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戦闘重機、益荒男(ますらお)っ、改め撫子(なでしこ)っ  作者: トウフキヌゴシ
第二章、ガゼフ内乱

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たたかうぜっ

 戦況図にアイン(1)からエルフ(11)までナンバリングされた機体が写っている。

 狙撃され二機墜とされていた。

 リヒテの愛機である紅い機体、”FW190”の近くに三機、”BF109”が飛んでいる。

 この三機は、基本通り対狙撃用に不規則飛行をしていたようだ。

 通信を繋ぐ。

 パパパと気の弱そうな三人の顔が空間表示される。

 機体の紋章から子爵の令息と男爵の令息の二人だ。


「そこの三機、墜とされた機体を回収しろ」

「は、はい」

 三人からオドオドと答えが返って来る。

「んん⤵」

 一応、飛行隊の隊長であるリヒテがすごむ。

「「「イエスマアム」」」

「よろしい。 戦場から押しのけるだけでいい」


 宇宙戦闘機の戦いは、飛行形態で高速移動。

 人型形態で戦闘を行う。

 先をいく機体が、白兵戦距離に入った。

 合計6機が思い思いに人型に変形していく。


「ははは、なんだあれは」

 鈍重そうな機体に、

「鶏ガラか?」

 装甲がほとんどない機体。

 異常にハイになった貴族令息たちが叫ぶ。

 

「お先にっ」

 先頭を飛んでいた機体だ。

 飛行形態のタイプゼロが見えた。

 手に持ったEMP36短機関銃を向ける。

 次の瞬間、

「バンザアアアイ」

 広域無線から男性の雄叫びが聞こえた。

「えっ」

 視界一面に映る一つ目のカメラ。

 白に銀色のエンブレービングを施された胸部。

 左右の装甲ごと外されエンブレービングの端が欠けている。

 目の前に人型に変形したタイプゼロがいた。

「うわあああああ」

 ドオオン

 強烈な衝撃に意識を失った。



「……?」

 宇宙戦闘機でもっとも無防備な瞬間は変形の時である。

 どんな高性能機でも変形に20秒はかかる。

 その間は、攻撃も防御も回避もできない。


「バンザアアアイ」


 サカイは雄叫びを上げた。

 機体の手には銃剣付きの三八式歩兵銃。

 旧東和皇国軍の得意戦法、銃剣突撃バンザイアタックである。

 機体を身近な敵機に加速させながら変形。

 敵機の目の前で変形完了。

 銀閃二つ。

 銃剣で敵機の両肩を切り、別の敵機の方へ蹴り飛ばした。

 自分と同じくらいの重さの機体をぶつけられた別の敵機は、電磁防御壁シールドを破られ、シールドブースターを撒き散らしながらながら吹き飛んだ。


「二機撃墜」

 サカイが冷静に言う。

 

「うわああ、来るな、来るなああ」

 レーザーブレードを抜きながら叫ぶ敵機。

 サカイは、一瞬で近づき銃剣を電磁防御壁シールドの中に突き入れ、引き金を引く。

 DB601エンジンを撃ち抜いた。

「三機目」

 その敵機を盾にしながら歩兵銃をリロード。

 薬莢が飛び出る。

 次の機体に行こうとしてやめた。

 オレンジ色のかたまりがその機体を吹き飛ばしたからだ。

「ヒットなのジャ」

 撫子なでしこの狙撃である。 

 これで白兵戦距離にいた敵機を四機撃墜。

 大きな紋章をつけた二機が残る。


 ガガガガガ



「むう、味方ごとか」

 盾にしていた敵機が銃撃され火を噴いた。 

普通、敵味方識別信号《IFF》で引き金をロックされるため、味方を撃つことはできない。

  敵味方識別信号《IFF》を切った様である。

 上の二機が盛んに撃ってきていた。

 サカイが不愉快そうに眉をひそめると同時に、20ミリ機関砲と7.7ミリ機関砲の安全装置を外した。

 味方ごと撃ってきている敵機に、


 ドドン


 左右のシールドブースターに装備された20ミリ機関砲を当てる。

 二発で電磁防御壁シールドが消えた。

 そのあと、7.7ミリ機関銃を浴びせる。

「ひいいい」

 パイロットが悲鳴を上げた。

「うわああ、誰か助けろお」

 味方を撃っていたもう一機が背中をむけて逃げ出した。

 サカイは機体を前進させながら変形。

 機体の真ん中に飛び出た三八式歩兵銃の銃剣で衝角突撃ラムアタック

 胴体を真っ二つにした。



「味方ごと撃ちやがった」

 リヒテのあきれと怒りの交じった声だ。

 撃ったのはアウディー侯爵令息とバイエルン伯爵令息。

「怒らせたな」

 バイエルン伯爵令息は鉢の巣に、アウディー侯爵令息は真っ二つにされた。

 二機とも脱出装置が作動しているので死んではいないだろう。

 六機を撃墜した時間は約5分。

 ――ウルトラエースの名は伊達じゃないな

「私が時間を稼ぐ、その間に負傷者を回収しろ」

「「「イエスマアム」」」

 残った三機に命令を出し、ゼロ戦に向けて機体を加速させた。


 デルタ翼と短い前進翼をそなえた紅い大柄な機体。

 十字のカメラレール。

 本体には、ラインメタルMG17モーターカノン。


 タイプゼロとヘッドオン(正面どうし)。

 胴体の下に吊るしたMG42機関銃を一斉射した。

「くっ」

 怯ませようとするも最小限の動きで回避された。

 前に進みながら変形。

 レーザーブレードを抜いた。

 そのまま斬りかかるも、ヌルリという感じでかわされる。

 二機は八の字を書くように反対方向にカーブしながら移動した。

 図らずも、貴族同士が決闘をするような形である。

 時には20ミリ機関砲、時にはMG17モーターカノン。

 お互い、正面からすれ違いながら攻撃を繰り返す。

 何度かすれ違った。


「強いっ」 


 リヒテの機体だけが一方的に削られていく。

「リヒテ隊長っ、負傷者回収出来ましたっ」

 三機から明るい声で報告が入った。

「よしっ、よくやったっ、撤退だっ」

 八の字の部分で自軍の艦の方に。

 見逃してくれたようだ追撃は無かった。

 残ったのは、リヒテと三機の計四機。 

 ここに、十二機いたガゼフの宇宙戦闘機隊は壊滅したのである。


 パ、パ、パアア


 リヒテが、傷ついた愛機をだましだまし飛ばしていると、背後が赤く染まった。 

 振り向くと赤い信号弾を三発、撫子なでしこが打ち上げていた。

 

「赤玉、三発っ!?」


 その意味は、”敵味方構わずその場から逃げろ”である。

 

 ヴヴヴヴヴ


「あれはっ」

 撫子なでしこの腹部に特徴的な光の収束が見えたのだった。


 

 

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