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アタシだけが知る真実

クラスメート達の心中は、翌朝大きな話題となり、学校は休校になった。


しかしアタシは呼び出され、学校に来ていた。


校長先生や警察の人から事情を聞かれる。


だからアタシは答えた。


「二ヶ月ほど前亡くなられた方のことで、随分悩んでいたみたいです」


ウソはついていない。


彼らは本当に悩み、苦しんでいた。



己の罪に―。



そしてその日のうちに、担任も死んだ。


やっぱり持たなかったらしい。


この出来事はあっと言う間に世間の目を引き、大きな事件になった。


そして篠原紅海の死因も、本当はクラスメートからのイジメであることも、明らかとなった。


もっとも、クラスメート達から殺されたことは、暴かれなかったが…。




大体はアタシの思い描けた通りになった。


アタシは1人、屋上へ来ていた。


以前来た時よりも、多くの花束やお供え物がある。


「当然の報いよ…」


低く呟き、花束を踏み付けた。


今、学校では『みぃ』の存在で持ちきりだった。


クラスメート達はどうやら『みぃ』のことは、クラスの外でも話していたらしい。


おかげで『みぃ』の存在に、誰もが脅えている。


「バッカみたい」


だけどアタシは笑う。


「『みぃ』はアタシのことなのに」


『美湖』は『よしこ』と読む。


けれどアタシはその呼び方がキライだった。


古臭くて、イヤだった。


そう言うと彼女はアタシのことを、『みぃ』と呼ぶようになった。


この呼び方の方が、可愛いからと…アタシの双子の妹・紅海が呼んでくれたのだ。


アタシ・美湖と紅海は二卵性の双子の姉妹だった。


けれど生まれてすぐ、両親が事故で亡くなって、孤児院で育った。


やがてお互いに引き取ってくれる人ができたけど、二人は引き離された。


それでもお互いしょっちゅう連絡を取り合っていた。


遠くにいても、何でもお互いのことは分かっているつもりだった。


なのにっ!


いきなり届いた妹の訃報。


しかも自殺。


信じられるワケがなかった。


マスコミは受験ノイローゼや家族との関係を取り上げたけれど、そんなはずがないとアタシは知っていた。


アタシと紅海は、高校は同じ所へ行こうと約束していた。


寮がある高校でレベルは高いけど、頑張って2人で合格することを夢見ていた。


だから受験ノイローゼはありえない。



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