表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/171

第四話 -2

「あの少年、おそらく咲殿の件に関わっておるな」


「えっ!わかるの?」


「なんとなくじゃが」


「じゃもうちょっと話を……」


「いや、無駄じゃろう。それより、今夜わしらが潜入することを感付かれる方がまずい」


「そうか……」


「なずな、巧、ここ」


かなめの指差す先――そこは関係者以外立入禁止の倉庫部屋だった。




「あいつら、レーヌ・ド・ルージュと関係があるな」


「え?わかるの?」


「いや、勘」


「勘って……」


「きっと何かやらかすはず」


「それも勘?」


「おう」


「呆れた……ちょっ、どこ行くのよ!?」


なにも言わず、少年――最宮静春はその場を去った。




「巧、動いちゃ……だめ……」


「巧、ならぬ……そこは……」


二人の少女が悶える。


「んじゃ……」


巧が両腕に力を込め、


「あっ……ちょっ……!」


「巧っ、待って……!」


「別のとこに隠れなさーい!」


ガシャンッ!とロッカーの戸が開き、中からなずなとかなめが飛び出した。


ここはクロスアーク本部の倉庫部屋。

ここに隠れて、夜になったら行動開始する作戦だ。


二人がロッカーの中へ慌てて戻っていく。


「馬鹿者!誰かに見つかったらどうするんじゃ!」


「だからって同じとこに隠れなくったって……せまいでしょ!」


「二人とも、小声じゃないと見つかる……」


「………」


「………」


「なずな、胸が邪魔」


「なーーっ!?かなめ、おぬし胸が小さいからって!」


「なずな、しーーっ!」


「ぐっ……」


夜までは、まだまだ長い――




「はぁ……」


「なんですか、阿坂。ため息などついて」


「咲さんのことさぁ、俺達も行った方がいいんじゃねぇかと思ってさ……」


「ですが、朱伽さんを放っておくわけには……」


「わかってるよ!だけど――」


そのとき、


「呼んだ?」


扉が開き、朱伽が現れた。

シャワーを浴びてきたのか、髪が濡れている。


「朱伽!」


「なによ?」


「朱伽さん、もう大丈夫なのですか?」


「うん……いつまでもヘコんでらんないから」


「朱伽……よかったぜ、元気になっ――ぶっ!」


朱伽が阿坂の顔に何かをぶつけた。


「……パジャマ?」


「あんた、あたしが帰ってくるまでにボタン直しといてよね!」


「え?」


「当たり前でしょ、あんたがやったんだから」


「阿坂……朱伽さんに何をしたのですか……?」


「なんもしてねぇよ!はいはい、直しときますよ!」


そっぽを向きながらも、阿坂の顔は明るかった。


「朱伽さん、どちらへお出かけですか?」


「秘密」


「朱伽のにおい……」


「何嗅いでんのよヘンタイッ!!」




夜――


ロッカーがそっと開かれる。


「ぷはぁ」


「いやぁ~、やっと解放されたのぅ」


「暑かった……」


三人とも軽く汗をかいている。


「だから二人とも別の場所に隠れろって……」


「一緒の方が、楽しい……」


ぐったりとしている巧に、かなめが手のひらで自分の顔をあおぎながら答えた。


「よく言えたもんじゃのぅ巧。わしらの胸やら足やら触りまくったくせに」


「わざと触ったわけじゃないよ!」


「あ、触ったことは認めるんじゃな?」


「二人とも、もうちょっと静かに……」


かなめが二人を注意する。


「そうそう、見つかっちゃうよ」


「あ、ごめん」

「すまぬ……って、おいっ!」


気付くと、あの少年が立っていた。


「もう見つかってしもうた!」


「……!」


かなめが無言で戦闘態勢に入る。


「ちょっとタンマタンマ!おれは邪魔する気ないって!」


「なんじゃと?」


「レーヌ・ド・ルージュを助けようとしてるんでしょ?協力しようと思って」


「……なぜクロスアークのおぬしが協力する?」


「おれにはおれの目的がある」


少年の目は、笑っていない。


「……よかろう。わしらより内部に詳しいじゃろうしな」


「なずな、本当に大丈夫?」


「うむ。まずは咲殿のことが最優先じゃ。わしはなずな。この二人が巧とかなめじゃ」


「おれは最宮静春。よろしく」


なずなと静春は、握手を交わした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ