番外編 青龍 -8
クロスアークの隊員になってからも、ラインファイトは続けていた。
「あ、レオン!」
試合が終わり、選手控え室で帰る準備をしていると、突然話しかけられた。ちなみに、レオンというのはおれのリングネームだ。
「か、K-ASH!」
そこにいたのは、ポニーテールの少女。……少女と言っても、おれより三歳くらい歳上だが。
ラインファイトを始めてまだ数ヶ月だが、紅の女王KISAの弟子を名乗るだけあって、かなりの実力だ。
そして、何というか、その……かわいい……いやっ!きれいというべきか……いや、どっちかというとかわいい系だろう……え~っと……とりあえず、いい!
「最近調子よさそうだね。何かいいことあった?」
「そうか?んー、どうだろうな」
いいことありました!K-ASHの笑顔が見れました!まぶしいです!
「さっきのもいい試合だったね。かっこよかったぞ!」
『かっこよかった』の一言に、おれの心臓が跳ねる。
マジっすか!?んじゃK-ASHさん、おれとお付き合いを――
「最宮ぁーーっ!!」
突然の叫び声が、控え室に響き渡った。
今の声は……
「あっ、いたっ!!」
やっぱりティネだ……
「さっさと帰るわよ!!」
「うわっ、ちょっと待てって!」
ティネが強引におれの手を引く。
K-ASHがぽかんとなっているのを見ながら、おれは控え室を出た。
あっけにとられた顔もまたかわいい……
「いつ任務が来るかわからないんだから、ちゃんと待機してなさいよ!」
帰り道。ティネのお小言だ。
「第ゼロ部隊が出るような事件ってなかなかないぜ?だったらラインファイトで腕を磨いた方が――」
「訓練なら部隊仲間とやればいいでしょ!」
それも悪くないんだが、こっちの方がいろんな経験ができる。が……
「はいはい、わかったよ……」
こうなってしまってはティネに口論で勝てる気がしない。こっちが折れれば丸くおさまる。
「まったく……さっきみたいに言い寄ってくる女もいるし……」
「え、なに?」
「何でもないわよっ!」
今日のティネは、一際機嫌が悪い。




