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51話.呪いの子

二章っすね。

モチベは有ったのに、始めるのが遅くてこの時間ですよ。


一章では出来なかった、あれやこれやに挑戦出来たらなって感じです。


追記

一応読み方は、賜呪地しじゅちって感じでお願いします。

ルビの振り方が分からんでごわす。


追追記

振れてるわ。

本文のところだけ振ろうとしたのに、前書きにも浸食するレベルで振れてるわ。

「それじゃあ、先生!行ってきます。」


 旅立つ前の最後の確認を終えたノエルが、両手を前でそろえて礼をする。

 栗色の髪色に、中世的な顔立ちは15歳となった今でも変わっておらず、寧ろ五年前より丁寧な振る舞いを身に着けた分女性らしさを感じさせる。

 その表情は、久しく見ていない外への期待と不安に彩られていた。

 それでも、最後に笑顔で挨拶することは彼の魅力と言えるだろう。


「そんなに見るものもないだろ。んじゃ、行ってくるよ。先生。」


 そんなどこまでも心配性なノエルに呆れたように、しかし、しっかりとした信頼を感じさせる笑みでそうつぶやくのは、その肌から呪いの痕跡を消し去ったフランクだ。

 ノエルより五つも年下のはずなのにその姿は落ち着いており、その小さな体躯には似合わず、どこか達観した老人のような印象すら受ける少年。

 その黒を含んだ赤い髪は、森の中で生きるには目立ちすぎるはずだが、フランクの圧倒的なまでの戦闘能力が彼を今まで生かしたのだろう。

 その戦闘力故か、彼の表情には一切の不安がなく、何が起きてもノエルごと生き残って見せると言う自信が溢れ出ていた。

 危険なこの地で、周囲の大人の助けは多少は有れど、親もなく、子供の身ながら一人で生き抜いたこの少年は常人の尺度で計り切れるものではないのかもしれない。


 そのまま集落に背を向けて旅立つフランクとは対照的に、ノエルは何度も振り返りながら集落に向けて手を振る。

 その度に、フランクとの距離が開き慌てて走り出す彼の姿は、最早ただ守られるだけの少年ではなくなっていた。


 フランクに教えて貰うことで習得した「身体強化」により、常人では追う事が不可能な速度の疾走。

 他の魔法はそれほどでもないが、「回復魔法」においてはフランク以上に学んだと言える技術を有している。

 腰に携えた剣には、戦いを潜り抜けてた証として出来た、小さな傷を補修した後がいくつも見える。


「待ってよ!フランク。」


 未だこの森の外に出たことのないフランクに、外への不安が無いのかと疑問を感じるノエルが、その疑問を口にするより早くフランクが口を開く。


「待ってよって言ったって、一番近い村まで丸一日歩いても辿り着けるか分からないって言ったのは、ノエルだろう。」


 ノエルは確かにそう言った、それでも全く見知らぬ土地に向かうことになるフランクに、前日から話題を用意したりしていたのだ。

 スタスタと何でもない一日であるかのように森の中を歩き続けるフランクの姿に、その全てが徒労に終わることを予感したノエルは思わずため息をつく。

 ズボラと言うべきか、豪胆と言うべきか、フランクの気質がここまでとは思っていなかったのだ。


「それは、そうだけど…。」


 自分の思った通りに事が進まぬ、ある種の欲求不満を何か言い返すことで解消しようにも、フランクの言った正論に曖昧な返事しか出来ずに終わる。


「それに、そんなに声を出したら、ほら。」


 意味深な笑みを浮かべて顎をしゃくるフランクにつられて、ノエルが視線を移すと。


「グウウウウルゥゥゥルルル!?」


 そこには、四足歩行型の魔物。

 犬や狼と言うには太りすぎ。

 豚と言うには毛深すぎる。

 何よりも動物に例えるには、あまりにも大きすぎる。

 その魔物は、この森では見慣れた魔物の一体だった。


「これは僕のせいじゃないでだろ!?」


 慌てて剣を構えるノエルをよそに、フランクは早くも弓による第一射を放つ。

 呪術、フランクの言う「刻印魔術」を利用したその弓は、普通の矢を放つためには使われず、魔法を飛ばすことを不得意としたフランクが、魔法を飛ばす補助具として使われる。


「そうだけど、さ!」


 初撃は速度のある「雷の矢」を、それ以降は状況に合わせて属性矢を使い分けて戦う。

 そんなフランクの補助を受けて、最後にノエルが止めを刺す。

 それがこの二人の最も多く取る戦法だった。


「右足!切ったよ!」


 フランクが作り出した隙に、ノエルが深手を負わせる。


「任せろ!」


 言うが早いか、フランクはノエルに傷つけたことでその場から飛びのこうとした魔物の右足に、「植物魔法」を使い木の根を絡み付ける。

 傷ついた右足を地に縫い付けられながら、その巨躯を全力で動かさんとした魔物は、自身の筋力でもってより傷口を深める事になる。


 その状態の生物がバランスを崩すのは必然だった。

 また、地に頭を擦り付ける様にして倒れた魔物に後がないのも必然だった。


「スゥッ!」


 その容姿に似合わぬ気迫を感じさせる瞳で、それと同等の鋭さを持つ剣でもって、ノエルが魔物の首を貫く。


「よっし、今日の昼飯と晩飯ゲットだな!」


 未だ、蠢く魔物の下半部を木の根で強く固定したフランクがノエルに笑顔を向ける。


「うーん。一応保存食もあるし、あんまり荷物になっても邪魔だから、美味しい所だけ持っていこうか。」


 ノエルはフランクの切り替えの早さに呆れつつも、この先の食糧事情がマシになったことに少し安堵を覚える。

 集落の保存食は一応食べることが出来る、程度の味しかない。

 味が薄いのではなくあまりに濃いのだ。


「おっし!俺、心臓貰い。」


 フランクが無邪気に笑いながら、魔物を解体し始める。

 そんな年相応の反応をするフランクの姿を見ながら、ノエルはこの少年が未だ10歳でしかないことを再認識した。


 森の中では未だ自分が守られることが多い、きっと今の魔物だってフランクなら「空間知覚」でずっと前から気付いていたはずだ。

 それでも、外では自分がフランクを守るのだと意識を固めながら、努めて笑顔を作る。


「じゃあ、後ろ足のモモ肉は僕が貰うからね!」


「なんでだよ!どう考えても大きさが違いすぎるだろ!」


「じゃあ、僕より先に言っとくんだったね。」


 今が戦闘直後であると言うこと、ここが危険な森の中であると言うことを除けば、二人のそんなやり取りは仲のいい兄弟のそれだろう。


 そんなやり取りをした数時間後、小休憩すら交えず二人は森を抜け、ひび割れた地面が一面に広がる乾いた大地へとたどり着いた。

 フランクにとっては、初めての森の外の世界。

 ノエルにとっては、帰って来たと言うにはあまりに遠い森の外の世界。


 この日この時、賜呪地(しじゅち)より、二人の少年が旅立った。


 その空は、この先の二人の旅路を暗示するかの様に、あいにくの曇天であった。

読んでくれている人がいるとわかるとテンションが爆上がりします。


星1でもいいので評価していただければ幸いです。


ブックマークをして頂ければさらに喜びます。




何卒、何卒ぉ

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