37話.姉とフードファイト
ポケモン最高!
アンバーとのイチャイチャ回になってしまった…。
元々アンバーに怒られたなんて一幕もあったが、とりあえずオーク達の騒動は一段落した。
って一文で終わらせるつもりの部分を広げたらこれよ。
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久しぶり過ぎて一瞬泣きそうになりましてよ。
ありがとうございます。
疲れ切っていた割に、目覚めはすっきりとしたものだった。
窓から射す日差しを見るに、意外なことにまだ昼どころか、普段起きている時間より少し早いくらいのようだ。
グッと背伸びをして凝り固まった体を引き延ばしていく。
(疲れすぎて、逆に目が覚めてしまったのか。)
前世であれば気にしなかった、気付きもしなかった、ほんの少しの体の不調もこの世界で戦いを学ぶ中で気付くようになってきてしまった。
それは良い事ではあるだろうが、良い事だけと言うわけでもない。
自分が不調である自覚と言うのは、底なし沼の様に不調を呼び込むこともある。
「はぁ、とりあえず風呂入るか。」
昨日は装備を着込みながら、かなりの距離、かなりの時間走り続けていたのにそのまま寝てしまった。
寝ぐせだらけの髪を手で梳かしながら階段を降りると、使用人が一人で掃除をしていた。
足音か、扉が開く音か、既にこちらに気付いていたらしく、目が合うとゆったりと一礼をされた。
「おはようございます、フランク様。昨日は既に就寝していたため、ご挨拶出来ず申し訳ありません。」
そう言い、彼はまた頭を下げた。
「おはようございます。突然来たんですから、挨拶については気にしないでください。それより申し訳ないんですが、水浴びをしたいので、用意をお願いします。」
実際、昨日は疲れ切っていた。
そんな状況で、誰かと長々と話すことになっていたらかなりしんどかったはずだ。
この人にとっては、重要なことなのかもしれないが、正直言って昨日の挨拶はないほうが助かった。
「かしこまりました。ただ、現在浴室はアンバー様が使用されています。もうしばらくお待ちください。」
どうやら、アンバーは起床済みらしい。
本音を言えば一刻も早く汗を流してしまいたいが、先に使われているならおとなしく待つ他ない。
「あぁ、ならアンバ…。姉さんが出てきたら勝手に入っておくよ。」
冒険者としてアンバーと呼ぶ場合と、貴族として姉さん、姉上と呼ぶ場合。
一人の人に対して、複数の呼び方を持つ経験が少ない俺には、なかなか完璧に呼び方を分けるのは難しいようだ。
「かしこまりました。では、朝食は水浴びが終わる頃にお出ししておきます。」
なかなか高度なことを言う彼に対して、俺は「ありがとう」とだけ返して、椅子に座る。
五歳の頃、ロバートと一緒に王都に来た時に、食事を取った位置と何となく同じ位置に座った。
「ふぅ…。」
思っていた以上に疲れていたのか、座ると筋肉が弛緩した感覚に思わず声が出る。
そのまま、意識を手放しそうになりながら適当に時間を潰しているとほどなくして、アンバーが浴場のある方の廊下から出てきた。
「あら、フランク。もう起きていたの。」
ゆったりとした部屋着で、長い髪の毛はまだ濡れているのか少し湯気が立っており、アンバーはタオルで髪を拭いながら話しかけてきた。
「あぁ、おはよう。姉さん。じゃあ、次浴室使わせてもらうね。」
半分寝ていたような状態の俺は、だいぶそっ気のない、必要なことだけの返事をしながら、アンバーが来た廊下の方に歩き始めていた。
後ろで「おはよう。」と聞こえた気がして、手だけ振り返しておいた。
「ん?」
服を脱ぎ、浴室の扉を開けた時、違和感に思わず声を上げた。
この世界の風呂と言えば、ある程度室温にした水で体を洗う、夏場はその水に浸かる者もいるがその程度だ。
それが扉を開けた途端、程よい熱気と湯気を含んだ空気が俺を包んだ。
そう言えば、アンバーも髪の毛から湯気を立たせていた。
(こんな細かい部分にも魔法を使っているのか。)
師匠はさておき、魔法の出力、威力であればこの世界の者にも負けないと思ってはいる。
だがこんな、風呂を沸かすような、魔法は俺は使えない。
アンバーは魔法使いとして、明らかに俺より上と言わざるを得ないだろう。
悔しくないと言えば嘘になるが、今はその恩恵の一端を享受しよう。
「くぅ…。ふぅ。」
髪と体を洗い、ゆっくりと湯に浸かる。
(あぁ、いいなぁ…。俺も練習してみるかな…。)
それほど、湯に浸かることが好きなわけではないが、偶にやるとその良さを再確認できる。
起きてから時間が経ったからか、あるいは湯に浸かることで血行が良くなったのか、目が冴えてきた。
浴室から出ると、俺用の部屋着が置いてあり、まだ成長を見込まれているのか、少し大きめだったが、部屋着ならゆったりと着れる分には申し分ない。
軽く髪をふきながら、浴室に行くまで座っていた椅子まで戻ると、とても朝食とは思えぬ量の肉や野菜、スープ、パンがテーブルの上を飾っていた。
「こんなに食べられな…」
グゥ。
俺の独り言は自身の腹の音で中断された。
(そう言えば昨日は、師匠と話しているときに串焼きを摘まんだ程度しか食べてなかったな。)
先に浴室を使っていたはずのアンバーの姿は見えないが、食事の量や種類を見るにアンバーの分もあるはずだが。
アンバーを待つことにして、ゆっくりと今後のことについて考えていると、アンバーが自分の部屋から出て来て、俺の向かいの席へ座り、口を開いた。
「すごい量ね、こんなに食べられ…。」
グゥ。
アンバーも俺と同じように、昨日から何も食べていないはずだ。
半目で睨まれようとも、俺にはどうすることも出来ない。
「…食べようか。」
アンバーの腹の音には反応せず、食事を始めようと提案する。
アンバーの「そうね。」と言うセリフを聞いた俺と、アンバーはナイフとフォークに手を伸ばした。
「…。なんだかんだ食べきれたね。」
ほぼ同時に食事を終えたアンバーに向けた俺の言葉に、アンバーは口元を拭きながら、再び「そうね。」とだけ返した。
「そういえば、フランク。あなた顔つきが変わったわね。オークウォーリアーを相手したからかしら、良くやったわね。」
アンバーが昨日のことを素直に褒めてくれた。
こう、正面から褒められると、照れるものだ。
「ありがとう。」
言葉少なに返す俺に、アンバーは席を立ち、両手を俺の頬に添えるようにして、アンバーの方に向けてくる。
「フランク。私が何を言いたいのか分かる?」
(わからない。)
見つめ合ったまま、瞬きを二度、三度繰り返す。
「…?」
(あっ!怒ってるのかぁ。)
俺の思考は緩慢に能天気でマイペースであったが、行動は迅速だった。
「ごめんなさい。」
座ったままアンバーの方に向き直り、軽く頭を下げる。
あの時は、ああする他なかった。
と、言う俺の言い分は一旦隅に置いておくしかない。
きっと、俺が誰の為に行動したかアンバーは理解してくれている。
その上で、怒っているのだから言っても仕方がない。
「今回は自分で気付けたから許してあげる。」
アンバーはそう言い、俺の額にキスをした。
「えっ?」
何をしているのかと驚きの声を上げる暇も無く、強く抱擁される。
「あんまり心配させないで。」
その声音は今にも泣きだしそうな、俺が掛けられたことのない声の種類だった。
俺の胸元に、額を付けたアンバーに何と声を掛けるべきか迷った。
「…ごめん。」
先程より、言葉は軽かったが、先ほどより心は籠っている。
どれくらいの時間そうしていたか分からないが、手持ち無沙汰になった俺は何となく、アンバーの髪を撫でた。
何とも言えない手触りだ。
(なんか不思議な感じだな。)
小さなころは俺がアンバーに頭を撫でられていた。
それが、逆になるだけでこうも気持ちに変化があるものなのかと、思ってしまう。
「…。」
目や、顔を見た訳ではないが、アンバーが何か言いたげな雰囲気。
「あー、やめた方がよかった?」
そう聞く俺に、アンバーは首を振った。
「違うわ。ただ、ちょっと変というか、不思議な感じがしただけ。」
続けて、と言う意味と取っていいのだろうか。
少し躊躇ったものの、そのまま髪撫でても不満の声は上がらなかった。
読んでくれている人がいるとわかるとテンションが爆上がりします。
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何卒、何卒ぉ




