのに」
あっ! しかも今度は素手で土を掘ってる!? 種を1個まくだけだから、農具を取りに行かなかったんだろうな…
自分は女の子だっていう自覚が足りないよね、ひなは。
今度は鶏と庭で走り回って…あ、転んだ。
それでも何か楽しいのか、鶏へ笑顔で話しかけているひな。
あぁ、その笑顔は俺に向けて欲しいのにな…
「でも、まぁ。箱庭にいる分には安全だからいいけど…」
安全、なのだけれども。
それでは、俺の計画に差し支える。ひなには〈レティスリール〉で強くなって貰わないといけない。そうしないと、ひなを迎えに行けないし… っと、ひなの様子がどこかおかしい?
あぁ、草の上でお昼寝してる。横では鶏も一緒に寝ているし、なんだか楽しそうだなぁ。
日差しは出ていて暖かいけど、風邪をひいてしまう可能性もあるかなぁ。
ふわり。
「風邪をひいたら、いけないからね」
ひなの横へ転移して、そっとブランケットを掛ける。
「1年ぶりの生ひなだ」
悪戯心から、少し頬を触れば、なんとなしにひなが手にすり寄ってくる。あぁもう、可愛い。
「しかし、あんまりこっちにいる時間も無いんだよなぁ…」
そしてひなが起きたら絶対に帰りたくなくなるから、起きる前に帰らないと。
「んぅ…」
「ん、ゆっくり寝てなね?」
少し動いたひなの頭を撫でて、まだ寝ているように促す。農作業をする為に三つ編みにされた髪が可愛くて。しかし、髪を結っているのは簡易的な黒ゴム。そっと猫がモチーフの髪ゴムへと変えてみる。起きたら驚いてくれるかな?
「あ、そうだ。ひなの横に軍手も置いておこう」
100セットくらい置いておこう。
こないだホームセンターで買った軍手をひなの横に置いて、さらに小さめのスコップも置いておく。
「ん、これならちゃんと使ってくれるかな?」
生ひなは名残惜しいけれど、そろそろ帰らないといけない。ひなの頬にひとつ口付けて、俺はその場を後にした。
「あ、やっと起きた。」
あれから2時間。ひなが目を覚ました。
自分に掛けられたブランケットを見て、頭にハテナを浮かべるひなが可愛い。
その日の交換日記には、ブランケットと髪ゴムと軍手とスコップのお礼が書かれていた。