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必殺技

「怜ちゃん、身体(からだ)はどんな感じ?」


 神沢姉妹と入替わりのように秋月玲奈が見舞いに訪れた。

 白地に真紅のライン入りのスタジャンに黒いGパン姿というラフな格好である。

 髪は短く切っていてボーイシュであるが、元アイドル歌手だけあって小顔の美少女である。

 美味しそうなティラミスケーキと和菓子の詰め合わせを持ってきてくれた。

 

「ありがとうございます。ケーキ美味しそうですね」


 怜は早速、ケーキにかぶりついた。

 もぐもぐと食べ始める。


「全く、あなたも勇も食いしん坊みたいね」


 玲奈は微笑みながら言った。


「神沢先輩が人狼を倒しに行ってくれるので、それまでに体力回復させたいので、何でも食べますよ!」


「なるほど。さっき、神沢姉妹をみかけたんだけど、優お姉さんが説教モードだったのはそのせいか。それなら差し入れはお菓子より鶏肉とかにした方が良かった?」


「そうみたいです。差し入れの方は何でも大歓迎ですよ!」


「だけど、人狼はさすがに不死身だから、さすがの勇も苦戦するわね」


 秋月玲奈は神沢勇と一度、対戦したことがある。

 当時、アイドル歌手だった彼女はその地位を投げ打って、秋月流柔術の当主として不調だった神沢勇を立ち直させるきっかけを作ってくれた。

 その試合は本気の関節技の応酬や秋月流柔術の奥義<朱雀落し>まで飛び出して、無効試合(ノーコンテスト)となってしまったが、女子プロレス界で語り継がれる伝説となっている。

 とはいえ、その事件で神沢勇は無期限出場停止、秋月玲奈もアイドル活動は休業状態であるのだが。


「玲奈さん、人狼を倒すための何か必殺技はないでしょうかね?」


 玲奈はちょっとぽかんとしたが、少し考えてから答えた。


「あなたも勇も女子プロレスバカなのね。秋月流に<玄武落(げんぶおと)し>という技があるわ。それなら倒せないまでも人狼にダメージを与えて動きを止めることはできるでしょうね」


「それ、教えてくれませんか?」


 怜は嬉しそうな瞳で尋ねた。


「仕方がないわね。もう少し身体(からだ)が回復したら教えてもいいわよ」


 玲奈は呆れ顔で渋々同意した。


「玲奈さん、ありがとうございます!」

 

 満面の笑みで喜んでいる怜であったが、それがとんでもない地獄の試練になることをその時は知る由もなかった。

 

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