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53話.正義とは非常識。

ちょおーっと今回は、んーって感じです。

もしかしたら、村の門番?と話すぐらいのとこまでは後で追加するかもしれません。


追記

そこまで追加しました。

「どうして逃がしたの?」


 仲間を抱え、遠ざかって行く盗賊達を見続けるフランクに対し、ノエルは純粋な疑問をぶつけた。


「どうして殺したんだ。」


 だが、フランクから帰って来たのは疑問とも、他の何かとも取ることの出来る言葉だけだった。

 その表情は呆然とした、と言うのが正しいだろう。


 ノエルが人を殺した。

 ただその事実だけで、今にも膝から崩れ落ちそうになっているフランクに、ノエルは戸惑っていた。


「どうして、って…。」


 ノエルが口籠ったのは、自分に非があると思ったからではない。

 寧ろその逆、自分の対応は一切の間違いがないと考えて行動していたからこそ、その行動に疑問を持たれる事自体が理解できないのだ。


 自分の命を狙ってきた者をわざわざ放置す方が異常であると、絶対の自信を持っていたからこそ、どう答えるべきなのか迷った。


 そんなこと、物心ついて少しした子供でも薄々理解し始めるものだ。

 しかし、フランクが育った環境は些か特殊過ぎる。


 それに加え、フランクが自分より5つも年下の少年であることを意識してノエルは言葉を選ぶ。


「フランク。君があの盗賊達を逃がした理由と、僕が殺すべきだと判断した理由はたぶん変わらない。二人ともそれが普通のことだと思っていたんだ。」


 ノエルは自分より、少し身長の低いフランクに視線の高さを合わせて、教えを説く。

 自分に、あるいはフランクに、そうやって物を教えた『先生』を意識して。


 フランクはそれに、眉を寄せながらではあるが、頷いた。

 それを確認してからノエルは、努めて優しい笑みを浮かべる。


「うん。きっとフランクの方が人としては正しいんだと思う。帝都の騎士隊なんかだと生きたまま捕縛することを求められるって聞くし。」


 ノエルがそのまま、「だけど」と続けようとした時、眉間にしわを作ったままのフランクは口を開いた。


「でも、俺達ならあいつらが何度襲ってきたとしても返り討ちに出来たはずだろ。」


 確かにノエルとフランクなら、いや、ノエルだけならどうかは分からないが、フランクだけであってもあの程度の盗賊であれば同じ結果になっていただろう。

 だから、逃がしても大丈夫であると判断した。

 そう言うことなのだろう。


 ただ、フランクはあることを無視している。

 逃げた後にその盗賊達がどういう行動を取るか、人の執念を。


 ノエルもそのことに気が付いていた。


「そうだね。でも、今度はもっと大人数で襲ってくる可能性もある。もっと酷いのは、これから行く村で先に僕達が先に襲ってきたって、噂を広められる可能性だよ。」


 ノエルの言葉を聞いて、フランクは一瞬ハッっと息をのんだ。

 そんなことはしないだろうと言うのは簡単だが、ここで求められるのは、もしそうされたらどう打開するか、その明確な方法だ。


 フランクは暫くの間、顎に右手の人差し指を掛ける様にして深く考えこんだ。

 それでも、答えは出てこなかったのか、或いは、自分なりの妥協点を見出したのか、ノエルが正しかったと認める様に何度か頷いた。


 ここで、フランクが答えを出せなかったことは仕方のないことだ。

 もし、盗賊達が村で二人の悪評を立てるのであれば、賜呪地の方から来た奴らに襲われたと言うはずだからだ。

 そうなれば、どちらが先に襲い掛かった以前に、賜呪地の方から来た理由を明確にしなければならない。


 この二人が賜呪地から来たことが事実である以上、妄言のような事であっても。否定するためには嘘を、論理性に欠く説明をしなければならない。

 賜呪地から来た、その可能性を完全に否定しきらなければ、二人のそもそもの目標である村に入る事が達成できなくなる。


「そもそも、そんな噂を立てられた時点で詰みってことか。」


 フランクは完全に納得した訳ではないだろうが、納得できないことであってもノエルと二人で旅をする以上、どちらかが何処かで折り合いをつけなければならないと言う事は、旅を始める前から分かっていたことだ。


 賜呪地はその地を呪ったのが女神であるが故に、その効力が人の身では計りしれない。

 或いは周囲にいるだけで寿命が削られるかもしれない、或いはその呪いが自身に移るかもしれない。


 僅かな可能性とは言え、そんな人間に自ら関わりに行く者などいない。


 ノエルが盗賊を殺した事と同様、それが普通の事なのだ。


「そう言う事!ところで、この大剣はどうする?フランクが使う?」


 ノエルは無邪気な笑顔で、とうに事切れた盗賊から奪った戦利品の分配の話に話題を変える。

 フランクが、最も戦力として機能するのは大剣を持った時なのだ、例え盗賊の握っていた安物の物であっても、ないよりマシではと尋ねた。


 だが、それにフランクは何か痛ましい物でも見るかのように顔を顰めて、首を横に振る。

 その表情を向けられたノエルは、それを少し目を細めるだけで受け止める。


「そっか、なら使えそうなのはこのくらいかな。」


 ノエルは二つの盗賊の身体をあさり、金銭や少量の油と言った日用品を手に入れゆっくりと立ち上がる。


「それじゃあ、予定通り村の逆側の入り口まで大きく回り込んで行こうか。」


 村からこの道に来る者はダンジョンに挑む探索者達か、それを狩ろうとする探索者崩れの盗賊だ。

 その盗賊も明確な証拠でもなければ、村で積極的に裁かれることはないことがなく、そのまま探索者として村に戻ることを考えれば、村から出た訳でもなくこの道の方から来る者など疑うなと言う方が無理がある。


「そうだな…。いやちょっと待ってくれ。」


 ノエルの提案に肯定しかけたフランクが待ったを掛ける。


 未だ、野晒しの二体の盗賊に対して右の手のひらを向けて魔法を発動させる。

 賜呪地と言う森で生活していた故か、フランクが弓を使わずに発動できる唯一の魔法「植物魔法」。

 それが、二体の盗賊を土の中に飲み込んだことを認めたタイミングで、ノエルはフランクに声を掛ける。


「?…フランク?もう、大丈夫かな。」


 フランクが何のために魔法を使ったのか分からず、何をもってフランクの行動が完了したのか分からなかったのだ。


「あぁ!もう大丈夫だ。」


 フランクは両の手を合わせてしばらくの時間を置いてから、ノエルの言葉に応え、そのまま先導するかのように歩みを始めた。

 その表情にも、声音にも、先程までのような動揺はもう見られない。


「あぁ…もう!待ってよ、フランク!道分からないんでしょ!」


 そう言ってフランクを追いかけるノエルの顔には、言葉とは裏腹に自然と笑みが浮かんでいた。


 再び談笑を交えゆっくりと、出来るだけ村の人間には見られないように。

 そこから数時間を掛けて、二人は村の周囲を大きく回り、反対側の道まで辿り着いた。


 時刻は夕暮れ時。


「よお!お二人さん。この村に入りたいなら、ちょっと質問させてくれや。」


 半円を書くようなルートで道を戻って、村へ近づいて行ったノエル達に声が掛かる。

 村を囲う形で配置された木製の柵が、道につながる場所だけ置かれておらず、そこには二人の槍を持った人がいた。


 片方は犬型の獣人、それも顔まで獣の姿である。

 性別はその顔立ちからは読み取りづらいが、荒れた毛並みを見るに男性なのだろう。

 それが、このような辺鄙な村にいると言う事は、群れで相当な大罪を犯したのだろう。

 こちらは、疑り深い目つきでこちらを睨むだけで声を掛けようと言う様子はない。


 二人に声を掛けたのは、遠目から見た時には人間にしか見えなかった男。

 話せる程度の距離に来てようやく、その金色の長髪を長い耳が押し上げていることが確認できた。


「エルフと獣人が門番?別にいいけど、早く済ませてよね。」


 先程まで、フランクの一歩後ろを付いて行くように歩いていたノエルが前に出て答える。

 ノエルは強い口調を意識してはいたが、睨み付ける様にしてしまったのは無意識だった。


 人間に近い体系のこの男は、エルフ基準で言うなら肥満体系と言われるだろう。

 下卑た視線のままニヤつくその表情は、それを向けられた本人でなくても不快感を抱くには十分なものだった。


「まあまあまあ、そう言わずに。まずは、どっから来た?」


 いくら堕落したエルフだろうと、仕事はしっかりとするつもりなのだろう。


「フーメタツ村からだよ。分かれ道はなかったと思うけど?」


 村の名前に加え、ここまでの道のりに分かれ道が無いことを知っていると暗に告げた。


 自分たちが、賜呪地から来たなどと言える訳もない。

 もし正直に言ったとしても、冗談と取られていたかもしれないが。


「…そうかい。じゃあ身分証はあるか?」


 さっさと出せと言わんばかりに、手で催促をするエルフにノエルは少し苛立った。


「わかるだろ、それを作りに来たんだ。」


 その苛立ちを隠すことなく、フランクを含めた自分達を示すかのように軽く両手を広げながらそう告げた。


 賜呪地で自分達のみで作り上げたみすぼらしい黄色を含んだ茶色の服。

 肩で切りそろえらえた栗色の髪は、確かに近くで観察すると荒れている。

 それでも、その肌が滑らかで、太陽の日を知らないかのように白いままだ。


「ははは!悪いなどうも曝呪地から出てきた奴がいるって噂があってな。」


 曝呪地、外での賜呪地の蔑称。

 その言葉を、ノエルは狼狽えることなく受け止める。


「…もう少し、まともなことを言ってくれるかな。」


 一時期とは言え、自分の育った地を蔑称で呼ばれたノエルは今度こそ、その言葉に明確な怒りを乗せた。

 その怒りが、正確に相手に伝わらなかったことは幸いだった。


「あー、なんだ?あんた教会…。いや、孤児院出身ってとこか。悪かったな、これも仕事ってことだ。」


 このエルフの言い訳は事実なのだろう。

 話題がつながっているようで、ぶつ切りにするかのような質問は、決められたものであり、それを質問する間の態度は茶化すようなことはあっても、確かに淡々とした物だった。


 と言うよりも、このエルフには他に気になることがあったと言うべきだろう。


「まっ、そんなことより。孤児院から来たんだったら懐は寂しいだろう?そっちの坊主は宿に預けて、今夜は俺の家に泊めてやるよ。」


 これが、このエルフの下卑た視線の正体か。

 ノエルは呆れる様に、エルフから視線を外して地面を見る。


「僕は男だ。あんたの趣味にどうこう言うつもりはないけど、趣味を押し付けるのは止めてくれ。」


 それに驚いたのは、エルフの男だけではなかった。

 今まで、黙っていた獣人が不躾にもノエルの周りを臭いを嗅いで回る。


「おい、嘘だろ。声だけじゃなく、臭いまでどっちかわかんねえぞ。」


 マジか、すげぇ、などとエルフの男と盛り上がる半ば無視して、ノエルは村の中へと歩みを進める。


「もういい?」


 最早村の中に入ってからの言葉で、振り向き気味に言った言葉では有ったが、門番たちはそれを快諾した。


「あ?あぁ、悪いな。後は、ここに来た目的は…さっき言ってたな。ようこそアフロンテ村へ。」


読んでくれている人がいるとわかるとテンションが爆上がりします。


星1でもいいので評価していただければ幸いです。


ブックマークをして頂ければさらに喜びます。




何卒、何卒ぉ

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