6話.大いなる一歩にするために。
5話読み直したら主人公があいあい言ってて、あるある探検隊思い出しました。
魔法も一向に使える気配ないし、どうなってんだって感じですよ。
この前、この作品にレビューが付いている夢を見ました。
夢の中なのに、テンションが上がったものの、怖くてレビュー自体は見れなかったことに起きてから、自分のことながら笑ってしまいました。
アンバーの部屋に入ると俺は、椅子の上に座ったアンバーの膝の上に座らされた。
「初めての魔法-初級-」はその椅子の前にある、木製の机の上にあった。
初めてのと銘打つわりに初級とは何なのか。
この本はきっと、俺が探していた魔法の教本に違いない。
王都でストレスを溜めに溜めたアンバーに、激しく撫でられるせいで揺れる視界で確認した本に驚きが隠せなかった。
もちろん、隠す必要もないし、その気もなかったが。
書斎に有った本に書いてあったのは、農作物など植物についてや、魔物の有効活用について、などおそらくこの土地の領主であるロバートのが集めたものだろう。
それは、書斎で本を読んでいる間に推測できたものだ。
故に、書斎に魔法について書かれたものはないと薄々気付いていた。
だからこそ、魔法の教本は魔法を使える人間が持っていると気が付けなかった自分に腹が立った。
まぁ、姉の部屋に勝手に入るのは、思いついたとしても罪悪感のようなものが邪魔していただろう。
なにより、書斎に有った本も役に立つかはわからないが、興味深いというかどれも面白いものだったのだ。
「ふぅ、満足したわ。フランク、あなた本が好きなの?」
何分そうしていたか、アンバーは無言で撫でる続けることに満足したようで少し表情も和らいでいる。
「…あぃ」
本が好きかと聞かれると、そうでもない。
そう答えていた方がスムーズに会話が進みそうだったから、そう答えた。
(本好きだと思われて、困ることも特にないしな)
「あら?そうでもないのかしら。まぁいいわ、お兄様には本を読んでもらっていたのでしょう?」
「あい」
王都にいたアンバーが何故知っているのか、少し驚いたが正直に答えておいた。
「そう、じゃあ私が王都に行く前に見せた魔法は覚えている?これはそれを使うために読むものよ。」
アンバーは机の上にあった、「初めての魔法-初級-」を手に取り、そう言った。
「あい!あい!」
アンバーの服の袖を軽く引っ張り、読んでくれと意思を伝えた。
「ふふふ、わかってるわ。でも今日は、少しだけね。」
(アンバーも三か月ぶりに家に帰ってきたばかりで疲れているのだろう、今日寝落ちせずに読み始めてもらえるだけでもありがたい。)
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俺の人生で初めての魔法の師匠とも言える、アンバーの「初めての魔法-初級-」朗読は一週間かかった。
本に書いてあった内容はそれほど難しくはなかった。
魔法というのは、アンバーが使ったような見かけ上、どこからともなく物質や火や光のようなものを発生させるものや、それらの形を変えるものなどのことをいうこと。
その魔法を使うためには空中に無限と言えるほど満ちている「マナ」と呼ばれるものを知覚することが第一歩であるということ。
魔法を使うためには、マナの知覚、マナを体へ取り込み循環させる、そのマナから得られたエネルギーを魔法という現象に変化させるという手順が必要であること。
後は、マナの知覚の方法やコツや、理論上習得は誰でも出来るはずであることなど、が書かれていた。
(マナの知覚は産まれた時から出来る者も、一生出来ない人もいるそうだが、とにかく集中して続けることが重要と何度も書いてあったな。)
本を読み終わった後、俺はすぐマナの知覚というものに取り掛かった。
このマナの知覚というものはどうも、簡単な話に見えたが習得はかなり難しいものであるようだった、少なくとも俺にとっては。
感覚をつかめる者は一瞬でつかめるもののようで、アンバーはコツについてはそんなことしなくてもすぐに分かる本を読んでくれていた時に言っていた。
が、どうにも俺にはアンバーのような天性の才能がないようだった。
(もう、この修行ともいえるものに半年は掛けたんだよなぁ)
マナを光として感じる者や、音や匂いとして感じる者、あるいは熱や冷気として感じる者など様々あるそうだ。
光として感じる者は光として感じようと考えなければ、マナの知覚ができないようで本には、その人にあった考え方が重要であると書いてあった。
(けど、本に書いてあった考え方のコツは全部試したし、それ以外の方法も考えて試しては見たんだけどなぁ)
視覚、聴覚、嗅覚ときたら、残りは味覚と触覚だろう。
(味覚かぁ、舌に集中するってのはやったことないな。)
味覚で感じるとするなら、甘いのか、それとも辛いのか。
(甘いと感じると考えてやってみるか。)
そうして、俺は出来るだけ舌がマナを含む空気に触れるように舌を突き出しながら、集中を始めた。
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そうやって、味覚も一か月掛けて渋みなど、思いつく限りを試した。
(最初こそ、自分でもわかるぐらいに早く次のステップに進みたいと焦っていたが、こうやって試行錯誤することも楽しくなってきたな。)
味覚もとりあえずやめて、多くの可能性の残った触覚による知覚へ練習方法を移行することにした。
(触覚って全身にあるよな。とりあえず、手に集中してみるか。)
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(全然うまくいかねぇ、痒みや痛み、みたいなやりたく無いものもやってみたんだけどなぁ。)
触覚について、思いつくものもほとんど試した、第六感のようなものすら試そうかと考えていたある日。
その日は、昼から急な大雨だった。
外で、オーランドが家庭教師と剣技の授業を中断し、ずぶ濡れで家に帰ってきた。
「すみません、先生。あと少しでうまくできるようになると思ったのですが。」
「意欲的に学んでくれる生徒を持てるというのは、教師明利に尽きるというものです。」
急な大雨で使用人たちが大慌てで洗濯物を取り込んでいる中、オーランドが先生に何か謝っていた。
俺がマナの知覚が上手くいかず、外は大雨で気分転換に少し外に行くこともできず、家の中を散策して何かヒントでも得られないかと部屋を出てきたところだった。
「それより、濡れたままの服を着ていると風邪を引くかもしれません。お湯に浸かれるのなら浸かってから着替えたほうが良いでしょう。」
「そうですね、お手合わせ頂いているときは気になりませんでしたが、服が肌に張り付く感覚というのは好ましいとは言えませんしね。」
することない俺はなんとなく、ボーっとオーランド達の話を聞いていた。
(あぁ、確かに。服が張り付くのは確かに気持ち悪いよなぁ、どこが特定の場所ってわけじゃなくて、腕も脚も含めた体全体が気持ち悪いもんなぁ。)
そう、考えた瞬間だった。
ゾワゾワッと体中に何かが纏わりついてくるような感覚に、背筋がこわばった。
例えるなら、そう、オーランド達が話していた、濡れた服が肌に張り付く気持ち悪さだった。
一瞬、本当にそうだと思った。
室内で急にずぶ濡れになったのだと。
しかし、違う。
特段、集中していたわけでもなかったのにも関わらずだった。
(これだ!感覚的に最悪だが、きっとこれがこれがマナに違いない!)
この感覚を手放してはならないと、集中を深めていく。
ここ半年以上、やり続けてきた作業だ自分にとって、どういう呼吸が、どういう態勢が、どういう考えが、集中に繋がるのかはわかっていた。
(くそ気持ちわりいぃ)
集中が深まるほど、全身に不快感が伝わってくる。
だが、それと同時に俺にもできた。
そういう、達成感が身を包んだ。
(よし!よし!よし!)
自然と笑顔になった。
どのくらい、集中出来ていたのかわからない。
感覚的にはさっきまで、いたはずのオーランド達はどこかに行ってしまっていた。
その日、俺は魔法を使うための第一歩を踏み出せた。




