プロローグ
ルキア王国。初代国王が作ったと言われるこの国は完全実力至上主義を掲げ強い者は名誉を富を得て、弱い者は全てを奪われる、そんな国だった。
弱肉強食なこの国でも貴族制度があるため平民に生まれてしまえば苦しいことは確かではあったがまだ救いはあった。
王族、星等級、1等級、2等級、3等級、4等級、5等級、と上から権力が強い順に別れており、3等級以上の家庭で生まれることが出来れば幸せな人生を送ることが出来たのだろう。5等級でも期待さえされない為まだ楽であった。だが4等級、ここの家庭で生まれしまったら地獄を見ることになるだろう。
3等級以上の嘲笑、侮蔑、5等級の妬み、恨み、その間に挟まれている4等級はそれら全てを受けることになる。それは初代ルキア王国からの暗黙の了解と言うやつであり、変わらない事実であった。
そしてもう一つ、4等級の人間は『大器晩成』、無事生きて弛まぬ鍛錬の据え成長することができたのならば、最強の名を欲しいままにしている勇者と同等の力を得るとも噂されていた。
だがそれは初代国王の夢物語とも言われ、本当のことは誰も知らなかった。
そんな国で4等級として生を受けてしまった憐れな男による物語が始まろうとしているのであった。