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番外編 麒麟-4
数日後。
それは突然だった。
深夜、ボクは胸が苦しくて目が覚めた。
「ぐっ……!」
すぐにわかった。
死。
ついに終わるときがきたのだ。
ボクは静かにその運命を受け入れる……つもりだった。
ボクの腕は胸をおさえ、もがきながらも、もう片方の腕で何年も使っていないナースコールのボタンを必死に探す。
何してるの?今さら死に抵抗だなんて……
覚悟ならちゃんと……
ふと、頭の中にあの男の子の顔が浮かぶ。
覚悟……?
……いや、諦め。
ボクは、生きることを諦めていただけだったんだ。
あの子に出会って、ボクの何が変わったのかはわからない。
わかっているのは、ただひとつ。
「生き……たい……まだ……生きていたい……っ!」
もがく腕が、砂の入った袋に当たる。
「あっ……」
落ちる袋。
とっさに手を伸ばしたボクは床に散らばった砂の上に落ち、胸の苦しさもあってそのまま気を失った。




