第五話 -7
そのとき、
「巧っ!」
声と同時に、大剣『界斬刀 囲』を構え、少女が突進してきた。
「かなめっ!」
気付いたオロチが、かなめの方へ剣を振る。
かなめはそれを自分の剣で受け流し、うまく巧のそばに着地した。
「ケガは…?」
「大丈夫」
「よかった」
ホッとした表情を見せるかなめ。
「あれ?けっこうエネルギー吸いとったはずなんだけど……もう回復したの?」
かなめを見て、ナミクーチカが話しかける。
「セクシーナース……」
「あたし、ナミクーチカって名前だからね……」
「エナジードレイン能力……?」
「当たり~。もう一回、今度はもっと吸いとってあげるわ」
かなめが周囲を見渡す。
オロチ、ナミクーチカ、テマリア……
「巧、ボク達に勝ち目はない。逃げることだけを考えて」
「わかった……!」
出口の方向にはオロチ。
かなめは迷いなくオロチへと向かっていった。
二本の大剣がぶつかる。
「威勢がいいな。だが、たった一日で何が変わる?」
「今日は、勝つ」
「三人相手にできるのか?」
「こっちも一人じゃない」
「……!!」
オロチがとっさに後ろへ下がる。
一瞬遅れて、先程までいた場所が炎に包まれた。
「援軍か」
オロチが後ろを振り向く。
そこには白宗と、後ろに隠れる陽芽がいた。
「よう、オロチ。久しぶりだな」
白宗が話しかける。
「あ?……知らねぇな」
「七年前の討伐作戦、忘れたとは言わせねぇぞ」
「……あぁ、あれか。つまらねぇ遊びだったぜ」
「言ってくれるじゃねぇか……!」
「生き残りか?何しにきた?」
「ちょっと野暮用でな。ついでにおまえを……殴りにきた!」
白宗が気を練る。『金』の気。
それを『水』に変換。さらに『木』、『火』、『土』と変換し、もう一度『金』へ。その瞬間、白宗の気が爆発的に上昇した。
「あれは……」
「え?なにあれ?」
驚いてつい言葉が漏れたかなめと、よくわかってない巧。
「ランク6」
「シックス?」
「なずなに聞いた。五行が使えればランク1。気を変換して、他の気が使えるようになる度、2、3って上がってく。気の種類は五種類。木火土金水。それを一周してまた元の気に変換させたとき、一気に強くなれる」
「……つまり、仮子さんってすごく強いってことだね?」
「そう。普通は、どんなに頑張ってもランク4を超えることは難しい。それを、まさか6までいくなんて……初めて見た」
「ほう……」
オロチも驚いた様子だが、すぐに余裕の笑みへと変わった。
「まさかその域に達するとは……楽しみだ」
「もう昔の俺とは違う。いくぞっ!」
白宗が五行で武器を作り出す。
滅斧 影猿。
その巨大な斧型の神器を、軽々と振り回す。
「リア!チカ!こいつはオレがやる。他を任せるぞ」
オロチは大剣を改めて構えた。




