体力草があまっています……
あきすてさんより
リクエスト頂きました。
生産関係・購入した人の話
すみません、オネェは出ませんでした……
そしてなんとなく回復薬を作るお話になりました!
いかがでしょうか……おろろ。
リクエストありがとうございました!
ふぅ。少し背伸びをして、深呼吸。
私は体力草でいっぱいになったお鍋の横に座り、気持ちのいい風を感じた。
先ほどまで降っていた小雨が小さな虹を作り、ファンタジーな庭がさらなる幻想世界へと変わった。
回復薬を作ろうと体力草を摘んだのはいいが、正直倉庫がいっぱいです。
お店……ひなみの箱庭で売るといっても、それは微々たるもの。どう考えて私の生産速度のほうが早い。かめとうさぎよりも差があるのではないだろうか。
「でも、回復薬を作らないとポイントがゲットできないし……」
倉庫を広くしちゃえばいいかなぁ?
でも、それはそれで大変そう。ポイントも貯めて、箱庭の扉2号を設置したいし。
「とりあえず、作ってから考えてもいいよね!」
最近はポイントの高い姫の加護薬などをメインに作っていたけれど、気づけば庭に体力草があふれかえっていた。これはなんとかせねば! と、とりあえずは体力回復薬を作ることにした。
お鍋いっぱいの体力草をもって、家に入る。そのままキッチンで体力草の上から水を入れて、地下室へ行こうとして……ふらついた。
「何やってるのさ……」
「ナイスアシストだよ、イクル!」
お鍋の重さでふらついて、倒れそうなところをイクルが後ろから支えてくれた。そのままお鍋を取り上げられて、地下室へと降りて行くイクル。
まだ何も言っていないのに、イクルは私のしたいことなどお見通しのようだ。
可愛いレンガの階段をくだり、イクルに追いつけばすでに瓶まで用意してあった。「作るんでしょ?」と言われて、こくこくと首を縦にふった。
「運んでくれてありがとう。助かったよ、イクル」
「これくらい、いつでも言えばいいよ」
「うん、ありがとう。じゃあさっそく……天使の歌声!」
イクルにお礼を言って、目の前の体力草・水・瓶に向かい天使の歌声を唱える。
とたんにふわっと光り輝き、私とイクルの前にはハートを模どった可愛い瓶があらわれた。もちろん、中身は緑茶味の体力回復薬です!
倉庫にちらばった体力回復薬をイクルが丁寧に袋へしまい、まじまじと見ていた。
「ひなみ様のスキルは、あいかわらず凄いね……」
「そうかな? でも、このスキルが無かったら私はどうなっていたことか。神様には本当、感謝だよ〜」
へへと笑いながら、イクルを手伝って一緒に瓶をまとめていく。
そしてまた体力草を摘み、体力回復薬を作るのです。え? 倉庫が一杯? うぅん、気にしてはいけません!
「という訳にもいかないよなぁ……」
「ん? どうしたのさ」
「いやー 倉庫がいっぱいだし、お店で売る数は決めてるし……在庫がいっぱいすぎるなと思って」
「あぁ、そんなことか。自分で使うか、いっそ教会に寄付するか」
寄付とな……?
イクルのそんな言葉に、私はなんだか妙にすんなりと納得することができた。
「確かに! 教会って、怪我を治してもらったり、死んだときに生き返れるところだよね!」
「死んだらそのままだよ。生き返ったりしない。ひなみ様の世界は生き返るの?」
「あああぁ! ごめん、違う、何でもないの。でも、何で教会?」
おっといけない。ゲームの話が現実と混ざってしまったようだ。よく花が教会で生き返っていたから、なんとなくそうなのかなと思ってしまったのですよ。そんな訳ないのにね。
そうなると、純粋に怪我をしてきた人用……かな?
「教会は孤児……親が亡くなったりした子の預かりもしてるんだよ。そんなに数が多い訳じゃないけど、魔物がいるから多少はね……」
「あぁ、そういうことか。その子達に、ってことだよね。うん、いいね、そうしよう! 大賛成だよ!」
日本でもそういう施設はあったもんね。とはいえ、関わったことがないから詳しくはわからないけれど。
あまり高価な回復薬……例えば深紅の回復薬などをあげるのは逆に気を使われてしまいそうだし、体力回復薬でも効果は十分だし、深紅の回復薬より気楽に渡せそうだしいいね。
さて。思い立ったが吉日ですよ!
「よし行こう、すぐ行こう!」
「ちょ…… ひなみ様って無駄に行動力あるよね」
「そんなこと! でも、いいことじゃん!」
ぐいぐいイクルの腕をひっぱる私にやれやれという顔をしながらも、きちんとついて来くれるイクルが優しいと思う。
さぁ、今日も忙しいですよ!




