番外編 青龍 -4
「りんねっ!!」
「………」
無言でおれを見るりんね。
その目はすごく鋭く、冷たかった。
「もうやめるんだ!」
「グゥゥ……」
殺気っ!?
りんねが飛びかかってきた。
おれも五行を発現。が、避けてる暇はない!りんねの両腕を掴む。
「りんね!正気に戻れ!」
「ガアアアッ!!」
いったいりんねに何が……!?
力はおれの方が強いはずなのに、押し負けている。
「そのまま抑えていろ」
そのとき、どこからか声が聞こえた。
数人の白い鎧を着たやつが現れ、りんねに鎖を巻きつかせる。
「なっ……誰だ?」
「我々はクロスアークだ」
白い鎧の一人が、おれに答える。
クロスアーク――天変地異後に作られた組織。警察よりも早い対応が評価されていると同時に、問答無用で強引な捜査が問題視されている。
「捕獲完了」
りんねはあっという間に鎖でぐるぐる巻きにされていた。
五行の力だろう。眠りにおち、おとなしくなったりんねを運んでいく。
「ちょっ……どこに連れていくんだよ!」
「クロスアークの本部だ。当たり前だろう」
「……っ!」
犯人が抵抗すればその場で抹殺するような連中だ。連れていかれたら……
「待ってくれ!おれの姉なんだ!おれがなんとかするから!」
「きみに止められるとでも?」
「……どうにかして……やってみせる!」
「ただの願望にすぎないな。先程見ていた感じでは、きみでは彼女に敵わない。それ以前に、彼女は対戦選手を殺害した。立派な犯罪者だ。それだけで連行する理由は十分」
「……っ!」
何も言い返せなかった。
たしかに今のりんねの方がパワーもスピードも上だ。それに、りんねは相手選手を……
でも、このまま黙って行かせるわけには――
「邪魔をするのなら、容赦はしないが?」
「ぐ……っ!」
すごい威圧感だった。動くことができなかった。
「りんね……りんね!りんねぇぇぇっ!!」
名前を叫びながら崩れ落ち、泣くことしかできなかった――




