転校してきたクラス
アタシが転校してきたクラスでは、おかしな雰囲気が満ちていた。
それは1ヶ月ほど前、自殺してしまった女子生徒がいるせいだという。
クラスの生徒達は何故か、その女の子の祟りだという不幸な出来事が重なっているらしい。
その出来事の本当の意味は―?
「刈宮美湖です。これからよろしくお願いします」
ざわざわ…
クラス中がざわめく。
まあ転校生なんて珍しいし、こういう反応は想定内。
けど…何でみんなして、アタシの顔を見て、変な顔をするかなぁ?
まあ中学3年生で転校してくるなんて、よっぽどの理由があるんだろうって思われているんだろうな。
「静かに! それじゃあ刈宮はあの空いている席に」
「はい」
若い担任の男性も、何だか様子がおかしい。
アタシと目を合わせないようにしているのが分かる。
けれど気にせず、アタシは言われた通り、窓際の一番後ろの席に座った。
するとざわめきはよりいっそう大きくなる。
「静かにしないか! 授業を始めるぞ!」
何だか…あんまり歓迎されていないみたい。
アタシはため息をつくと、意識を授業に向けた。
授業は驚くほど静かに進んだ。
今の時代、ヒソヒソ話をする生徒や、何かしている生徒の1人や2人、いてもおかしくないものだけど、ここの生徒達は真面目なんだなぁ。
感心しながら、一時間目の授業終了。
休み時間になると、一定の距離を置きながら、クラスメート達が作り笑いを浮かべてアタシを見た。
「かっ刈宮さん、これからよろしくね」
「分からないことがあれば、何でも聞いてね」
「あっありがとう」
どうやら邪険にされているワケではないので、ほっと一息。
「じゃあ早速だけど、1つ聞いてもいい?」
「なっなに?」
「どうしてアタシ、みんなに怖がられているのかなぁ?」
「えっと…」
「それは…」
ズバリ聞くと、みんな気まずそうに視線を外された。
「似ているんだよ、キミ」
するとメガネをかけた、真面目そうな男子生徒が難しい顔をして答えてくれた。
「似てるって誰に?」
「一ヶ月前、自殺したこのクラスの女子生徒に」
「おっおい!」
「止めなよ!」
口々にクラスメートが止める中、男子生徒は続ける。
「まあ瓜二つってワケじゃないけど、何となく雰囲気が似ているんだ。彼女の席は、ちょうど今キミが座っている席だしね」
「はぁ…。でも自殺って、何が原因で?」
「…詳しくは知らない。でも彼女の家は複雑だったみたいだし、受験ノイローゼじゃないかって言われている」
「遺書とかはなかったの?」
「あっああ…」