60話.昇格と粛清と
ん~、ビミョー。
次は、強い人間との戦いっすね。
ブックマークと評価していただいた方、ありがとうございます。
偶然かもしれませんけど、評価してくれる人が増えたりすると、やっぱり、前回の話は出来良かったのかな。って思ってしまいますね。
その出来良いを継続できないのが、もーって感じですけど。
同じ方かもしれませんが、誤字報告してくださった方もありがとうございます。
誤字の発掘と修整は、やらなきゃなーって夏休みの宿題と化していた部分なので本当に助かります。
リッチの討伐に成功した二人は、リッチの魔石と、ボスを倒したことで湧く宝箱の中身を回収し、村へ帰った。
「はい。40層のクリアを確認いたしました。ギルドはお二人を、Bランクの探索者として認めます。それに伴い、法に則り、Bランク以上に昇格した報告を帝都へ送ります。」
ロゼットは淡々とした口調で、確定事項を告げる。
ここで二人が疑義を訴えたとしても、ロゼットにも探索者ギルドにもそれに応えることはないだろう。
もっとも、それに二人が批判的なことを言うことはない。
最低限、Bランクを目指していたのは、この報告を上げさせるためだ。
この国の王は優秀だ。
実力ある者の情報を集めるという目的がこの法にあるが、それ以上に元より実力者を好む王だ。
そして、この国でBランク以上の探索者として認められる者の数は限られている。
王は一種の娯楽として、その報告書に必ず目を通す。
故に、この法を利用することで、王都から遠く離れたこの村からでも、王に二人の存在を認知させることが出来る。
賜呪地に近いこの町で出身地の不明な人間が、一年も経たずに高ランクへの昇格を果たす異常性に興味を持たない訳が無い。
そして、確信には至らずとも二人が賜呪地から出た可能性に気付かない訳が無い。
帝都に報告が上がるまでの数か月、そこから王の指示が早馬で届くまでの期間が、二人に許された最後の自由な期間の可能性もある。
「よろしくお願いします。」
ロゼットの言葉で、順調に計画を進められているという実感と達成感を噛み締めたノエルが、やや時間を置いてロゼットの言葉に応えた。
フランクと顔を向き合わせ、二人で笑顔つくる。
「おう、お二人さん!Bランク昇格おめでとう!」
その二人の時間に挟まるかのように、後ろからフランクと肩を組んだチェスター・ヴァージスが声を掛けてきた。
「チェスター!ありがとう!お前から貰った情報にかなり助けられたよ!」
いきなり肩を組まれたはずのフランクは、それを拒否することもなく、寧ろ信頼の証ともとれる表情を見せた。
この二人がどうしてそこまでの信頼を築けたのか、ノエルには分からない。
単に息が合ったというには、過剰な信頼を互いに向けている気がしていた。
「まぁな!俺みたいに、寿命が長すぎて暇つぶしって訳でもねえんだろ?目的が有って、頑張ってる若人を助けてやるのも年長者の努めってもんだろ。」
どうやら、このエルフは余程外れた感性を持っているようだ。
なるほど、このエルフが単に変人なだけならばこのような辺境に、エルフの森から追い出されたわけでもなさそうなこの男がいることにも納得がいく。
「でしたら、もっと新人探索者にも情報を共有していただけると助かるのですが…。」
チェスターの発言にロゼットが苦言を呈する。
「んー。新人狩りぐらいなら教えてもいいけど。新人にすげーやる気のあるやつなんていないでしょ。」
新人が功を焦って深い層まで潜る判断ミスは見過ごすが、Cランク辺りで燻って新人狩りをし始めた者に襲われた新人は助ける。
そう言った線引きが、このチェスターという男には有るのだろう。
「…。」
ギルドとしても、情報の共有を強要は出来ないのだろう。
それをするのはギルドの役割であり、情報と言うのは探索者の生命線でもあるのだから。
「にしても、こんな短期間でランクを上げたのは、かなりすげえんじゃね?担当してる二組が村を代表する探索者になちゃったら、ロゼットちゃんも昇進が近づいたんじゃない?」
屈託のない笑みを浮かべるチェスターに、ロゼットは苦い顔をした。
「私は今のままで、満足していますので。」
昇進すると言う事は、権利と責任が増えると言う事だ。
ロゼットはその責任か、権利が増えることで発生する付き合いを嫌っているのだろう。
「ていうか、村を代表するってなんだ?」
フランクの言葉には、そんなものになるつもりはない、と言う気持ちが乗っていた。
昇進や昇格によるしがらみを嫌うという点ではロゼットと同じだろう。
「いや、単純にAランクの俺と、おたくらBランクが二人。この村でBランク以上は三人だけ。しかも、その三人を担当している受付嬢って話だ。」
フランクの言外の懸念を理解したのだろう、チェスターは、特に何かを拘束されるわけではないし、そういう法や規則がある訳ではないと示した。
そもそも、この国はあの王が王である限り、常に他国と戦争し続けることだろう。
優秀な者を一つの村に縛り付けるような規則を認めるくらいなら、強制的に徴兵する規則を作ったほうがマシだろう。
「ならいいけど。それより、この後飯食いに行くんだけど、一緒に来ないか?」
その発言に満足したのか、フランクが唐突にチェスターを夕食に誘った。
「えっ!ちょっと…。」
それに、不満の声を上げるのはノエルだ。
今日は、Bランク昇格を祝う夕食を二人ですると言う約束だったのだ。
それを、フランクは少ない身振りで制した。
「ん?ん~、なるほどね。はっはっはっ!じゃあ、お呼ばれされちゃおう。」
そして、あろうことかチェスターはそれを快諾してしまった。
完全にノエルの意見を無視した二人に、ノエルは文句は言わなかった。
本当に、フランクがノエルの意思を無視するとは思えなかったからだ。
三人はそのまま、ギルドを出た。
ゆっくりと先頭を歩きながら、チェスターと話すフランクの足は、店や宿に向かう様子ではなく、寧ろ村の外へと向かって行った。
チェスターはそれに一切の疑問を抱いていない様子で、フランクと談笑を続けている。
明らかに異常な二人の行動に、ノエルは黙って思案を続けた。
けれど、その答えは一向に出ない。
村を出て、街道を外れ、それでもなお暫く歩いて、フランクは足を止めた。
「そろそろ、いいよな。」
いったい何の確認か、フランクは、チェスターにそう言った。
それに、チェスターは無言で首肯する。
そこには、受付嬢をナンパする男の表情も、先程までの笑顔もなく、まさしくAランクの探索者の顔だった。
「なに…?ここで二人が戦う…とか、そういう話じゃないよね。」
ノエルがそう尋ねるのも無理はなかった。
それほどの気迫が、二人からは感じられたのだ。
「もう、わかってるだろ!」
そう叫ぶ、フランクの視線はノエルには向けられていない。
いや、誰にも向けられていない。
ノエルの更にその後ろ、まばらに生える草だけが見える平原のその一点にのみ注がれていた。
対照的に、チェスターの視線は周囲の確認するために、視線を動かしている。
それが、ノエルには周囲をモンスターに囲まれた探索者のようだと思った瞬間。
フランクが見つめる、その一点。
まるで、空間が歪んだかのように景色が歪み、一人の人間が姿を現した。
それは、左右に伝播するように、更に複数の人間が姿を現していく。
白い装束に身を包み、素顔を隠すようにその顔には仮面をつけた集団。
一般の者どころか、教会内部でも上層の者のみが知る、教会の粛清部隊。
それが、三人を取り囲む集団の正体だった。
「お前がノエルだな。例え一度逃れようと、『過去への断罪』は神罰だ。我々はお前の存在を許しはしない。」
最初に現れた一人が冷淡に、ただそう告げた。
読んでくれている人がいるとわかるとテンションが爆上がりします。
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何卒、何卒ぉ




