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75話.「お母さんに言うからな!」作戦

全く思い浮かんでないですけど、戦闘描写の練習もしないといけないとですよねぇ。


今回の話は週一投稿続けてたら、二年後とかに役に立つ話ですね。

最早自分ですら覚えてなさそうだな、って思いながらやらないよりまし。

と言うか、そういう練習もしないといけないなって思ってやってます。

「これで、良しっか。」


 小さな東屋ぐらいの魔導具を組み立て終えた私は、背中を逸らして筋肉のコリをほぐす。

 一切飾り気のない金属壁にも見えるそれは、実質的には魔導具の入った小屋だ。

 外壁は雨風や、良からぬ者を阻むために設置した側面が大きく。

 魔導具本体も「身体強化」の疑似魔眼の応用で、硬化させることも出来たが、それでも複数人が本気で壊そうとすれば、魔導具の機能を停止させる程度は出来るかもしれない。


 結果、硬化は壁のみに掛け、中に入って整備するための空間を確保すると、装置全体が巨大化してしまった。

 その辺りは、今後の整備担当が効率化していくことだろう。


「とりあえず、こっちは問題ないだろう。」


 魔導具の方は二、三日経過を見て問題なければそれでいい。

 問題は別の所にある。


 魔導具の設置期間。

 当然、村内の人間と話す機会は何度となくあった。

 食料や、細かな道具、火を移すための薪などを購入する際や、田畑に関しての質問をした際。


 そこで会話した人々の、老若問わずその誰もが、暗く、痩けていた。

 村にいる人間に比べて十分な面積のある田畑を有しているにも関わらず、だ。


 その表情には、覚えがあった。

 私自身や、或いは前世の姉であるアンバーが幼い頃にしていた表情。

 自分では及びつかない大きな力、何か集団であったり、権力であったりに絶望している顔だ。


 私が許可を取った後、田畑の水路を魔法で変えた時も。


「あぁ…。魔法とはすごい物ですね…。」


 田畑を管理する者達の代表らしき人は、そのぐらいの反応しかなかった。


「あ!あの…。もし可能でしたら…。」


 ただ、その誰もが無気力になり切っていたわけではないらしく。

 私に声を掛けて来る者もいた。

 その改善案を一つ形にすると、次の案が徐々に他の者の口からも飛び出してきた。


 何人もの人間が労力と時間を掛けて行うことを、一歩も動くことなく短時間で済ませてしまう。

 改めて魔法と言うものの力を実感する。


 やはりと言うべきか、実働に従事している者達の声は、本で齧った程度の私の知識や発想を優に越えていた。

 そしてその者達から信頼されて代表とされた人物は、二つの意見がぶつかった時の妥協点へ導く手腕を持っていた。


 彼らは優秀だ。

 数週間共に過ごした私は、素直にそう感じた。


 ただ、彼らの中にもいくつかの改善案は有っても、それを実行に移すための労力を持っていても。

 彼ら自身に報酬が行き届かないから、何もしない。

 そういう状態だったようだ。


 そういう問題の解決方法で古今東西問わず通用する手は、一つしか知らない。


「彼らは優秀です。」


 痩けた村人達と、肥えた村長に別れを告げた後、私は魔導具の設置報告のついでとばかりにあの村の問題点を陛下に告げ、そう報告を締めくくった。

 私が知る唯一の解決策。


 即ち、「上司に告げ口」作戦だ。

 場合によっては、「お母さんに言うからな!」作戦とも言う。


「なるほどな。」


 宰相の椅子でやはりふんぞり返ったままの陛下は、それを聞いて一つ鼻で笑ってからそう言った。


「…。腐敗の根源は騎士でしょうな。」


 数瞬の後に、やはり自分の椅子の横で立ったままの宰相はめんどくさそうにそう言った。

 その言葉が事実であれば、宰相どころか、その部下の仕事ですらないからだろう。


「そこは確実だな。…執務官はどうだ?」


 何やら、私の理解出来ぬところで意見が合致した二人の会話は、私を置き去りにしたまま進行してしまう。


「可能性はありますが。まぁ、あったとしても別件でしょう。とりあえず、そこの騎士達は貴族も含め調査後、問題があれば処罰するよう通達いたします。」


 そして、その会話はやはり私の理解が追いつく間もなく、そのまま終了した。


「あの…。何故、その領地の貴族ではなく、騎士だと?」


 それでもやはり納得のいかない私は、隙をみて素直な疑問を差し込んだ。

 その疑問に陛下はニヤリと笑い、宰相は呆れたように目を閉じた。


「まず、村人達が痩せこけている時点で、その村に見合わない税が掛けられているのは疑いようがない。」


 先陣を切って話始めた陛下に対して、頷くことで同意を示す。

 私もそう思ったからこそ、報告をしたのだから。


「水路の変更など、村全体の田畑に関わる決定を村人の総意や代表者が行っている時点で、その村に個人の田畑と言う概念はない。」


 確かに、村人に各々決められた耕すべき区画は有ったが、誰の農地と言った物はなかった。

 それは、その領地の政策の、つまりは貴族の決定によるものだ。


「村人個人の田畑の自由を認めないことで、個人間の貧富の差をなくす政策ですな。安定はしますが、同時に競争意識も薄れる、消極的な政策です。」


 文官で、戦に赴くことのない点から、保守的な印象のある宰相の意見は攻撃的な言葉だった。

 意外と、政に関しては攻めた性格のようだ。

 そう言った、根っこの気質が陛下と気が合うのだろう。


「ふん!まぁ、要はそこを治める貴族は、村人の細かな富すら許せぬ、小物と言う事だ。」


 優秀な者を長用することを良しとする陛下とは対立的な考え方と言う事だろう。

 そして、同時にやはり先程と同じ疑問を持ってしまう。


「村人の富を許せないから、貴族が重税を課しているのでは?」


 それを陛下は首を振って否定する。


「フランクゥ…。貴様は何もわかってない。自分より下の者の小さな富すら許せぬのであれば、村長が肥えているのはなぜだ。」


 確かに。

 貴族が村の貧困を望んでいるのなら、村長も同様に痩けているはずだ。


 村長と言えど一つの村の人間が、その領地の貴族以上の者に連絡を取る手段など早々ない。

 元凶が貴族であるなら、村長ごと無気力にさせて、苦情は自分で封殺してしまえば良いと言う事か。


「なるほど…。村長と共謀する必要がある者が貧困の理由である。と」


 だが、各地に税を接収しに行く騎士達であれば、村長と共謀する理由が出てくる。

 村の人間がその領地を治める貴族に、貴族の代行でしかない彼らの悪事を、行商人を介してでも手紙を渡すことで知らせてしまえば終わりだ。

 そうさせないために、村長を村内を監視させる目的で利用している。


 二人はそう読んだと言う事だろう。


「うむ、その通りだ。」


 満足げに頷いた陛下は、そのまま言葉を続ける。


「さて、フランク。貴様には次に戦場を経験してもらう。」

読んでくれている人がいるとわかるとテンションが爆上がりします。


星1でもいいので評価していただければ幸いです。


ブックマークをして頂ければさらに喜びます。




何卒、何卒ぉ

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