7話.魔力とは
今回短いです。ごめんなさい。
とりあえず、続けていくことに重点をおいて投稿します。
それから、暇さえあればマナを感じることに集中するようになった。
俺がマナの存在を確認するためには、肌に服が張り付く不快感のようなものを感じなければならなかった。
だが、その少しの不快感は何度も感じるうちに、慣れるようになった。
マナの知覚が出来る範囲は徐々に広くなっていった。
範囲が広くなっていくにつれて、肌についている液体の粘度が上がったような感覚も伴った。
まるで、知覚できる範囲に存在する、強く濃いマナの粒子のようなものが肌にすりついてくるようだった。
二歳になるころには、集中せずともこの感覚を感じながら生活出来るようになった。
この状態まで習得すると、次のステップに進むべきと、「初めての魔法-初級-」の最後のページに書かれていた。
そして、それは「初めての魔法-中級-」に詳しく書かれているらしい。
中級もその先の上級もアンバーの部屋にあるらしく、マナの知覚をマスターできれば次を読んであげると、アンバーは言っていた。
俺はこのマナというものの存在が空中に異常に多く、呼吸などで自然に体内入るようだった。
空気の次に、人や鳥や虫などの動物に、植物、地面という順に薄くなっていくことに気が付いたのは割とはやかったと思う。
外にあるまだ生きている木は、家の建材として使用されている木材に比べてマナが濃いなど、その状態で多少の濃淡があったがおおよそこの順番は覆らなかった。
意外だったことは、人間では多少の差は在れど個人差というものはそうなかった。
(魔法を使えるアンバーの方マナが濃いと思っていたんだけどな。)
確かに、俺が出会った人間の中ではアンバーが一番その体内にあるマナは濃かったが、それが魔法を使えるか否かを決める程の物とは素人の感想としては思えなかった。
むしろ、空気中にあるマナを意識して自分の体の中に取り込もうとした、俺のほうがマナの濃度としてはアンバーより髙かった。
この、マナの知覚という体感できる元の世界から考えるなら、非日常、異常ととれるものは意外に楽しかった。
より簡単にあらわすなら、子供っぽくなってしまうかもしれないがワクワクできた。
俺は、次のステップに進めるようになってからも、マナを知覚できる範囲をより広げていくことを目標としていた。
範囲を広げることで、その濃淡からその場所に何があるのか見ずとも知れるように、大まかにでも理解できるようになると思ったからだ。
結論からすればそれは可能だった。
ただ、俺が出来るようになったのは濃いすりガラス越しに物を見るようなもので、見知った場所であればそこに何があるのか元々知っているから推測できるだけだった。
これ以上、この能力の解像度を上げることは難しいと考えた俺は、そこで初めてアンバーに中級の本を読んでもらいに行くことにした。
「あら、意外と時間がかかったわね。」
(なんてこと言うんだ!)
俺が本当に2歳児で、やっとのことで何かを習得してきた後でこんなこと言われたら心が折れるかもしれない。
(まぁ魔法を使えない人も多い世界で、出来ることが前提の発言は期待されていたと捉えるべきなのかもしれない。)
そう考えると、悪くない気もする。
実際、マナの知覚を習得するだけなら随分前に終わっていたわけだし、アンバーの想定は正確だったのだろう。
(我が姉兼、師匠様は思っていたより、優等生なのかもしれないな。)
望んでもない幸運に、笑顔になってしまう。
「ご本、読んで。」
目的は、端的に伝えることにした。
初級を読んでもらった時は、それだけで一週間かかってしまった。
今回も、そんなにゆっくり時間をかけていたいわけじゃない。
そんな、俺を見てアンバーがどう思ったのかはわからない。
ただ、一瞬驚いたような顔をした後すぐに、いたずらをした子供のような笑顔になった。
「そうね、わかったわ。」
そして、俺と同じように端的に返した。
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俺の懸念したいたようなことはなく、中級の本は日を跨ぐことすらなく終わった。
中級の本に書かれていたことは、普通マナというもの体内に入ったとしてもすぐに空中にかえってしまう。
そのマナを体内に取り込み循環させることで、別の魔力というもの変え、自分の体でエネルギーとして蓄えるということだった。
「あ、できた。」
「え!?」
本を読んでいる途中に俺がマナを魔力に変換する技術を習得したことで、姉との読書会は中断となった。