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第二話 -10
「ほらほらっ!もっとスピード上げるよ!」
「うっ!……くっ!」
少女は高速で走り回り、かなめへ何度も攻撃する。
かなめは、始めはすべて防いでいたものの、スタミナが切れてきたのか、少しずつ傷が増えている。
「何……?何だこれ……?」
目の前で起きていることに頭がついていかない巧。
赤ちゃんを助け、転んだ巧を見て無邪気に笑った少女――それが今では1人の人間を殺害し、邪悪な笑みを浮かべながらかなめをいたぶっている。
物陰に隠れた巧は、頭をかかえながら必死に状況を把握しようとする。
見知らぬ土地――
ケイム・エラーと呼ばれる化け物――
殺人を犯した少女――
自分を助けるために戦ってくれているかなめ――
今、自分ができることは――?
巧は、身体を恐怖に震わせながら、ただ必死に隠れた。
それしかできなかった。
無力だった。
かなめのうめき声が聞こえるたびに身体が縮こまり、あまりの情けなさに涙が流れた。
そのとき、
「ああああっ!」
ギィンッと金属音が聞こえ、かなめの悲鳴が響いた。
とっさに顔を出すと、かなめは立っているのが精一杯というように身体がふらつき、腕は出血のせいで赤く濡れていた。
「これで終わりだ!」
少女がかなめの胸元へ狙いを定め、駆ける。
「避けてっ!!」
巧は、叫ぶことしか出来なかった。




