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66話.15番

ホントにエタりそうになったのは初めてですね。

戦闘シーンが頭にはあるつもりなんですけど、それを文字にするのが難しすぎる。

今まで読んでた小説はどうだったっけなってなっちゃいますね。

ハーもう!って感じです。

 十数分。

 オーウェンと別れた後、ノエルは別の騎士に案内された席で、フランクと王の仕合が始まるのを待った。

 仕合場の白にすら見える美しい砂の上で、これから始まる仕合の経緯を説明をする女騎士の声を聞き流す時間は、退屈の一言に尽きた。


「おや、まだ始まっていませんでしたか。」


 周囲を騎士に囲まれた環境で、唯一の心のよりどころであった左隣の空席に、フランクの案内を終えたであろうオーウェンが腰かけた。


「…。フランクはいつ出てきますか?」


 穏やかな笑みを湛えたままのオーウェンから、半ば目をそらしながらノエルは聞いた。

 理由は分からないが、ノエルはオーウェンの純粋な笑みを見てから、どこか苦手意識を持っていた。


「もうすぐだと…。あっ!出てこられましたよ。」


 オーウェンのその声と視線に釣られ、ノエルも視線を仕合場に向ける。

 そこには確かに、名前を呼ばれ出てきたフランクが居た。


 腰にはオーウェンから渡された剣を携え、いつもの剣と弓は持っていない。

 赤い礼服に、一切の鎧を付けないまま戦いの場に立っている。


 そして、その対面にはフランク同様、謁見時と変わらぬ出で立ちの王が仕合場へ入って来た。

 ただ、その闘志を隠そうともせず、腰に掛けた鞘からは既に剣は抜かれていた。


 審判役の女騎士がこの戦いの説明を二人にしていなければ、今にも飛び出してしまいそうな様子だ。


「?仕合の説明意外になにか、話していますね。」


 殺し合いではないにしても、これから剣を振るう者同士とは思えぬほど楽しそうに口を動かす王の姿を見て、オーウェンが言う。


「剣の話でしょうか。」


 仕合場は広くはないと言えど、二人の話は聞こえてはこない。

 フランクが鞘に入ったままの剣を示し、王に一礼したことから、ノエルは推察した。

 そして、しばらくの会話の後、フランクは剣を抜いた。


 ここに至って、未だ困ったように眉を寄せて、この仕合への疑問を拭えない様子だが、その構えは整然としている。

 騒々しいほどではないが、にぎやかだった場の空気は、急速に静まった。


 その引き締まった空気に、ノエルは固唾を呑んだ。


「双方準備はよろしいか!それでは、仕合開始!」


 審判の合図とほぼ同時。


 ボンッ!っと爆発音。

 それは紛れもなく、地面が爆ぜた音。


 フランクの魔法ではない。

 王の踏み込み。

 ノエルには追う事も許されない程の速度。


 獣の尾の様に背後を這う土煙からしか、その進路を窺い知ることが出来ない。


 比喩でなく、軍を裂く王の突撃。


「「「おおっ!」」」


 それをフランクが受け止めただけで、騎士の歓声が響いた。

 その歓声の矛先には、歯を食いしばっているフランクの姿があった。


「フランクが力負けしてる?」


 ノエルが驚いたのは、フランクが王の初撃を凌いだことではなく。

 その後の、鍔迫り合いでフランクが圧されていることだった。


 賜呪地の巨大な魔物や、ダンジョンのモンスターでも、これほどフランクの体勢を崩した所を見たことが無い。


 それほどまでに、ノエルにとってフランクは絶対で、最強だったのだ。


 恐らく、二人の膂力は拮抗しているのだろう。

 王が圧し切れていない所を見るに、それは間違いない。

 ならば、王がフランクに勝っているのは、体格とそれを使う技術だろう。


「王と張り合えている…っ!?」


 そのノエルと同等か、それ以上の驚きを表すのはオーウェンだった。

 近衛の末席と言えど、王が事実として軍を裂いて行く戦場を自身の眼で見た者にとっては、それも無理からぬことだろう。


 打ち合う度にフランクの上体は、背面へ反らされて行き、その表情は苦々しい物になって行く。

 負けることが目的でありながら、それでも負けることへの嫌悪感を拭えていないようだ。


 尤も、フランクも王同様、全力ではない。

 ほんの僅か、王がその好戦的な笑みを深めた瞬間。


 フランクはその僅かな余裕を「身体強化」を一瞬強め、王の剣を押し返すことで押しつぶす。

 ほぼ反射的に力を込められた王の剣の軌道を読むのは容易い。

 剣と共に振り上げられた腕は、確実に上段からの攻撃をする。


 一歩。

 王の一撃を避けるため体を翻しながら、王の懐に踏み込んだ。


 その回転の勢いを乗せた渾身の一撃は、振り切った王の剣の柄に阻まれた。


「あっ、」


 こぼれたノエルの声は、フランクの誤算に気付いたからだ。

 いつもよりわずかに長い剣が、その感覚のズレが、致命的な瞬間を生む。


 誰もがこの戦いの終焉を予想した。

 王の更なる一撃を受けた、フランクの姿を。


 だが、フランクはその一撃を受け止めた。

 何も纏わぬはずの、ただの素手で。


 正確には、王の剣はその素手にすら触れていない。

 紙一重の「空間」を進めずにいる。


 王の困惑の表情は、すぐに苦悶に変わる。

 フランクの回し蹴りが、その腹部を突き刺したのだ。


 数歩。

 王が退き、フランクが飛びのいた。


「クックク!ハッハッハ!良いな!良いな!貴様、手を抜いてこれか…っ!どうすれば良いか。そうだ!もしこの場で余に勝てば、王の権限が届く範囲であれば願いを聞いてやろう!」


 それを聞いた、フランクは困り顔のまま、何言か王へ伝える。


「確かに!貴様がそれで本気を出すかは分からんが、余は本気で行く。ロバート!15番を持ってこい!」


 ダンジョンから出土した武具の内、突出した能力の付与された物。

 王が15番目に手に入れた物であり、対軍において最も好む武器。


「手を抜いたまま対処出来るのなら!それはそれで一興と言うものだ!」

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