番外編 青龍 -10
オロチが去った。おれ達は……あいつの足元にも及ばなかった……
「静春、早く行くよ!」
脱出のとき、朱伽が動かないおれに声をかける。
「いや、おれはいい。ここであったことを伝えなきゃ」
「でも、犯罪者扱いされるかもしれないんだよ!?」
「姉を探すために入ったとはいえ、おれはクロスアークの隊員だ。真実を伝えられるのは、おれしかいない」
そうだ……せめて今回のことを知らせなきゃ……
「……捕まったら連絡ちょうだい。助けに行くから」
捕まってるときにどうやって連絡しろというのだろう……
でも、その言葉は嬉しかった。
朱伽達が去って一分もしないうちに、第ゼロ部隊のメンバーが数人駆け込んでくる。
みんなはうまく逃げられただろうか。
おれはその場で取り抑えられ、尋問されることになった。
「――これが、昨夜最上階でおきた出来事です」
おれは、すべてを正直に話した。おれがクロスアークに入った理由も。
相手が隊長だったということもあるかもしれない。この人に嘘をつくのは難しい。
「ふむ……」
考え込む隊長。
「つじつまは……合っているな」
「はい、すべて本当のことです」
「まさかオロチに利用されていたとはな……教皇が死んだ今、クロスアークを再構成せねばなるまい……」
隊長は、第ゼロ部隊隊員を数人呼んで何かを指示すると、隊員達はすぐに走り去っていった。
これからのクロスアークを立て直すための行動を、もう始めたんだろう。
「さて、次に君の処遇だが……」
「はい……」
「不正をして第ゼロ部隊に入った以上、このままにしておくわけにはいかない」
「…………」
「最宮静春を、第ゼロ部隊から除名する」
「…………え?」
「何だ?」
「えっと……」
おれの処遇は、部隊からの除名。
クロスアークをクビになると思っていた分、拍子抜けしてしまった。
「解雇も考えたが、結果的にオロチとクロスアークの繋がりを断つことができた」
「隊長……」
「一からやり直し、また共に働ける日を楽しみにしているぞ」
そう言うと、隊長は去っていった。
おれはただ、隊長の出ていったドアに向けて敬礼をし続けた。
「おお、やはりおったか」
外に出ると、見知った胸……じゃなくて、があった。
「あんたは、えっと…」
「なずなじゃ。昨日は世話になったのぅ静春」
ああ、そうだ。そんな名前だった。
昨日も思ったが、この人は胸元を露出させすぎてて困る。
「あのあと、おぬしの方は大丈夫じゃったか?」
「ああ。部隊からの除名ですんだよ」
「そうか。何か、すまんのぅ」
「いいよ。おれも目的があったから」
けっきょく、りんねに関する情報は得られなかったが。
「ところで、迷惑ついでで申し訳ないんじゃが」
「あ?」
「青龍の称号を継ぐ者として、わしらに協力してくれんか?」
「……え?」
あれよこれよと話が進み、おれはなずな達に協力することとなった。
オロチ討伐。
オロチはりんねのことを知っていた。もしかしたら、協力していくなかで何かわかるかもしれないと思ったのだ。
「朱伽にも協力を頼んだ。もっと仲良くなるチャンスじゃぞ。うまくいけば朱伽と……ぐっふっふ、おぬしも悪よのぅ」
決してその言葉につられたわけじゃないことだけは、強く主張しておこう。




