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そして家族関係も良好だということも知っていた。
何度か遊びに行ったけれど、とても良い家族だった。
アタシや紅海みたいに親を亡くした子供を引き取り、農業をしながら大事に育ててくれた。
だから家族が原因でもない。
残るは学校のこと、そして人間関係だけだった。
アタシはそれを調べる為に、この学校へ転校してきた。
そしてイジメがあったことを知った。
だけど何かがまだ、足りないと思った。
イジメを苦にして自殺したとしたら、絶対にアタシにメッセージを残すはず。
だけど一切無かった。
それどころか遺書もなし。
あまりに欠けているところが多すぎた。
だから罠を張った。
担任に解決策だと偽ったことを広めさせ、そして火事を起こした。
そう。あの火事の犯人はアタシ。
妹を自分達の不幸の原因に仕立て上げたクラスメートが憎かった。
己の罪から逃げといて、それでもまだ逃げようとする彼等にとどめをさしてやったのだ。
効果は上々。
担任はすっかり参ってしまい、自分の車の運転ミスで死んでくれた。
相乗効果というのは、異常なほど大きくなるものだ。
担任の事故をキッカケに、クラスメート全員が死を決めたのだから。
まあ極めつけはアタシの『生け贄』の一言だろうな。
でも『みぃ』はアタシのことだし、『生け贄』が必要で、怒りが静まらなかったことも事実。
ウソは何一つ、言っていない。
「くぅ…」
アタシは妹を思い浮かべながら、呼び名を口にした。
アタシが『みぃ』なら、妹は『くぅ』。