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73話.拝命。

ん~、五時やないかーい。

今回は、思った通りの表現が出来たとは思いませんが、ここまで話を進めようと思ったところまで頑張って掛けたので達成感はかなりあります。

だからなんだって話ですけどねw


キャラクターの動きもあまりない話ですが、お楽しみいただけたら幸いです。

 教育係の上官と話してから三か月ほど。


「はぁ…はぁ…。いつもごめんね。フランク君。」


 私は、壁に手を付いて息を整える、同期に「再生魔法」を掛けていた。

 あまりに大きい体のせいで、鎧を着ていると言うより板状の金属を身体に括りつけて走っていると言った印象を受ける、同期の感謝の言葉にいつも通り。


「気にするな。」


 と返す。

 この基礎訓練を受けよと命ぜられた陛下の真意は、まだ私には分からず。

 もう一つの、すべき事を考えろという命にも進捗は見られなかった。


 それでも、何とか頭を捻った結果。

 上官の予想も陛下の考えの一つとして、私が新人騎士に影響を与えることで国力の向上に尽力することにした。


 上官の言葉を借りるなら、私は上官と陛下。

 その二人に同時におもねる様にした。

 と言う事になるだろう。


 それを私自身がしたい事か、と聞かれたら、違うと答える。

 だが、したくないことかと聞かれたら、そうでもないと言うの事実だ。


 頭ではノエルこそが最優先であると、していながらも。

 誰かに感謝されると、どうしても嬉しくなってしまうものだった。


「いつもご苦労なことだな。」


 最後の走者を見届けた上官は、補佐から何事か言付けを受けた後、私に声を掛けてきた。


「私なりに陛下のお考えを理解した故の行動です。それに何の見返りもないわけではありませんし。」


 背筋を正して、率直に自分の考えを伝える。


「ほう?見返りか、貴公にそんなものを与えられる者…。新人の中には心当たりがないな。」


 そんなことはない。

 一つは、感謝を受けることでの自己満足だ。


「人を助けると、助けてもらえるものですよ。例えば剣術のコツを教えて貰えたり…。ですね。」


 私は確かに、新人騎士としての成績は良いほうだろう。

 それも、突出して、年単位か十年単位かは知った所ではないが。


「…。陛下の剣を最も理解していると言われる貴公でも、か?」


 今までの生では経験したことはなかったが、得てして優秀な人間はありとあらゆる分野において優秀であると、勘違いされるものらしい。

 ましてや、私が優秀なのはこれまでに二度の生を経験しているからで、私自身は凡人かそれ以下程度でしかないだろうに。


「陛下の剣と騎士の剣は違いますよ。騎士の剣は人の技術と言った印象を受けますが、陛下のは…。力任せのモンスターってところでしょう。私がそれを真似られるのは、元々の私の戦い方と似た部分があるおかげです。」


 元々、私の振るう剣は力と耐久性に任せたオーク達の剣に、機動力を付け加えただけの物だ。

 陛下の剣はそれより更に、オーク達の振るうそれに似ていた。

 オーク達は攻撃を受けても耐えうる可能性がある為、理にかなっていると思える部分も有るのだが。

 陛下は、脆弱な人の身ながら攻撃を喰らう事覚悟の突撃をする、私が敵の攻撃を避ける為に付け加えたそれを、より暴力的に使用する。


 はっきり言って人のそれではない。

 或いは、死して尚、神として『再誕』することが確定していると言われる陛下は、心のどこかで死んでも問題ないと思っているからなのかもしれないが。


「強力な物一つでは満足せず、凡庸な技術すら求めると言う事か。やはり、才ある者の考えは私には分からぬな。「身体強化」と言ったか。あれのおかげで今期の新人の成績は良好だ。前代未聞と言ってもいい。」


 剣術を教えて貰うために、私がそれを同期達に広めたことを褒める訳でも、貶す訳でもなく、上官はただそう言った。

 それに、どう返すべきか迷った私は、ただ軽く頭を下げるだけにとどまった。


 それを、上官がどう思ったか。

 少し考えた後に、本題を告げた。


「宰相閣下が貴公を御呼びだそうだ。」


 さっき補佐から告げられていたのはそれか。

 それなら、呑気に話している場合ではないだろうに。


「そうですか。では、私はこれで失礼いたします。」


 なんでもっと早く言わなかったんだ、と言う内心はおくびにも出さず、一礼だけしてその場を去ろうとする私の背中に。


「あぁ。参考になったよ。」


 そんな上官の声が聞こえた。


「フランクです。お待たせしました。」


 宰相の政務室まで城内を軽く走り、扉の前で一つ息を整えた後、扉をノックして声を掛ける。


「入りたまえ、妙な来客のせいでそれほど待ってもいない。」


 最近は耳慣れた、宰相の声に怒りはない。

 或いは、叱責されかねないと思っていた分、その妙な来客とやらに感謝しながら、扉を開ける。


「ふんっ。我を妙な来客とは、ディゼルも偉くなったものだな。」


 そこには、自分の椅子から隅へ追いやられた部屋の主たる宰相と。

 部屋の主の椅子でふんぞり返りながら、悪童の笑みをたたえたこの国の主だった。


「なるほど。」


 確かに、妙な来客だ。

 用があるなら、宰相が私にしたように、上の者が呼び出すことが常識だ。

 何よりも、それで部屋の主を立たせるなど、嫌な来客と言ってもいいだろう。


「なぁにが、なるほどだ。」


 その来客たる陛下は、私の部屋に入っての第一声がお気に召さなかったらしく、下顎を突き出してながら不満を示した。


「わかってくれるか。」


 対して、部屋の主たる宰相は、眉間を抑えながらため息交じりに理解者の入室を歓迎してくれた。


「それで、どういったご用向きでしょうか。」


 今回私に用が有るのは陛下ではなく、宰相のほうだ。

 いつまでも、陛下に話題を向ける訳にもいかない。


「今回はこれだ。」


 そんな私の思考を読んだのか、宰相は陛下にいつまでいるんだと言いたげな視線を向けてから、机に置いていた一枚の紙、報告書を摘まみ上げた。


「それは…。私が書いたものですか?」


 距離があるせいで内容までは読み取れないが、余白や文字の置き方が私の書き方に似ていた。


「そうだ。急速に国土を広げてしまった我が国が抱える問題は多い。それに私は毎日頭を抱えているのは知っているね?」


 なるほど、先程へ如何に視線を向けたのは抗議のためか。

 この言葉も、私へ向けてに見せかけて、陛下に向けたものだろう。


「えぇ。それはもちろん。」


 実際、宰相から渡される書類仕事の資料を見るだけでも、この国の状況が良くないものであることは明らかだ。

 様々な国、村々がこの国に併合、侵略され、精神的、文化的な摩擦。

 何よりも、侵略の際に建造物や、田畑を潰された村々は単体では存続すらままならない状況にあった。


 つまりはこの国は、領土ばかり大きく、活用は出来ていないところが大半となってしまっているのだ。


「そんな中で、最近になってまた一つ私の頭を抱えさせる案件が増えたのだよ。」


 今度は確かに私に向けられた、その言葉に私は内心首をかしげる思いだった。

 確かに、この宰相は頭を抱えていることが多いが、それはこの人物が有能ではないと証明することにはならない。

 実状は寧ろその逆で、優秀故にそこに過剰なまでの労働が集中してしまっているのだ。


 そんな、優秀な人物が頭を抱える案件が最近増えたなど、その内容に想像がつかなかったのだ。


「はぁ…。」


 いまいち、はっきりしない物言いの宰相にこちらも曖昧な相槌を返すのみしか出来ない。

 そんな私を見て、妙に静かな陛下が、僅かではあるが確かにその笑みを深めたのを私は見逃さなかった。

 その案件に陛下は心当たりがあると言う事だろう。


「…。最近、資料整理をさせれば優秀なのだが、どうにも現実味のない解決策を上げてくる、新人騎士がいてね。」


 …。

 私だった。


「現実味、ないですか?」


 宰相が持っていた報告書を受け取り、その内容を検める。


「農業改革は実現できれば確かに、頭痛の種が一つ消えるのだがな。」


 この国は終わっていると言葉にこそせずとも、その内容をまとめた報告書に提案として書いた、刻印魔術を施した魔導具による労働力の削減。

 それを実現できた時の利点は共有出来ているようだが、実現可能か否かと言うところに齟齬があるようだ。


「陛下か、各地の貴族たちが抱えている呪村地の者を使えばいいでしょう。」


 人数は少ないとは言え、有事でなければ特にすることのない連中で、特異な技能を有しているのだから使わない手はないと思うのだが。


「あまり公にできる集団ではないだろう。何より、今から新しい技術を研究するのでは遅い地域もある。」


 だからと言って何もしない訳にもいかないだろう、この食糧難が解決しなければ、他の村への移民が絶えず、文化的摩擦も絶えないのだから。

 そのまま、宰相と私とが無言で頭をひねっていると、陛下の横やりが入った。


「フランクよ、何故そこまでして、呪村地の民を救おうとする。貴様の産まれ故か?」


 それは、呪村地の彼らが呪いと言う賜呪地と全く同じ理由で迫害を受けているからだ。

 私とノエルは賜呪地のその差別をなくさんと動いていたし、似た境遇の彼らを助けようとするのはある種の必然だ。


 その呪いを受けた者か、行使する者かの違いは有れど。

 周囲が呪村地の民を迫害する理由は、彼らの存在が自分の得になり得ないからだ。

 それは、陛下も含め、今の権力者たちがその現状に無関心で、そして、そうある事で利益を得ているからだ。


「…。」


 私の中で明確な答えは有った。

 ただそれは口に出すことは出来なかった。

 呪村地の民を救おうとする理由を答えれば、陛下と宰相が察しているであろう、私が賜呪地で産まれたと言う事を事実として二人に知らせることになるからだ。


 『神の母』となったノエルと、『再誕と死』の神となったドウェインとは違い。

 私のように生粋の賜呪地の民であると言うのは、まだ、それを黙っていたと言うだけで政治的攻撃材料になる。

 だから、この二人には告げられない。


「そうか…。ならば、フランク。貴様に新たな命を与える。」


 その陛下の言葉に姿勢を正す。


「可及的速やかに、その魔導具の製法所を作成せよ。」


 呪村地の民を活用すると言う旨の命を。

 私に対する信頼のその命を、


「しかと、拝命いたしました。」


 必ず成して見せると決意した。

読んでくれている人がいるとわかるとテンションが爆上がりします。


星1でもいいので評価していただければ幸いです。


ブックマークをして頂ければさらに喜びます。




何卒、何卒ぉ

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