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65話.第三訓練所

結構書いた気がするんですけどね。

いつもの半分くらいですね。

「いや、どうすりゃいいんだよ。」


 王に仕合を挑まれたフランクは、待機室で頭を抱えていた。

 勝とうが負けようが、なんと言われるかわかったものではない。

 そう思っているのだ。


「今からでも、断る?」


 そう口にしたノエルも、それが本当に可能であるとは思っていない。

 社会的にも。

 この謁見を問題を起こさず終えるという、二人の目的からも。


 問題の方から二人の方に近寄ってくることは想定外中の想定外だろう。


「ほどほどの所で負けるしかないか。」


 ため息交じりに、フランクは最初に思いついたことを結論にする。


「…。他にいい考えが浮かんでいる訳じゃないけど、出来るの?」


 思い出すのは謁見の間で見た王の姿だ。


 金色の髪に、小麦色の肌。

 マントに施された装飾故か、獅子を思わせた。


 その碧眼は、穏やかに話している時も、対した二人の観察に一切の余念はなく。

 それは貴族のような、人間的組織に見られる観察ではなく。


 それをノエルは、捕食者に気付かぬ獲物を狩るかを考えているようだと、感じた。


「相手の実力が分からない以上何とも言えない…。けど、はぁ…。」


 フランクの重いため息は、それ以外に手が無いのだと諦めきった者のそれだった。


 二人のこれ以上に発展性のない議論は、来訪者が扉を叩いた音により強制的に打ち切られた。

 仕合の準備が出来たとの知らせだろう。

 フランクは叩かれた扉の取手を握り、きっちり三秒瞳を閉じてから、その来訪者に扉を開けることで応えた。


「フランク様、ノエル様。第三訓練所の準備が出来ました。そこまで、私がご案内いたします。」


 謁見の前後で、二人に対する敬意深めたように見える騎士が一礼をした後そう告げる。

 そして、案内を始めるより先に、フランクに一本の鞘に入ったままの直剣を差し出した。


「仕合ではこちらをお使いください。お持ちの剣では王の一撃に耐えられるとは思えません。」


 フランクとしては、拒否する理由はなく、感謝を伝えてそれを受け取った。

 事実としてフランクの剣は、リッチとの戦闘をの時から買い替えるタイミングを逃し続けていた。 

 この騎士は鞘越しに、その剣が限界であると覚ったのだ。


「どうして、気付いたんですか。」


 フランクのその疑問は、案内の間の暇つぶしだったのかもしれない。

 或いは、剣を持つ者としての純粋な興味だったのかもしれない。


「そう、ですね…。強いて言うなら音でしょうか。」


 前を歩く騎士は表情こそ見えないが、正された姿勢のまま首を傾げ、歩みを止めることなくそう答えた。

 その答えに今度は二人が顔を見合わせて、首を傾げた。


「音…って、フランクの剣のですか?」


 今度はノエルが尋ねた。

 フランクのその疑問には特に興味を示さなかったが、その騎士の答えに好奇心が刺激されたのだ。


「そうです。本当に僅かですが、フランク様が歩くたびに、金属がぶつかると軋むの間のような音が聞こえましたので。」


 隣を歩くノエルどころか、フランク自身すら気にも止めていないような音を、この騎士は拾ったのだという。

 事も無げにそう言った。


「こちらが、第三訓練所です。ノエル様は右手の階段をお進みください。」


 第三訓練所。

 王が一対一の仕合をしたくなった時に使える用作られた場所で、騎士の訓練所と言うのは後付けの理由だ。

 ただ、それは建前以上の意味を持ち、この訓練場は騎士達によく使用されていた。


 広すぎず狭すぎない仕合場に、そこで戦う者達を観察するのに適した見学席。


 何も知らない者が見れば小さな闘技場に見えるだろうその場所。


「ありがとうございました。えっと…。」


 ノエルはここまでの案内の礼を告げようとして、言いよどむ。


「あぁ、これは失礼を。近衛騎士の末席に連ならせて頂いております。オーウェン・マイヤーズと申します。それと、礼には及びません。これも騎士の業務ですので。」


 彼の好青年に相応しい爽やかな微笑みは、この国にはいささか似合わない程輝かしいだった。

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