プロローグ② 草原
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「ーーーーーん」
そよそよと頬に風があたるのを感じ目を開く
「眩しっ」
視界に入った青空と太陽の明るさに目を細めた
よっと身体を起こすと草原の真ん中に私はいた
ぽかぽかと暖かい気温に背伸びをすると風に揺れる長い髪が視界に入りギョッとする
「えっ?!」
慌てて手を背中に回すと確かにある……
え??? え??? 私の髪の毛は黒髪で、ショートだったはず……だよね!?
何度確かめても触れる髪は長く茶色い
「何これ!?」
混乱し気付かなかったが、服も見たことない物を着ている
紺の詰襟のワンピースに白のリボン、更に上にある白の布のような物が可愛い
一見ファンタジーの世界に入ったかのような衣装に目を疑った
可愛いけど! 可愛いけど私には似合わなくない?!
その場で手をあちらこちらへ動かし確認するが
ポケットに見た事も無いメダルのような物とお札のような物が数枚入っている以外に
私の知る私の所持品は何1つない
着ていた学生服もスマホもない……
視界に入る物全て知らない物ばかりなのは初めてだ
「ーーー目を閉じて願えば」
脳裏に浮かぶ光る玉の言葉
あ!!? これ、あの夢の続き……!?
願ったから、こうなった……?って事???
じゃあ、顔はどうなっているんだろう
あの時、可愛くなりたいと願った
顔も違う……?
鏡……はない……よね
手でぺたぺたと顔を触るけどいまいち判らない
あの時の光の玉も……いない
と、とにかく、どこか鏡のある所……
辺りを見回すと草原が広がっている先に街のような物が見えた
不安もあるけど、あそこまで行こうと歩き出す足は
実は少しだけ軽い
(続く)