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この世界の評価は如何でしたか?  作者: シロナガスハラミ
第一章.人生に色彩あれ。
38/84

35話.第一目標

今回はあれです。

やりたいことが上手くいかなかったって感じです。

あとちょっと短いです。


もうね、も~って感じです。

 何とか街の中に辿り着いた俺を、最初に出迎えたのは魔法の師匠であるマリウスだった。


「よう!かなり遅かったな。」


 いつものように、遅いと言いながら笑って出迎えくれる姿は、憎らしいが今は安心できた。


「おうしたんえすか。」


 滅多に自分の部屋から出ない師匠が何の用かと、どうしたんですか、そう言うつもりだった。

 オークウォーリアーに折られた顎の骨を無理やり治したせいで、思うように発音出来なかった。


「は?ハハハハッ!なんだお前!よく見れば怪我してんのか?オークにやられたのか?ハハハッ!治してやるからこっちに来い。」


 何やら上機嫌で手招きする師匠に言われるがまま、近づく。

 手で俺の顔抑えて、観察するように左右に振られる。

 師匠はしばらく何かを悩んだ後、諦めたかのように一つため息を吐いた。


「まあ、逆側と同じ感じでいいよな?」


 何の話か一瞬分からなかったが、折れる前の骨の微妙な左右の差を再現することを諦めたようだ。

 左側の骨と同じように、折れた右側の骨を治してくれるのだろう。

 俺がそう理解し頷こうとしたとき、師匠は俺の顎に指を掛けた。


「げぇ!?」


 凄まじい痛みに、ゴキッっという脳に響く音に、顎の折れた部分を無理やり引っ張られ、もう一度折られたのだ。

 思わず変な声が出てしまった。


「終わったぞ、話してみろ。」


 師匠は姿こそ少年のものだが、その言葉遣いや振る舞いは傲慢そのものだ。

 口の左側を釣り上げて、顎でこちらを指す師匠を一睨みして、何度か口を開閉する。


 確かに、痛みも動かしにくいと言った違和感もなくなっている。


「…ありがとうございます。それで、外にいるなんてどうしたんですか。」


 手短に感謝を伝えて、本題に入る。


「アンバーがこっちに来てな。あいつにしては珍しく、何を言っているのかわからないくらいに焦っていて、一人で街の外に出ていきそうな勢いだったんでな。適当に俺が見に行っておいてやるって、言っちまったんだよ。」


 頭を掻きながらまた、ため息を吐く師匠は心底めんどくさそうだ。


「そうなんですか…。」


 アンバーが無事に逃げられたことに安堵しながら、複雑な感情を抱いてしまう。


「まあ、その後も騒ぐから魔法で眠らせておいたがな。適当に言ったこととは言え一応、約束だけは守るために、こうしてお前が帰って来るまで待っててやったってことだ。そのおかげで面白い物が見れたから何でもいいがな。」


 そう言って師匠は、俺が帰って来た時の事を思い出したのか、口元を抑えて笑う。


「ちゃんと命懸けだったんですけど…。」


 普段なら、いつまで笑ってるんだと抗議していただろうが、正直疲れてしまっていてそれどころじゃなかった。

 体はまだ動くが、極限状態の緊張から一気に解放された精神の方が限界だ。


 本音を言うなら、さっさと冒険者ギルドに報告しに行ってから、アンバーの顔を見たら、さっさと寝てしまいたい。


「なんだ?オークウォーリアーが出たぐらいだろう。オークキングも出たとか聞いたが、お前の居た場所とは違うところだろう?」


 オークキングと言う事は、オークウォーリアーよりさらに二段階も進化した個体がいたと言う事だ。

 オークウォーリアーで苦戦した挙句、仕留め損なう俺からすれば、出会えばまず死は免れない相手だろう。


「オークキングまでいたんですか?」


 自分の知らない情報に、思わず質問で返してしまう。


「あぁ、待ってる間に聞こえてきただけの話で、本当かどうかわからないがな。それより、何があったか話せ。」


 街を歩きながら、オークウォーリアーとの戦闘を師匠に伝える。

 正直、師匠が何を聞きたいのか分からないため、上手く伝えられていないことも何となく理解しながら、思い出せる限りのことを伝えた。


「なるほど。まず、オークウォーリアーがお前と同格、ましてや格上なんてことは恐らくない。本来お前ぐらいのマナを宿せる奴なら、オークウォーリアーなんて格下もいいところだ。」


 師匠が俺に何かを教える時は、間違いを訂正する。

 大前提が間違っていないのであれば、訂正されることはない。


 それは、師匠が転生する理由である「魔法を極める」と言うことに関わって来るからだ。


 今回は魔法に分類される話ではないが、魔法の関わっている話ではある。

 そこに何の確信もなく、訂正が来ることなど無いだろう。


「でも、俺が命を取られていても不思議じゃない戦闘でしたよ。」


 それと同時に、俺が戦いながら感じたこともまた、何の理屈もない物じゃないのだ。


「それは、お前がこの世界の一般論、格下ばかり相手することを良しとする、命の危険を極限まで減らそうとする考えに染まっているからだ。」


 そう告げる師匠に対して、俺は黙った。

 俺が経験したことのある世界はこの世界と、前世の世界だけなのだ。

 この世界での一般論もそうだが、前世でも命の危険などそうそうない世界だったのだ。


 だから、正直言って師匠の話はよくわからなかった。


「要は格上、同格との戦闘経験が少ないどころか、無いってことだ。今すぐどうこう出来る物でもないだろうが、これからは意識して受ける依頼を選べ。」


 魔法の話ならここまでの事は言われない。


「わかりました。」


 そう言われるがまま、素直に頷いた。

 本音を言えば、その物言いに一切不満が無いわけではなかった。


 それでも、それ以上にオークウォーリアーとの戦闘は俺の中で何かを変える機会になったのだろう。

 今までは、なんとなく面白い異世界らしい魔法と言うものを楽しんでいた。


 何となく笑って生きていけそうな方向に進んできた。

 師匠と同様に、俺にも転生するだけの目的がある。


 そこにまだ、重みなどは宿っていないかもしれない。

 それでも、俺の中から出た純粋な気持ちだったのだ。


 必要なことが一つ見えた。

 何をするにしても、まず自分が生きていかなければならないのだ。


 その為には。


(強くならないとな…。)

読んでくれている人がいるとわかるとテンションが爆上がりします。


星1でもいいので評価していただければ幸いです。


ブックマークをして頂ければさらに喜びます。




何卒、何卒ぉ

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