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担任はケガをした男子生徒達の手当てやら、連絡やらで今まで職員室にいた。


そして今、アタシも職員室にいた。


「篠原紅海のことは、むしかえさないでくれるか?」


真剣に困った顔で、担任は言った。


「でもアタシからは何も言ってませんよ。クラスメート達が勝手に説明してくれたんです」


「はあ…」


いや、ため息をつかれても。


「先生も、心当たりがあるんですか?」


「何にだ?」


「『みぃ』に祟られる心当たり」


「どうしてそれをっ!?」


思わず出した大声に、すぐさま気付いて声を潜める。


「どこで聞いた?」


「先程、クラスの女子達から聞きました。全員脅えていたので、もしかしたら先生かもって。どうやら彼女の死因、イジメらしいじゃないですか? 表沙汰にはしていませんね」


「そっそれが本当の原因かは分からないんだ。遺書も何も無かったんだからな!」


「『遺書が無かった』を免罪符にして、罪から逃れようとするから、『みぃ』に復讐されているのでは?」


「なっ!」


担任は顔を真っ赤にしたが、言い返せないらしい。


「ちょっとアタシも彼女には困っているんですよね。よければ少し、お話を聞かせていただけませんか?」


アタシは担任の耳元で囁いた。


すると逡巡した後、立ち上がった。


「…面談室へ行こう」


「はい」




面談室は職員室の隣で、鍵が無ければ入れない小部屋だった。


昔は物置部屋だったらしいけど、今は個人面談をする時に使っているらしい。


授業中の今なら、使用する人もいない。


「…篠原がイジメを受けていることは、薄々だが気付いていたんだ」


「気付きながら、助けてあげなかったんですか?」


「くっクラスの連中は『遊んでいただけ』と言っていた。それに篠原自身から、イジメを受けているということは聞いていなかったんだ。だが…」


担任は苦い顔で、続きを話した。


「肩まで伸びていた髪が急に短くなっていたり、机の中に入れていた物が床に散らばっていたりと、目に見えてひどくなっていった。そこで何とかしようとしていたところで…」


「自ら命を絶ったと言われているんですね。正確にはどのような死に方で?」


「ウチの学校の屋上から、飛び降りたんだ」


「遺書も無く?」


「ああ…。警察がいくら探しても見つからなかった。篠原は今のご家族とは血が繋がらないから、それが原因の1つだと言われている」


「養子縁組、ですか。後は受験ノイローゼだったと誰かが証言すれば、立派な自殺ですね」



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