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74話.建築現場。

違うね。今回もまた。違うのね。


ていうか、前回も満足感がたかぁい!とか自分で言っておきながら。

寝て起きたら、ん~。やっぱあそこの文章いらなかったか?とか

違う気がして仕方が無くなったりってね。


まぁ、こうやって続けることで自分の得手不得手を理解していくと言うのも、価値ありと言う事で。

 陛下から、農業用の魔導具の制作、及びその汎用化の命を受けた私は。


「おぉい、フラァーンク!こっち頼むー。」


 建築現場にいた。


「はい!」


 騎士としての諸々は一度、隅に置いておいて。

 そうなってしまった。


 魔導具の制作自体は比較的すんなりといった。

 手始めに、前世で赤ん坊時代に読んだ農業に関する書籍の知識の実現を目指したところ。

 前世で師匠と制作した杖の「刻印魔術」の基礎知識と、魔石と言うこの世界の素材が合致した結果だ。


 元々、「刻印魔術」は魔石のような魔法的エネルギーを内包する物質がある世界の物だと、師匠は言っていたし、当然の結果と言えるのかもしれない。


「しっかし、魔法ッてぇのは意外に地味なもんだな。」


 私が魔法で、設計図通りに変形させる木材を眺めながら、手持無沙汰にそう呟く親方に、私もここに馴染んできたなと実感する。


「私はあまり普通の魔法みたいなものは使えないんですよね。」


 つらつらと適当な会話をしながら、設計図をしっかりと確かめながら木材の構成を組み替えていく。

 あまり釘などを使用しない部分は、木材内部の微妙な水分の変化なども計算に含められているらしく、素人目には何が違うのか分からない微細な差まで、魔法を突き詰めさせられたのは初めての経験だった。


 師匠からの魔法の指導は理論的な精確性はかなり求められたが、仕事しての魔法はその成果の精度を求められた。

 新鮮なであったし、魔法の技術は向上したと思うが、本題はそこではない。


「そろそろ、設計図でも書いてみっか?」


 本題はこれだ。

 私が行き詰ったのは、自分の頭の中にある物を自分の書きやすい様に書いても、他人には伝わらないと言うことだ。

 初めて絵を描いたときの様に、イメージと出来上がった実物が大きく乖離しているのだ。


 努力はした。

 実際に設計図を書いてみたりもした。

 ただ、もし数か月後の自分が見たら何を書いたか分からない気がする物を見て、独学を諦めた。


「はい!よろしくお願いします。」


 私が騎士としての生活で学んだ数少ない一つに、機会があれば出来るだけ前のめりに行った方が物事は上手く行くということがある。

 組織としてはどうなのかはまだ判断つかないが、個人としての評価はその傾向が強いと言える気がする。


「まぁ。忘れそうになっちまうが、おめぇも騎士様なわけだしな。いつまでも遊ばせておくわけにもいかねぇってのも本音ではあるけどな。」


 親方も、私がここに馴染みすぎていると思い始めているのだろう。


「でも、せっかく親方の所で学ばせてもらったんですから。最後に一つ何か建てて卒業にしたいですね。」


 それは偽らざる本心だった。

 如何に素人だろうと、何度も制作過程を見ていれば、どうしても自分だったらこうすると言ったアイディアが沸いてしまうものだ。

 以前ほど感情を表に出すことが無くなった私の機微を、察した親方はニカッっと笑い。


「そうだな!設計図書くなら、一軒立ててからが一人前ってな。」


 それから、通常の建築作業に作図作業が加わり、はっきり言って休む暇はないに等しかった。

 任されたのは大規模な建築ではなく、爵位の低い貴族の別邸か、中規模の商人の邸宅と言った家屋の設計だった。


 誰かからの依頼と言うわけではなく、そういうコンセプトの物を作ることで、購買層へ技術力のアピールをするための建築。

 私はそこに、農業用の中規模な魔導具を作成する前の練習としても、家の数か所に魔石を使用した小規模な魔導具を仕込んだ。


 自信作は、疑似魔眼の時にやった魔石に刻印を刻み、建材の刻印と合わせて鍵の役割を持たせることで、隠し扉を仕込んだところだ。


 それは、間違いなく悪ふざけの類だが、意外と親方たちにはウケた。

 最も反応が良かったのが、魔石など関係なく、魔法で継ぎ目をなくした半球状の屋根だったのは何とも言えない気持ちにはなったが。


 ともかく、無事設計図の書き方を習得し、それに問題がないことを確認するために、設計した家屋の建築が終わるまで見届けた後、私が目指したのは陛下から指定された辺境の町『リモーテリア』。


 家屋として倒壊の心配がない事を確かめても、私が設計図にまとめようとしている魔導具自体に問題がないことを確認するためのモデルが必要なのだ。


「あぁ…。ようこそおいでくださいました。」


 農業に困っていると言う割には、恰幅の良いと言うか、ふくよかな男性が村に着いた私にそう声を掛けてきた。

 恐らく、この村の村長か、その辺りだろう。


「こちらこそ、突然の訪問失礼します。」


 陛下から、国内の農業技術についての改善についての命を受けたことなど、来訪の理由を告げ、私が寝泊まりする貸家に案内してもらう。


「農業が楽になるのでしたら是非、村一同困っているのです。」


 などと、言ってはいたがどうにも村長自身に困った雰囲気があまりないのが気にかかった。

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