第三話 -5
「やめろっ!!」
「ぐおっ」
とっさに、巧は男を突き飛ばしていた。
「巧……」
「おまえ達の言いなりには……ならないっ!」
周りにいた男達が各々の武器に手をかけ、巧を睨む。
「兄ちゃん、威勢はいいが足ふるえてるぜ?」
「……っ!うわああああっ!!」
足のふるえを隠すかのように、リーダーの男へがむしゃらに突っ込む巧。
「巧っ!だめっ!」
かなめの声が巧にとどく頃には、巧はリーダーの攻撃範囲内へ足を踏み入れていた。
「死ねよっ!」
剣を降り下ろすリーダー。
ギィンッと金属音が響き、宙を舞ったリーダーの剣は、男達の輪の外で地面に突き刺さった。
「……あぁ?」
「……え?」
巧もリーダーも、何が起きたのかまだ理解できていない。
「よく言ったわ、少年!」
どこからか、声が響いた。
「ここからは――」
ふっ――と風がふき、
「あたしに任せて」
巧の横に、一人の少女が立っていた。
髪はポニーテール。顔は忍者のような覆面をしているためわからないが、黒のインナーに赤いジャケット、赤いショートパンツ姿。
「お、おまえは――!」
リーダーが声をあげた次の瞬間、バキッという音とともに、リーダーの男は横へ吹き飛んでいた。
「なっ!」
「リーダー!」
周りがざわつく。
「無駄口たたいてる暇があるなんて余裕ね」
少女が低く構える。
同時に少女の両足から炎があがり、姿が消えたかと思うと、男が次々と宙を舞った。
巧とかなめは、ただそれをぽかんと見ていた。
「くそっ……あいつが噂の……」
ぶつぶつ言いながらリーダーの男が立ち上がり、なずなが連れていかれた方へと逃げる。
と、女性が一人、その行く手を阻んだ。
ショートカットの髪にサングラスをかけ、上半身は先程の少女と同じような服装。下半身は赤のミニスカートの中に黒のスパッツで、ハイヒールを履いている。
「向こうにいたやつらも全滅よ」
そういう女性の拳に、炎が宿る。
「ひっ……!ちょっ、待って……」
ゴッと鈍い音が響き、リーダーの男は地面へ顔をめり込ませることとなった。
「巧っ!かなめっ!無事か!?」
なずなが走って戻ってきた。
「あ、うん、大丈夫」
「なずなは…?」
「わしも、この方に助けてもらったから大丈夫じゃ」
そう言って、サングラスの女性を見る。
「本当に助かった。ありがとう」
「僕達もありがとうございました」
「ありがとう」
巧達も、隣に立つポニーテールの少女に礼を言う。
「あなた達、他の町の人?」
サングラスの女性が問いかけてくる。
「うむ、季里区の者じゃ」
「そう、なら仕方ないわね。覚えておきなさい。富士取区の夜は、出歩いたら犯罪に巻き込まれるのよ」
「うぅ、すまぬ……」
きつく注意されてしまった。
「まぁまぁ、お説教はこれくらいにして……」
ポニーテールの少女が、女性をなだめる。
「ふぅ……そうね。長居するとまた他の奴らが集まってきそうだし。あなた達、ついてきなさい。保護するわ」
サングラスの女性はそう言うと、さっさと歩き始めた。
「保護……だって……」
とまどう巧達に、ポニーテールの少女が手招きする。
「ふむ。とりあえずこの場にいても危険じゃ。ついていこう」
巧達は、二人のあとを追った。




