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79話.救う決意。

一旦ちょっと短いか。

---------------------

<フランク視点>


 陛下に叱られてから…。

 叱責されてから。

 叱咤されてから?

 まあ、言い方を変えても同じか。


 少し、ヘコんだ。

 業務はいつも通りこなせていた…と思う。

 いや、出来ていたのだろう。

 で無ければ、ディゼル宰相閣下が文句を言ってこなかったことからそれは、多分間違いない。


 ヘコんだのは何も、怒られたからだけではない。

 農業用魔導具の作成と、その指導、監督に加え、幾つかの細々とした戦場に駆り出された。


 それで分かったことは、この前の敵兵は正規の兵ではなく、威力偵察隊として兵役につかされた奴隷、或いは死刑囚の集団であったと言う事。

 そして、人を手に掛けた…いや、殺した負荷は後々になってのしかかってくると言う事。


 その時は、やらなきゃやられる、と自分を納得させられるが、落ち着くとどうしても本当にそれで良かったのかと考えてしまう。

 陛下のように、何も、考えないとはいかなかった。

 私は私なりに、考えて答えを出すことにした。


「陛下!私は目標を見つける事にしました!」


 思えば、陛下が私に最初に命じたのもそう言った内容だったか。


「ふんっ。そうか…。」


 それを聞いた陛下が満足げにそうとだけ言って、手で虫を払うかのようにして私に退室を促したので、その日はそれで解散となった。


 目標を決めることが目標など、我ながら消極的な設定だ。

 だがそれも仕方がない。


 一度目の生では、自分の心を殺して生きた結果、それに耐え切れず自死を選び。

 二度目の生では、アンバーに過去の自分を重ねて、それを助けることで過去の自分が救われた気になろうとしていた。

 どちらも、何か理由があったわけではなく、ただ何となくそうすべきなのだろうと思ったからそうしただけで、私は主体性などかけらも持ち合わせていないのだ。


 きっと一度目の生であれば、それを悲観的に捉えていたことだろう。

 けど今は、今までのことを気にしても仕方ないと考えている、自分がいる。


 良い悪いではなく。

 ただ自分がそう変化していると言う確認。

 自認をする。


 まあ、そう宣言したところで目標など簡単に見つかる訳もなく。

 いや違うか、ノエルを助けたい、その気持ちに勝るものに出会えていない。

 きっと、ただそれだけのことだ。


 そういう意味では、今日と言う日は大きな意味を持つのかもしれなかった。


 15歳。

 ノエルが成長を止められた年齢。

 人としてのあるべき姿を外れさせられた年齢。


 その年齢に私が達して、初めての『神の母』への謁見の日。


 扉が開いた瞬間に目に入るノエルの姿は、部屋の内装に負けない程、白く。

 三か月前に切ったはずのその栗色のその髪は、椅子に腰かけた状態では地に垂れる程に伸ばされていた。

 それは、『再誕と死』の神たるドウェインの仕業に他ならない。


 「お前程度では、ノエルを変えられない。」そう言う宣言だろう。


「よう!ノエル。今日は髪切る日だな!」


 それは、その通りなのだろう。

 ノエルの髪は、私の魔法を受けて手入れされていた時よりも更に、艶やかで、滑らかな質感をしていた。

 それでも、私はノエルと二人で探索者をしていた時のように、髪を切る。


 他愛もない話をしながら。

 ノエルからの返答は、まだ一度たりともない。

 それでも、こうして何か抗って見せないと…何かが壊れてしまいそうな気がしていたのだ。


 その何かが、僅かに残ったノエルの心なのか、私の心の心なのかは分からない。

 或いは、その両方なのかもしれない。

 でも、この抵抗も意味がないとも分かっている。


「次は…。前が…み…。…あれ?」


 気付けば私は涙を流していた。

 前髪を整えようとして、ノエルの顔を見た途端だった。


 どれだけ拭おうとも溢れ続けるそれに、どうしていいのか分からず、思わずノエルの眼を見つめてしまった。

 そこに答えなど無いと、そう理解していたはずなのに。


 見つめたノエルは、困ったように眉をひそめていた。


 いつものように無表情だと思っていた親友に泣き顔を見られることに、途端に気恥ずかしさを覚えてしまい、ノエルの腹に顔を押し付ける様にして顔を見せないようにすることしか出来なかった。


「なあ、ノエル…。俺お前と同い年になっちまったよ…。」


 どれほどの時間そうしていたか正確には分からないが、それなりの時間そうしてから、俺は顔を上げて親友へ謝罪する。


「悪かったな。しっかり前髪を整えてやるから、おとなしくしてろよ?」


 まだ、瞼が腫れぼったい気もしたが、それ出来るだけ感じさせないように笑顔を作って、そう言った。

 切った髪の処理などを済ませていると、声が掛かった。


「もう、よいのか?」


 陛下。

 そう言えばこの人も居たんだったな。


 一息だけ大きく呼吸してから応える。

 俺から、私へと、気持ちを整えるために。


「はい!もう十分です。それと、陛下。私は目標を定めました。」


 ノエルと会って、決意も決まった。


「そうか。申してみよ。」


 陛下は短くそう言った。

 私が何を言おうと、受け止めて見せる。

 きっと、そう言う事なのだろう。


「私はノエルを救います。今までのようにただ漠然とした意志ではなく。私の確固たる決意を持って。」

読んでくれている人がいるとわかるとテンションが爆上がりします。


星1でもいいので評価していただければ幸いです。


ブックマークをして頂ければさらに喜びます。




何卒、何卒ぉ

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