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また歩み始める〜貴族なのに国で1番苦労する地位  作者: ハネハル
0章 幼少の戦い
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王女様の誕生日パーティー 2

 それはどのくらい経った後だろうか。時間にして分のような気もするし数十分のような感じもする。その間もノエルとアルに近づくような貴族はいなく、周りには少しスペースが空いていた。

 ただ最初に来た時よりも貴族の数が倍近くなった時だった。


 言い様のない、不安と沈黙が会場を襲った。先程までガヤガヤとしていた音は一瞬でなくなりその場の全員が姿を見せる前から膝を着いていた。

 ノエルもとてつもなく気を遣いながら小さな声でアルに知らせて一緒に膝を着いた。


 それからすぐだった、のしのしと聞こえてきそうな足音を鳴らしながら1メートル80程のガタイのいい男が入ってき、その隣には緩く巻かれた金髪に淡い水色のドレスを着た女性、その後ろには小柄で煌びやかな純白のドレスを身に纏った少女が続けて入ってきた。


 入ってきた王、ルキア8世は入口の前で止まりそれに続く形で王妃と王女のエクスが立ち止まった。兄である2人は並ぶことなく既にこの会場に紛れ込んでいるのだが王であるルキア8世とは家族と言うより家臣のような立場なので頭を下げている。


「今日という日に1人の欠席もなく集まれたこと、我は嬉しく思うぞ。今日は5歳という節目という事もあり集まってもらったがこの機会に是非楽しんでくれると嬉しい限りだ」




「変わり私エクス・ルキアが話させてもらおう。今日は私のため集まってくれて感謝する。ただまずは立ってもらおう、今日は私が話しかけるまで話しかけてくるな以上だ、後はお父様と同じく楽しんでもらえれば幸いだ」


 驕慢、傲岸、不遜、傲慢、まるで全ての者を見下すようなセリフに唖然とするがただそれだけでは無いと誰もが感じていた。そのセリフにはらまさしくカリスマと呼ぶべき何かが込められ、先程のルキア8世の言葉よりもインパクトがあった。

 これには流石にルキア8世も驚いていたようだが何も追求することもなくそのままパーティーは開催された。


 ノエルの元へ王女のエクスが来るようなことがある訳もなく、まず最初に星等級の領主の所に挨拶に行き次に1等級に回っているのを見て安心した。

 ノエルもノエルでパーティーを完全に楽しんでいた、いつもは食べれないような高級料理達に無我夢中で皿に取り分けて食していた。これにはアルも美味しいと嬉しそうにしており2人で全ての100品以上を食べようと話す程だった。


 そんな時周りがザワザワと真っ二つに割れた。その割れた道を歩くのは傍に1人だけ控えさしているエクスだった。その瞳は真っ直ぐノエルを射抜き、その歩みは何者も邪魔などできなかった。


「パーティーは楽しんでくれてるようね」

「は! 今日はこの様な素晴らしいパーティーに招待され光栄です!」

「そんな畏まらなくて良いから立ちなさい」

「やあやあ2人とも僕もいるよぉ」


 アルから食器を取り大急ぎで膝を着く2人に先程までの態度ではなく、まるで対等な様に話しかけるエクス。

 その言葉に立ちはするが相手は王女、例え相手がフレンドリーだとしても一切気を抜けないノエルとアル。だがその声を聞き姿を目にした時無意識に身体は動きアルを庇うように少し前に出ていた。


「私は席を外した方がよろしいでしょうか」

「そのままで大丈夫だわ、ただ将来有望そうな2人に挨拶しておきたかっただけだから」

「そうですか。ノエル様は分かりますが私もですか?」

「そうよ、例えばもう魔力を使える(、、、、、、)とか?」


 ノエルはただ真っ直ぐに黒髪の少年、ハルマを睨みつけ、それを余裕の表情で流すハルマはエクスの横に並んでいる。


 今ノエル達の近くに人はいなくポッカリと穴が空いたようにスペースが出来ていた。だからエクスとのやり取りは周りには聞こえていなかったが、睨みつけていたノエルすらもその情報に驚きエクスの目を見てしまった。


「ど、どうしてそれを?」

「あそこではしゃいでいる方の声が聞こえてしまったの」


 ノエルがポロリと零した質問に、エクスはクスリとはにかむ様に振り向き答えた。そこに居たのは4等級貴族たちと談笑していたイレス達だった。


「そんなことよりもさぁこの前の『怪我』大丈夫」


 会話の間に突如入ってきた声。怪我という単語を強調したそれは完全にノエルを煽るもので、隣に王女がいようとお構い無しで来るハルマにイラッとしながも何とか抑える。


「何とかな、それより何でお前がそこにいるんだ」


 今も痛む身体に鞭を打ち、抑えてなお言葉の端々にトゲトゲしさは残るがそれでも対話に挑むがその態度、表情、喋り方どれもが気に入らない。


「これでも僕はエクス様の護衛だからね、勇者っていう肩書きだけの物だけどねぇ」

「余計なことを喋るな、護衛なら口を開かないで欲しいものね」


「邪魔をしたわ。来年が楽しみね」


 それだけ言い残しすぐにどこかへ行ってしまい声をかけることさえできなかった。

 ポッカリとスペースは空いたままでノエル達に近づく貴族は同じ等級ですらいなかった。

 そしてこのパーティーで知らず知らずの内に敵を作っているのを知る由もないノエルだった。


 王女であるエクスと護衛のハルマが去った後はまた食事を再開したが料理が喉を通らず先程と昨日のことを考えると込み上げてくる感情を押し殺すことに精一杯になり、気づいたらパーティーはお開きになっていた。帰りの馬車でエクスと何を話したのか根掘り葉掘り聞かれるノエルとアルだったがただ有望だからと挨拶に来ただけと答えた。


 来年、ノエル達が学園に通う事になるまであと10ヶ月と少し。また学園で再開することになるだろうと不思議と確信しているノエルは次こそは勝つと意気込みノルン領へと帰宅した。




 それから月日は目まぐるしく周り、あっという間に学園に入学する時期に差し掛かっていた。

 身長は伸び、服は新しいものを数着用意した。髪も伸ばし今では肩に着くまで伸びていて手入れが大変だったりする。


 これから小等部、中等部、高等部とそれぞれ6年、3年、3年の拘束期間が待っていた。

 そして計12年間を王都で過ごすことになるのだが、年に2回、春と秋に帰宅を許されているのだが、一生の別れのように悲しんでいるイレスをほっといてさっさと馬車に乗るノエルだった。

 父と母から渡された空間収納ポーチ(50万リア)を腰につけ旅立とうとしていた。


「ノエル元気でね」

「ノエル!アルちゃんのこと、泣かすなよ!」


「アル、ノエルくんにあまり迷惑かけませんように」


 これ以上話していたら本当にタイミングが分からなくなってしまうからと言ってアルと一緒に馬車に乗り込み、ノルン領を後にして王都に向かった。


 道中邪魔するものは何も無く、魔物も出ない快適な旅であっという間に王都に着いてしまった。


 そして10日後には学園で勉強を開始しているという、期待に胸を膨らませ王都に入った。

補足。

1リラ=1円

空間収納ポーチ。

最低額10万リア〜上限なし。

ノエルのポーチ。そこそこ良い奴。(容量50キロ)


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