番外編 朱雀 -6
その後のことは、はっきりとは覚えていない。
ひたすら攻撃をくらい、負けまいと立ち上がって、また攻撃されて――
「まだ立つか……もう飽きたんだよ。さっさと倒れろ」
こいつを……倒すんだ………
「咲さんっ!もういいよ!降参しようよっ!!」
声が聞こえた。
……朱伽……
「あぁ?あれは……?」
ブラズが朱伽を見る。
「……ああ、思い出した。そういやあんな顔の女をヤったなぁ」
「……っ!!」
ブラズが私の脚を掴んで持ち上げ、私を地面に叩きつけた。
「がっ……あ……あ………」
「最後までお姉ちゃん助けてお姉ちゃん助けてって喘ぎながら泣いてよぉ――」
ブラズが拳を振り上げる。
「見せてやりたかったぜぇ!KISAお姉ちゃんよぉ!!」
悔しかった。
こんなやつに勝てないことが。
妹の仇をとれないことが。
力が……私にもっと力があれば………
声が聞こえた気がした。
それは、闇からの誘惑。
力を得るかわりに、私は私じゃなくなるだろう……
三森、阿坂……一緒に孤児院を出て、ついてきてくれてありがとう。とても心強かった。悪いけど、あとはよろしく……
朱伽……一緒に過ごした二年間、とても楽しかった。願わくば、あなたに私を止めてほしい……大丈夫、あなたは私を越えていける。初めて会ったときにそう感じたの。だから名付けたのよ。KISAを灰に帰す者――『K-ASH』と……
私の心が、身体が、闇へと堕ちていく……
みちる……今からお姉ちゃんが……仇、とってやるからね――




