表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/171

第五話 -9

「ナミクーチカのやつ、やる気ないわね……」


テマリアがぼそっとつぶやいた。

その隙を狙って、かなめが突進。テマリアはギリギリで大剣を避けた。


「あぶなっ!こっちはやる気まんまんかよ!」


「……!!」


刃を返し、追撃。


「そんなスピードじゃ当たんないよ!」


かなめの連撃を、岩壁や天井も使って縦横無尽に走り回って避けるテマリア。その表情からは余裕がみえる。


「はぁ……はぁ……」


「もうバテたの?んじゃそろそろ反撃行こうかな」


テマリアがにやりと笑い、走る。

それを見たかなめは、


「はああああっ!」


地面に大剣を突き刺した。

一瞬ではあるが、地震が起きたかのように洞窟全体がゆれる。


「今さら何をしようと、わたしのスピードにんぎゃっ!!」


テマリアの動きを止めたのは、拳ほどの大きさの岩。それが天井から崩れ落ちたのだ。


「……むやみに剣振り回してたわけじゃない」


かなめのその言葉が、目をまわしているテマリアに届いたかどうかは怪しい。


かなめも出口へと走る。




「おらおらぁっ!」


白宗の斧、影猿。

オロチの剣、戒。


ぶつかり合う音が次々と洞窟内に響く。


「パワーは十分。スピードもなかなかだ。やるじゃないか」


オロチが距離をとる。


「ずいふんと余裕だな!木火土金水すべての力を手に入れた今、五行ではてめぇと同等だ!気合い入れねぇと本気出すまえに終わっちまうぜ?」


「同等、ねぇ……」


オロチが左手を白宗に向けてかざす。手のひらに光球が現れ、


「ぐああっ!」


次の瞬間には、白宗の身体は宙に浮いていた。

数メートル飛ばされ、地面に叩きつけられる。


「ぐっ……なんだっ!?攻撃が見えなかった……!」


白宗が起き上がるまえに、オロチはすでに接近。大剣の切っ先を白宗に突きつけた。


「どうした?本気出すまえに終わっちまったぜ?」


「くっ!油断したか……!」


「油断じゃねぇよ。そもそも、同等だと思うこと自体が間違ってる。たしか、人間共はランク付けしていたな。おまえは……ランク6か。それに当てはめれば、オレはランク7か8だ」


「6以上なんてありえるかよ」


「人間はな」


「……てめぇ、自分が人を超えた存在だとでも思ってんのか?」


「ああ。オレは神だ」


オロチが大剣を振り上げ、下ろす。

避ける隙もなく、白宗は真っ二つに……なるはずだった。


六角形の青いガラスのような盾が、白宗を守った。五行で作られた盾だ。


「これは……」


オロチの目が、出口付近に立っている陽芽を捉える。


「なかなか上等な盾だな。そんな術が使えるようには見えんが……」


陽芽の手を見ると、黒い勾玉があった。


「玄武の勾玉か」


「……っ!嬢ちゃん、逃げろっ!!」


白宗が叫ぶ。が、オロチはすでに陽芽へ向かっていた。


オロチを止めようと、盾を連続で作り出す。が、


「時間稼ぎにもならねぇよ!」


オロチはそれを軽々と切り裂き、あっという間に陽芽の目の前へ。


「嬢ちゃんっ!!」


「……っ!?」


陽芽が悲鳴を上げるまえに、オロチの大剣が降り下ろされる。


とっさに目をつむる陽芽。


痛みはない。ただ……静寂があった――


「……?」


そっと目を開ける。


目の前にはオロチの大剣。それがギリギリで止まっていた。


それを止めたのは――オロチ自身。


「……おまえ……は………」


陽芽の顔を見て、オロチが目を見開いている。


「くっ……」


オロチが距離をとった。

チャンスとばかりに、白宗が陽芽のところへ駆けつける。


「大丈夫か、嬢ちゃん?」


「うん……」


ちょうどそこに、巧とかなめも走ってきた。


「二人とも!地上へ!」


巧の声で、白宗と陽芽も走る。


最後尾を走るかなめが、足を止めて振り向いた。


「巧の救出成功……ボク達の勝ちだ」


そう言って、かなめはまた走り出した。


「このっ……ふざけやがって!」


目をさましたテマリアが追う。


「いや、いい……」


が、オロチがそれを止めた。


「なんでよ!追いつけるよ!?」


「………」


「……オロチ……?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ