番外編 青龍 -1
ゆうがたの、とあるこうえん――
「ねぇ、ほんとにやるの?」
ぼくがきくと、
「あたりまえでしょ!パパとママをなかなおりさせるんだから!」
りんねは、ちょっとおこったかんじで、へんじをした。
「しずはる、いっぱいおかしもってきた?」
「うん!」
ぼくは、リュックのなかを、とくいげにみせる。
たくさんのおかしにうれしくなったのか、りんねがたのしそうにわらった。
ぼくたちは、ふたごだ。
でも、おとうさんとおかあさんがケンカして、ぼくはおかあさんと、りんねはおとうさんとくらしている。
でも、それはいやだから、なかなおりさせるために、ぼくとりんねは「いえで」をするんだ。
そうしたら、おとうさんとおかあさんはいっしょにぼくたちをさがして、なかなおりするはず。
「しずはる、あそこがいいんじゃない?」
りんねがゆびさしたのは、こうえんのトイレ。
よるはでんきがついてるし、いいかも。
ぼくとりんねは、だれもいないのをかくにんして、じょしトイレのほうにはいった。
じょしトイレは、おとこのほうのおしっこするやつがない。うんこのやつばっかだ。そのひとつに、ふたりではいった。
りんねが、えんそくのときとかにつかうシートをしく。これなら、トイレでもふつうにすわれる。
「よし、んじゃおかしたべようよ!」
「うん!」
えんそくみたいでたのしい。まずはチョコレートだ!
どれくらいたっただろう。
トイレのなかにいるのが、あきてきた。
あんまりさわいじゃダメだし、そとにいってもまっくらだし。
「りんね、ひまだよー」
「うんー。もうねちゃおうか」
りんねが、リュックからタオルケットをだし、ふたりでそれをかけた。
「「おやす――」」
そのとき、すごいかぜがふいた。トイレのなかにまでかぜがはいってくる。ぼくとりんねは、タオルケットをかぶってまるくなった。
そとでなにがおきてるのかわからない。
あめがふったり、かみなりがなったり、なぜかあつかったり、じしんもあった。ぼくとりんねは、こわくてまるくなっていた。
しばらくすると、しずかになった。トイレのでんきがきえて、まっくらだ。
「……しずはる、だいじょうぶ?」
「うん…。りんねは?」
「だいじょうぶ」
ふたりでタオルケットからでて、ちょっとだけトイレのとびらをひらく。
……なんかトイレのなかがめちゃくちゃだ。そして、そとがうるさい。だれかがさわいでるこえとか、きゅうきゅうしゃとか、パトカーとか。
ぼくたちはかおをみあわせ、ふたりでしずかにトイレのそとにでてみた。
「……なに……これ……?」
「…………」
ぼくは、ことばがでなかった。
たくさんのいえがこわれ、けがしたひとがいっぱいで……
「しずはる!」
りんねがぼくのてをひいて、トイレのなかにもどる。
また、タオルケットをかぶってまるくなって、ふたりでひっしにおねがいした。
ごめんなさい!もういえでしません!だから、ぜんぶもとにもどしてください!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい――!
あさになった。
ぼくとりんねは、いつのまにかねていた。
「………」
「………」
なにもしゃべらずに、そとにでる。
でも、かみさまは、ぼくたちのおねがいをきいてはくれなかった――




