第二話 -16
巧がかなめのあとを追って戻ったとき、目に入ったのは捕らえられたかなめの姿だった。
近くには倒れたまま動かないなずな。
「ど、どうしよう!?」
おろおろする巧。その間にも、ゴーレムが右の拳をかなめへと近づけていく。
「ああっ、もう!」
考えてる暇などない。幸いゴーレムは巧にまだ気づいていない。巧はとりあえず走った。
目の前にせまる巨大な拳。
かなめは死を覚悟し、目をぎゅっと閉じる。
「………?」
が、死は訪れない。
代わりに、声が聞こえてきた。
「ぐ……おおおおおっ!」
「……巧?」
巧が、かなめの大剣を掴んでいた。
「巧っ……だめっ……!」
「僕が……僕がやらなきゃ!」
ゴーレムの右腕から大剣を引き抜き、
「かなめを……放せええぇぇっ!」
ゴーレムの左腕を斬り落とした。
「グアアアアッ」
が、すぐに再生を始める左腕。
「うわあああああっ!」
巧は大剣を力任せに横に振るう。
が、初めて剣を握った巧に、刃の向きを気にする余裕はない。
大剣はゴーレムの腹筋に止められてしまった。
「ぐううううっ」
が、そのまま力を入れ続ける巧。
そして、
「飛んでけええええっ!」
叫んだ瞬間、ゴーレムの身体がふわっと浮き、そのまま巧が大剣を振り抜く。
ゴーレムはその巨体をくの字に曲げ、空高く遠くへと姿を消した。
「…………」
唖然とした顔で一部始終を見ていたかなめ。
「……巧?」
かなめの呼びかけに巧が振り向く。
ふわっと微笑みを浮かべ、大剣を力なく落とし、
「巧っ!」
巧は気を失って倒れた。




