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謎の回復薬

せくらさんからのリクエストです!


何個かあったのですが、とりあえずあまりないパターンだったので下記に……!笑


イクル君とひなみちゃんのらぶらぶ話



ちょっとらぶらぶとは違う感じになってしみましたがいかがでしょうか。

リクエストありがとうございます!

「あ、こんなところに……あったんだ」

「ん? どうかしたの?」



 倉庫をごそごそとあさっていれば、すっかり記憶から消し去られていた回復薬(ポーション)が1つ。



「……初めて見る形の回復薬(ポーション)だね」

「うん。これ1つしかないし、私も効果は分からないんだよ」



 そう、ここ〈レティスリール〉に来てから街に行くまでの2年間。その間に、偶然できあがったのがこの回復薬(ポーション)だ。

 薬草やら草やらをいっぱい置いているところで、スキル天使の歌声(サンクチュアリ)を使っていたところ……体力回復薬(ハイ・ポーション)の中に1つだけ混ざっていたのがこれ。

 ピンク色の液体が入っていて、瓶には小さなハートがひとつ模られている。

 一応、名前は付いているのだけれども。



 夢色の回復薬(ドリーム・ポーション)

 一時の幸せをあなたに



 正直怪しくて飲む気にもなれないというか、なんというか。

 イクルも隣で「初めて見た」と言いながら夢色の回復薬(ドリーム・ポーション)を覗き込んだ。具体的な効果が書いていないし、どうしようか考えて倉庫の奥深くにしまっておいたのだ。



「うーん……まぁ、怪しいけど効果を信じるのであれば別に悪いことは起きなさそうだけど」

「そうなんだよね。でも、なんとなく飲みにくいっていうか、偶然できたものだし……」



 材料もわからないし、ここから成分を分析することも不可能だし。今ならイクルもいるし、いっそ飲んでしまおうか。

 おそるおそる瓶のふたを開けて、匂いをかいでみる。うん、無臭だ……!! どきどきしながらそっと口を付けて、一口だけ飲むと。



「うわ、すごい……甘くて、あとはなんだろう。お酒っぽい気もするけどアルコールっぽさは感じないかなぁ?」

「ふぅん? 飲んでみてもいい?」

「うん、いいよ」



 イクルも気になっていたようで、夢色の回復薬(ドリーム・ポーション)を渡す。私がひとくち飲んだけど、半分以上は残っている。



「ステータスに変化はないかなぁ。私よりも、イクルの方がステータスも高いし魔法も有るから効果がでるかもしれないね」

「うーん……確かにそれも一理あるけど」



 言うや否や、イクルはためらいもなく喉をならして夢色の回復薬(ドリーム・ポーション)の残りを飲み干した。さすがイクル、いさぎよい!

 何か変化はあるかなーとそわそわしながらイクルを見るが、別段表面的に変化は見られない。

 そう、思っていたのだけれども。



「……ひなみ様」

「いく、る……っ!?」



 瞬間。

 ぎゅっと、イクルの腕に抱きしめられた。



「どうしたのっ? どこか、身体がおかしくなったとか……?」

「……違う。ひなみ様」



 なんとなく熱のこもったイクルの声が、私の耳をくすぐる。本当にどうしたのだろう、アルコール成分的なものが強くてふらついてしまたのだろうか。



「ひなみ様、可愛い……」

「……………………え?」



 え? え? え??



「えっ?」



 これは、何事か……!

 イクルに手を取られて、倉庫からリビングへと移動をする。いったい何があったのか、まさか夢色の回復薬(ドリーム・ポーション)は惚れ薬的なものだったのではないだろうか。

 そう考えて、イクルは大丈夫か不安になる。確か効果は一時とあったから、すぐに元のイクルにもどるとは思うけれど。



「ひなみ様、夕食の買い物に行こう?」

「あ、うん……それはいいんだけど、イクル大丈夫?」

「別にいたって普通だけど」



 いつもの呆れ顔で言うイクルに、あれ、いつも通りだと思いつつ気付いたら一緒に家をでていた。

 ナチュラルに繋がれた手に、イクルの細くて綺麗な指が絡められる。こ、これは恋人繋ぎというやつだ! ちょっとどきりとしつつ、後で正気にもどったイクルがどういう反応をするかと思うと若干気が重くなる。



「ええと、イクル? その、恥ずかしいんだけど」

「別に、周りなんて気にしなくて大丈夫だよ」

「いや、気にするんですけど……」



 絶対にあれは惚れ薬的なものだと思って、しかし私への好意的なもの以外はいつも通りのイクル。どうしようか対応に困るというか、なんというか。

 恥ずかしくて、繋いだ手から、指から熱が込み上げてくるのを感じる。



「ほら、ひなみ様。今日は何の肉にするの?」

「あーっと…… 鶏肉で」



 野菜と卵は庭で採取できるので、買うのはほぼ肉。あとは魚。今日の夕飯はお肉料理なので、肉のみを買うのが今日の買い物なのです。

 あっさりと終わってしまったなぁと思えば、イクルが不意に雑貨屋へ足を運んだ。

 ……イクルが雑貨屋さんに入るなんて、珍しい。何か入り用なものがあるのかな? イクルだから、お風呂用品とかだとわりと納得してしまうかもしれない。

 続いてお店に入れば、イクルが髪飾りを1つ持っていて、私の頭へとつけた。



「え……?」

「ひなみ様は髪が綺麗なんだから、アクセサリーとかをもう少し持っててもいいんじゃない?」



 きょろきょろと店内を見渡して、気になる物があれば私の髪へとかざす。イクルがアクセサリーを選んでいるなんて、すごく不思議な感じがする。

 でも、なんだろう。ちょっと嬉しいというか、優越感というか。



「うん、これがいい。ひなみ様どう?」

「あ、うん。すごく可愛いけど……」

「そう、よかった」

「……っ!」



 私が肯定の言葉を口にすれば、イクルが嬉しそうに微笑んだ。

 その笑顔が、すごい柔らかくて、その……すごいどきどきしてしまう。そのままイクルがお会計をして、買った髪飾りを私の髪へとつけてくれた。

 それからまた手を引かれて、私とイクルは散歩をしながらゆっくりと家に帰った。道中はどきどきしっぱなしで、もう心臓が止まるかと思った。だってイクルはイケメンさんだし。

 それに、彼氏とかいたことがないのでこんな経験は初めてというか。

 この一時の幸せって、誰にたいしてなのか。様子が変わってしまったイクルなのか、私もひとくち飲んだから含まれるのか。うぅん、謎です。

 でも、たまにはこんな日があっても楽しいかもしれない。いや、イクル的には非常に大変な日になってしまっただろうけど。



 イクルが元にもどったのは、夕飯の途中だったとだけ……言っておきましょう。

ロロ『ひなみとイクルが手をつないで歩いているぽ……!』

モモ『わ! 2人は恋人同士なんですか?』

ロロ『違うはずぽ……?』

モモ『これはシアさんと作戦会議をする必要があります! お兄ちゃん、私今日は帰らないからっ!』

ロロ『モモ!? 待って、帰ってくるぽ〜〜〜!!』

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