表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/171

第三話 -11

「咲……さん……?」


「………」


咲は無言のまま、ブラズへと向かっていく。


咲の異変に、固まる朱伽。


「もう手遅れよ。まずは距離を取るわ」


黒衣の少女は朱伽の腕を引き、咲やブラズから離れる。


「ちっ、めんどくせぇなぁ!さっさとくたばれよ!!」


ブラズが咲と距離をつめ、殴る。


が、咲はブラズの拳を血だらけの左腕で止めた。


「………ァァァァ……」


「何だ、最後の抵抗のつもりか?うぜぇんだよ!」


ブラズがもう片方の拳を振り上げる。


「ァァァァァアアアアッ!!」


次の瞬間、咲の咆哮とともに、今までびくともしなかったブラズが吹っ飛んだ。


「ぐっ……なんだ、その力は……?」


見ると、咲からはいつもの赤い炎ではなく黒い炎が上がり、両腕が何事もなかったかのように治っていた。


「やりゃあできるじゃねぇか……」


ブラズがにやりと笑う。


「……コロス……コロス……」


咲が突進。速い。

あっという間にブラズの懐に入り、マシンガンのようなジャブ。

はじめは防御していたものの、そのうち攻撃が通り、ブラズの身体はストレートパンチを食らっているかのようによろけて後ろに下がっていく。


気付くと、すでにブラズの背がフィールド端の壁についていた。


「アアアアッ!!」


咲の攻撃が、いつものボクシングスタイルから徐々に変わっていく。

それは、ただのド素人のケンカのような、野性をむき出しにしたような……それでいて、威力は生半可なものではない。


「がっ……ぐっ……がはっ……」


ブラズの身体は、攻撃を食らうたび壁にめり込んでいく。


咲の両腕はブラズの血で赤く染まり、返り血を浴びながらも目を見開き、口元は嬉々として笑っていた。




「まずい!巧、かなめ、行くぞ!」


咲に異変が起きた頃、観客席ではなずなが立ち上がっていた。


「どうしたの!?」


「……オロチじゃ……」


小声で答える。


「えっ!咲さんがオロ――」


「ばかもん!声が大きい!」


なずなは慌てて巧の口をおさえた。


「むぐ……」


「咲殿がオロチなのではない。オロチの思念というか、そういったものが咲殿に入り込んでおる」


「ぷはっ……でも、行ってどうすれば……?ものすごい強さだよ?」


「正直わからん。じゃが、止めねばなるまい」


なずなは、フィールドへと続く通路に向かって走り出した。かなめもそれに続く。


「ちょっ、待って!」


巧もあとを追った。



走りながらフィールド内を見ると、新たな乱入者、黒衣の少女が見えた。


「む?あやつは……」


つぶやきながら、なずなはロビーへ続く扉を開けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ