50話.レッツゴー黒ギャル天使ちゃん
祝!ツーデッド目
「はい、ドーン!呼ばれて飛び出て~黒ギャル天使ちゃん!」
真っ白な視界の中、黒ギャルと言うにはいささか肌色の強い、せいぜい小麦色の肌をした、金髪の女がハイテンションにポーズを決める。
年齢は成人しているようにも見えるがその振る舞いからか、高校生くらいにも見える。
本人が言うように天使の光輪と羽を携えた姿は、黙っていれば天の使いとしての威厳を感じさせていたかもしれない。
「…誰ですか。」
その存在に誰何した俺の声は、丁寧な言葉とは裏腹に苛立ちを隠しきれてはいなかった。
「あーしは天使、あんたを転生させた存在?的な?」
その苛立ちを意にも解せず、その自称天使は驚くべきことを告げた。
「転生させた…?世界の評価がどうとか聞いてきたのが君って事…?」
一瞬で苛立ちすら吹き飛ばした発言に、思わず頭に浮かんだ純粋な疑問をそのまま口にしていた。
「あっ!そうそうそう!三十年近く前のことなのによく覚えてんね~。あーしのほうが忘れてたけど、はい!」
そう言った彼女が、こちらを指を銃の形にして「バァン!」と言ったその瞬間。
この世界の評価は如何でしたか?
☆☆☆☆☆
次の世界へ やめる
「これは…」
転生する前に見せられた表記。
俺を転生させた存在。
その発言が間違いなく事実であると証明するもの。
(じゃあ俺は間違いなく、あの場で死んだってことか…。)
その表記のせいで、視界が二重になる感覚は、マナの知覚するときに感じる五感の重なりに似ていた。
脳が混乱するような視界で見た天使は、ダブルピースを作り「にししっ!」と笑うだけだった。
(評価か…。)
実際俺は、フランク・ヴァーミリオンとして生きたあの人生に幸福を感じていた。
後悔は数えきれないほどある。
なにも間違えなかったと言うわけではないし。
むしろ、上手くいかないことの方が多かった気もする。
この世界の評価は如何でしたか?
★★★★☆
次の世界へ やめる
あの世界の人は基本的に他人のやることを否定すること、邪魔することはなかった。
善性に満ちていたその生き方は、争いが少なく、それ故に発展が少なかった。
師匠はそれをいつも、ぬるいと言っていたが俺にはありがたかった。
だからこそ、あそこでオークキングを倒し切り、最後の最後まであの世界で生きていたかった。
「ん?終わった~?おー!意外と高評価ジャン!最後に後悔の残る死に方だったから、評価低くなるかなぁって思ってたけど良かった良かった!」
天使は寝転がるかのような体勢で何かを読みながら、ゆったりと浮いていた天使がこちらに向かって歩き始めた。
元より地面など無いこの空間ではあるが、その姿はまるで友達の家でやることもなく漫画を読んでいた高校生だ。
天使は話をしている間に確認を終えたのか、視界から評価を聞く表示は消してしまった。
そうして、俺の目の前まで来た天使は俺に、先程まで自分が読んでいた一枚の紙を手渡してくる。
「はい、これ!アンバーって子からの手紙!」
「は?」
一瞬意味が分からなかった俺だが、その言葉の意味を理解すると天使の手からひったくるようにして、その手紙を受け取った。
何故そんなものがあるのかとか。
何勝手に他人あての手紙を読んでるんだとか。
いろいろ言いたいことは有ったが、そんなことより俺は手紙の内容に集中した。
そこには、あまり色々なことは書かれていなかった。
私はあのままの生活で良かった、よくも私を置き去りにしてくれた、と言う二つの恨み言が主体だった。
そんなことをするなら、二人で王都から逃げれば良かった。
「まあ実際、その子の言い分はホントにソウって感じよね!あの子がぶん殴られた時の光景がトラウマ気味になってた、あんたの大事な子を戦闘から遠ざけたかったって気持ちも分かるけどね。」
手紙を読み終えた俺は「わかるわかる。」と頷く天使に疑問を投げかける。
「なんでアンバーからの手紙があるんですか。」
目の前の若干頭の悪そうな話し方をする存在は、自称でも何でもなく、俺の想像も及ばない程力を持った存在だと理解して、意識して丁寧な口調に切り替える。
それにどこからか、いつからか、眼鏡をかけた天使が片手で眼鏡に触れ、答える。
「なんでかはあーしも知んないけど。転生した人間が、その世界で最も影響を与えた人間からの手紙がここに届いちゃうんだよね。それを見せると、次の世界でがんばるぞーってやる気を出す子もいれば、逆にもういいやーってなっちゃう子もいるから、あーしは手紙を見せる前に事前にその内容を確認するってわけ。」
「アンバーからの手紙を読めば俺が次の世界に行くって判断したって事か?」
正直言って、アンバーからの手紙を読んだからと言って俺にそんなつもりは一切起きなかった。
むしろその逆。
「いーんにゃ。あーしはその手紙は毒にも薬にもならないって判断したの。その手紙を読めばあんたはあの世界に戻りたいって思うっしょ。」
その通りだった。
「ならなんで。」
この手紙を渡したんですか。俺のその言葉を待たずに天使は口を開いた。
「それは無理だから。次にあんたが転生する世界を選ぶのはあーしに違いないけど、そこに何の制限も無いわけじゃないってこと。」
つまりは、その制限によりあの世界に再び転生することは叶わないと言う事だろう。
俺が新たに疑問を思い浮かべるより先に天使が「まぁ」と前置きをする。
「あんたが自分であの世界に行く分には、勝手にどうぞって感じなんだけどね。」
その何かを隠したかの様な物言いに、思わず眉を潜めてしまう。
「そんな方法が、あるんですか?」
聞いて教えてくれるなら、聞く前に教えてくれたであろう無意味な質問。
俺は、口にしてからそのことに気が付いた。
「それは教えらんないのよねー。もし、やりたいならあんたの師匠よろしく、自分でたどり着くために努力してね。」
教えられない、と言うことは方法はあると言うことだろう。
いや、そもそも方法が無ければこんなこと話題にも出さないはずだと考えるのはあまりに都合のいい考えだろうか。
「わかりました。」
師匠が魔法を極めることで何をしたかったのか、その疑問を天使に投げかけようとも、答えが何であれ俺には真実か判断することは出来ないと、疑問を飲み込み話を切り上げる。
「あれ?一回目みたいな鬱陶しいほどの質問は?」
そんな俺の様子に天使は拍子抜けしたと言った表情で、小首をかしげる。
「目的が決まったら、次がどんな世界だろうとやることは変わらないですよ。」
実際、転生するときに何を聞くべきかなんて思いつかなかった。
「へぇー!ちょっと主体性に欠ける感じがあるけどいいじゃん。んじゃ、一応アドバイス!次の世界は割と厳しいから気をつけて行ってらっしゃーい」
そんな彼女の声を最後に俺の意識はゆっくりと薄れていった。
読んでくれている人がいるとわかるとテンションが爆上がりします。
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何卒、何卒ぉ




