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私は常に独り。
私には時間の制限も流れもなく居場所もない。
彷徨い続け幸せの中の人達を遠くから見ているだけ。
無垢な子供にしかこの姿は見えず、それでも触れられる時間は少ない。
私は常に独り。
出会った子供達は私を置いて大人になっていくのだから。
それが私、シス・クルシアナの運命。
どうする事も出来ない。
そして今日も私は独り。
永過ぎる時間の中で数多くの子供と出会い別れた。
独りは寂しいもの。
だから、直ぐ別れのくる出会いでも私にとってはつかの間の安らぎであり、 唯一の生き甲斐となっていた。
時折、 出会った子供を仲間にと考えてしまうが、 永遠の辛さは私が一番判っている…..だから
めるのが正しいと知っている。
そして時間が瞬く間に経ち、ふと見掛ける出会った子供達の成長した姿。
家庭を持ち幸せそうにしている姿。
やはり連れて行かなくて良かったと痛い程に実感する。
私が必要以上に願ってしまう事は無垢な子供の不幸を招くだけなのだから…..。
あの日、私は自然に囲まれた小さな村に隣接している森に降り立った。
辺りを見回し、懐かしさが込み上げる。
20年ほど前に1度来た事があった。
そして、この森で一人の心優しい少女に出会った・・・。
私にとって忘れ難い思い出なのかもしれないわ。 突然、 此処に来たくなったのだから。
直ぐに思い出せそうなくらい鮮明で、 暖かな思い出。
そう、あの日もこんな穏やかな日だった….....
第一話 つかの間の出会い
そう… あの日・・・・・・
久々に私は外界に行く事にした。
選んだのは小さな村に隣接した森。青々として美しい木々に目を引かれたからだ。
私は特に大きな木の幹に降り立ち、そこに座り木漏れ日を見ている事にした。
葉の隙間から差し込む光は美しかった。
いつ迄も見ていたい位に心地好く、木々の声を聞いたり精霊の囁きに耳を傾けたり小鳥の囀り
を聞いたりと本当に穏やかな時間だった。
つぶ
目を瞑れば木や花の香りがする。
私が自然に溶け込んでいると、
「あっ!」
と下から声がした。
何だろ?と目をやると、子供が倒れていた。
どうやら石に躓いて転んだらしい。