第四話 -4
朱伽と静春にすぐ追いつく。というか、二人は立ち止まっていた。
「どうしたんじゃ?」
「道が……分かれてるわ……」
見ると、左右に道がのびていた。
「二手に分かれるか」
そのとき、背後から「いたぞっ!」という声が聞こえた。
「急げ!」
なずな、かなめ、朱伽、静春が走り出す。
「えっ、待って!」
巧は一瞬おろおろし、とりあえず左へ走った。
必死に走る。
が、五行の力でスピードアップしているのだろうか。後ろからの足音があっという間に近くなってくる。
巧の足では逃げ切れない。
「やばい……このままじゃ捕まる……!」
すぐそこの部屋に入って隠れようか……?
でも鍵が締まってたら……
やっぱりあの曲がり角を――
部屋の前を走り抜ける。
そのとき扉が開き、中から出てきた腕が巧を強引に引きずり込んだ。
部屋の中で、足音が遠ざかっていくのを静かに待つ。
「……もう大丈夫だよ、君」
ひっくり返っている巧に手を差しのべる男。クロスアークの隊員の一人だろうか。若い男だ。
「……助けてもらってありがとうございます」
「追いかけられてたみたいだけど、何かやらかした?」
「えっと……それは……」
忍び込んだとは言えない。
「まぁいいか。これから最上階に行くんだけど、一緒に行くかい?」
「え?」
誰なのかわからないが、安全に行けるならそれに越したことはない。巧は男と一緒に部屋を出た。
先に進んでいくと、
「うわっ」
クロスアークの隊員達が全員気絶していた。
「これは……」
隊員達を乗り越え、進む。
と、二人の人が立っていた。
「あ、朱伽さん!最宮くん!」
巧の声に二人が振り向く。
「あ、こっち来たんだ。誰もついてこなかったから、静春と二人だと思ってたよ」
「いや、二人が速すぎて追いつけなかったんだよ……」
静春が、巧と一緒の男を見て
「きょっ、教皇代理!!」
驚愕とともに、ビシッと敬礼をした。
「教皇代理?」
「そうだよ!ここでは教皇の次に偉い人だ!何て人連れてきてんだよ!」
巧と朱伽も、とりあえず敬礼。
「いやいや、いいから」
教皇代理は苦笑しながら、
「本来は立入禁止なんだが、どうせここまできたんだ。見学していくといい」
そう言って歩を進めた。




