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第三話 -15
トントン――
ドアをノックするが、返事はない。
静かに中へ入る。
灯りは点いていない。ベッドの上には一人の少女。三森が着替えさせたのか、パジャマを着ている。
「よう、朱伽」
「………阿坂……」
「体育座りって……ベタだな……」
「……何……?」
「夜這いにきた」
朱伽の肩をつかみ、ベッドへ押し倒す。
無抵抗の朱伽。
月明かりが乱れた髪を照らし出す。
「………」
「……蹴り殺すんじゃなかったのか?」
「……好きにしたらいいよ……」
「………」
パジャマの襟元を掴み、強引にはだけさせる。
ボタンが数個飛び、床でコツンコツンと音をたてた。
「………」
「………」
阿坂はそのままベッドから降りた。
「……?」
「朱伽。今のおまえには何の魅力も感じねぇ」
「………」
「咲さんが連れていかれたのは、朱伽のせいじゃない。一人で抱え込むな」
「でも……」
「もし咲さんを取り返せたとしても、暴走を止められた保証はない。もっと最悪なことになってたかもしれねぇ」
「………」
「明日の夜、あの三人がクロスアークの本部に乗り込むそうだ。落ち込むなとは言わないが……早くいつもの笑顔を見せてくれよ」
阿坂は静かに部屋を出た。
「………」
朱伽は、ただそのまま天井を見続けていた。




