番外編 麒麟-9
「なんじゃ、あやつは?初めて見るケイム・エラーじゃのぅ」
後ろを振り向くと、そこにはごつい大男がゆっくりと迫ってきていた。
人の形はしているが、人間ではない。肌の色は青みがかっていて、身体中つぎはぎだらけ。まるで本で読んだフランケンシュタインみたい。
「ああいうのをゴーレムとでも言うのかのう?狙いは……やはりわしらじゃろうなぁ」
そう言うなずなの周りには、黒い球体が次々と作られていく。
ボクもすぐに大剣を作り、構える。
気にした様子もなく平然と歩いてくるゴーレム。
特に合図はなく、なずなが球体を放つと同時にボクは走り出した。
走りながら、なずなの攻撃が全弾命中するのを確認。
砂ぼこりで敵の姿が見えないが、ひるんだところにボクが攻撃を――
「かなめ、避けよっ!!」
なずなの声に、ボクはとっさに跳躍。
同時、ゴーレムの手がボクを捕らえようと、砂ぼこりから突き出されるのが見えた。
「ちっ、頑丈なやつじゃ!」
どうやらなずなの攻撃は大して効いてなかったみたい。
ボクはゴーレムを飛び越え、背後に着地。
ゴーレムが振り向くまえに、
「はっ!!」
ゴーレムの背中を斬った。
「……っ!?」
はずだった。
傷口はみるみるうちにふさがり、何事もなかったかのようにゴーレムは振り向いた。
「くっ!」
ゴーレムの腕、足、顔面――とにかくひたすら斬る。
が、傷はすべてふさがった。
ボクの攻撃に怯みもせず、丸太のように太い腕を突き出してくるゴーレム。
後ろに下がって回避。
攻撃スピードは遅いので、避けやすい。
「むぅ、あの再生能力はやっかいだのぅ」
いつの間にか、なずながこちら側にきていた。
「どうする?」
「こういう相手は封印できればいいのじゃが……術式を組むには時間がかかりすぎる」
「……なずな、試したいことがある」
「なんじゃ?」
ボクはなずなに作戦を伝えた。
うまくいくかどうかわからないけど……やってみる価値はあると思う。




