番外編 朱雀 -4
「よっと……」
「荷物はこれで全部ですか?」
阿坂と三森が、部屋にダンボールを何箱か運び入れた。
「はい、ありがとうございます!」
朱伽の引っ越しだ。
無事に両親から許可をもらい、今日から私達と一緒に暮らすことになる。
「朱伽、敬語なんて使わなくていいわよ」
「いや、そういうわけには……みなさん年上ですし」
「いいの!家族に敬語なんて使わないでしょ?」
と言ってみたものの、朱伽の実家が敬語で会話するような家だったらどうしよう。
「ん、そうですね。わかりました……じゃなくて……わかった」
朱伽が初めてタメ語で話してくれた。
ちょっと照れているのがまたかわいい。
「すみません。私は普段から敬語なので、敬語を使わせて頂きます。もちろん、私のことは『三森』と呼び捨てで構いませんので」
「俺は『ダーリン』って呼んでほしいな」
「わかった。よろしく、三森、阿坂」
「いや、阿坂じゃなくダーリンと……」
これからどんな毎日が待っているだろうか。考えるだけでうきうきしてきた。
「私は『お姉ちゃん』って呼んでほしいな」
「改めてよろしく、咲さん」
「なぜ私だけさん付け……」
あっという間に二年の月日が経った。
とても楽しい日々だった。朱伽を見ていると、みちるが帰ってきた気がした。
いや、朱伽をみちるの代わりとしてみてるわけじゃないけどね。
朱伽といえば、どんどんと五行が上達していき、今ではラインファイトトップクラスの実力者となった。
しかし、私も師匠として負けてられない。私は現在チャンピオンを維持している。
もちろん夜の見回りは続けている。今では朱伽も一緒だ。
そして……
私の心を蝕む闇も消えることはなかった。むしろひどくなっているくらいか。怒りや憎しみを抑えるように精神修行もやってみてはいるが、どれほどの効果があるか………私が私じゃなくなるまえに、みちるの仇を……
「おいっ、朱伽!勝負だ!今日こそわたしが勝つ!」
「ちょっ、家まで押しかけてきてそれっ!?……えっと……なつ……み……ちゃん……?」
「『なつめ』だ!いいかげん覚えろ!」
……あの子も友達だろうか。なんかうざそうにあしらってるけど……
こういうなんでもない日常が、一番の精神安定剤……かな。




