第三話 -3
腕自慢の男達に対して、こちらは学生三人。
力の差は歴然――
「うっそ……」
巧が思わずつぶやく。
なずな、かなめの女子高生二人が、明らかに優勢だった。
男達が次々と倒れていく。
「すごい……」
それを呆然と見ていると、突然強い衝撃とともに世界がぐらついた。
「ぐっ…!」
男達の一人が、巧の頭を地面に押さえつけたのだ。
「くそっ!なんなんだ、あの女どもは!」
毒づく男。
巧は必死にもがくが、まったく起き上がることができない。
あの二人は、こんなやつらと戦っているのか――
無力さを痛感させられる巧。
「おいっ!この男がどうなってもいいのか!」
男が叫ぶ。
「巧っ!」
「巧……」
戦闘の音は、すぐに聞こえなくなった。
巧、なずな、かなめが一ヶ所に集められ、それを取り囲むように男達が立つ。
巧のすぐ後ろには、ナイフを持った男。
誰かが抵抗した瞬間、巧の背中にグサリだ。
「すまぬ、もっと早く帰っていればこんなことには……」
「謝るのは僕の方だ。早く離れて隠れなかったから」
「ごちゃごちゃうるせぇんだよ!」
小声で話す巧達に、最初に話しかけてきた男が怒鳴る。
どうやらこの男がリーダー格のようだ。
「さんざん暴れやがって……タダで帰れると思うなよ!」
「おいおいリーダー、もとからタダで帰すつもりなかったでしょう?」
男の一人が声をあげ、笑いがおきる。
「わしらをどうする気じゃ!」
「どうするって……そんなエロい身体しといてわかんないとか言わねぇよなぁ?」
リーダーが、なずなの全身をなめ回すように見る。
「……頼む。わしに何をしても構わん。だからこの二人には手を出さんでくれ」
「連れてけ」
リーダーの指示で、数人の男がなずなを強引に立たせる。
「さて、残りの二人はどうするかな」
巧とかなめを見て、にやりと笑うリーダー。
「なっ……!二人には手を出すなと言ったであろう!」
「てめぇのいうことを聞く義理なんかねぇよ」
「この……っ!」
「お?抵抗するか?」
巧の首筋にナイフを押し付けるリーダー。
「痛っ…」
少量の血が、首をつたう。
「ぐっ……」
「よ~し、いい子だ。おとなしくしてれば命は助けてやるからよ」
「おぬし、最低な人間じゃな」
なずなの言葉を無視するかのように、数人の男がなずなを引きずるように連れていった。




