24話.王都の舞踏会 前編
まずは、古戦場が悪いということを書いておきます。
すみません。
前編後編に分ける気はなかったんです。
くっそー、三十話までに中ボス入れたいんですよ。
でも、このマリウスのことも詳しくやりたいんですよ。
くっそー
不思議な少年から、空間魔法について教えてもらった日から、俺の中に焦りが生まれていた。
あの少年が何のために、俺に魔法についての知識を語ったのか。
それが分からなかったのだ。
それにも拘わらず、俺は彼の知識を求めていた。
要は、彼が俺のどこに価値を見出したのか分からず、再び会った際に、さらに魔法を教える価値のある人間だ、と思われる成果が欲しかったのだ。
空間魔法に限らず、身体強化魔法や、その他の属性魔法と言える魔法の案も考えた。
フォルクス達と依頼をしながら、そのうちいくつかの案を魔法として試したが、どれも納得いく出来ではなかった。
そうこうしているうちに、舞踏会の日にちを迎えてしまった。
そもそも、十日程度で使える者を生み出そうと言うのは、そもそも無茶だったのかもしれない。
彼の言っていた、「魔力の鎧」の問題点を改善することに、時間を使えばよかったかもしれない。
そんな、しても仕方がない後悔が、ぐるぐると頭の中を廻るなか馬車に乗って、舞踏会の会場に向かう。
途中、ロバートが話しかけて来ていたが、生返事しか出来なかった。
たぶん、初めての大舞台で緊張していると誤解されたことだろう。
会場に到着すると、各々の家をしめす紋章の入った馬車から、子供と保護者が下りていく。
その後、馬車たちは一定の秩序を持った動きで、脇へと掃けていく。
馬車についた小窓から、ギリギリ見えるそんな光景を、ゆったりと進む馬車の中から見ていると、俺達の乗った馬車が停まった。
今までの流れを見るに、俺達の降りる番になったということだろう。
「フランク、降りるよ。準備は出来たかい?」
御者に馬車の内側から少し待つように指示を出し、ロバートは馬車の扉に手を掛けて、こちらを向いてそう言った。
ロバートが言う準備とは、おそらく心の準備的な意味だろう。
「はい、大丈夫です。父上。」
貴族と言うのは、馬車の中では私室や、家の中のような振る舞いを許されているが、一度馬車の扉が開けば、言葉遣いも改めなければならない。
まだ、馬車の扉は閉まったままだが、心の準備も万端であるとロバートに示すために俺はそう言った。
「わかった、じゃあ行こうか。」
ロバートは、俺の言いたいことを理解してくれたのか、少し微笑み扉を開けた。
その後、御者に二人で礼をして、大きな石造のアーチをくぐり、会場の中に入っていく。
(あの門でもなんでもない、アーチはなんなんだ。)
ただの装飾なのだろうか、その割には凄まじい高度まであるように見えたが…。
この世界の技術レベルは、鍛冶師が剣を打っていたり、中世の世界観に相違ない部分と、おそらく魔法が関わっている、転生する際に言われた世界の時代設定にふさわしくない部分がある。
そう言った、魔法が関わっていると思われる部分は、こういう個人的には価値を感じないものにしか使われていない。
(何か、魔法を使って武器を作ったりすると、ダメなことでもあんのか。)
まだ、舞踏会が始まったわけでもないのに、挨拶回りをしないといけない、貴族の風習を煩わしく思いながら、物思いに耽ける。
自分の表情や話していることと、考えていることが違う状態でも、貴族としての振る舞いに問題が無くなったのはいつからだろうか。
この世界に転生してから、貴族のパーティーに参加して、しばらくしてからだったような気がする。
ヴァーミリオン家の家も、天井が高いと思っていたが、この会場はその比ではない。
やたら豪華なシャンデリアのような照明に、豪華な食事、テーブルやそこにかかった布でさえ綺麗に見える。
これほどの規模のパーティーには参加したことがなかったため、挨拶回りの終わりが見えず、辟易していると、入り口の方が今までとは違った騒がしさを持ち始めた。
「マリウス殿よ。」
「魔術塔に篭り切りと聞いていたが…。」
しばらく、成り行きを見守っていると、そんな声が聞こえ始めた。
誰か珍しい人が来たようだ…。
挨拶しに行くべきだろうか、とロバートに視線を送ると、ロバートは微笑みながら首を横に振った。
ロバートに視線を送ったのは、どのタイミングで挨拶に行くかと言う相談をするための前座だったため、ロバートが挨拶をしに行かない選択をしたのは本当に驚いた。
基本的に、挨拶は貴族的なくらいの低い者が、高い者に挨拶に行く。
位の高い者が挨拶しに行くときは、位の低い者が挨拶を忘れていたときだけだ。
次々と人が入ってくる、大規模なパーティーなんかではこれが割と起こる。
位が同等の場合はどちらから挨拶に行ってもいいため、どちらも挨拶に行かない場合は、お互いに忙しくて忘れてしまっていたので、両家とも反省ですねと軽く流される。
政治的に、余程の敵対関係でもない限りお咎めはないが、あまりいい顔のされないミスであることは変わりがない。
この舞踏会の目的は、未来の貴族社会を担う子供たちの顔合わせだ。
故に貴族と言えど、継承権のない騎士は参加していない。
つまり、我がヴァーミリオン家のような、男爵位の家はこの舞踏会に参加する者の中では最も身分が低く、とりあえず目についた者に挨拶しに行けば問題がないはずなのだ。
周りの貴族達が話題にするほどの人物でありながら、ロバートが挨拶をしに行かなくて良いと判断する人間とは、どんな人間なのだろうという興味がわいた。
どこの貴族も一度、挨拶の手を止めて、ジッと騒ぐ入り口の方を見ている。
徐々に徐々に、人の波が割れるようにして、話題の人物がこちらに近づいてくることがわかる。
「よお!しばらくぶりだな!」
人の波が完全に割れて、自分もその場から退く準備をしていたら、声を掛けられた。
青い髪に、真っ直ぐにこちらを見て、場違いなほど軽く右手を上げながら歩く少年は、俺に空間魔法のことを教えてくれた彼だった。
服装はかなり良い物のように見えるが、ポケットに片手を突っ込む姿はかなり周りの貴族からの不評が出そうだが…。
「お久しぶりです。また会える日を楽しみにしていました。あの時は、名乗らず失礼しました。フランク・ヴァーミリオンと言います。あの時は、助けていただきありがとうございました。」
あの時、確かこの少年は貴族社会は好まないと言っていた気がするが、ここは周りに大勢の貴族がいる。
どう返答するか迷ったが、この少年はきっと柔軟な対応をしてくれるだろうと願いながら、貴族的な挨拶をする。
すると少年は、少しため息を吐きつつ、虫でも払うように手を軽く振った。
「あれは俺が逃がしちまったもんだって言っただろ。それと名前か、俺はマリウスって言う。よろしくな。」
彼がそう発言し、俺はロバートにどうするべきか相談すべくロバートの方を見た。
だが、ロバートは、いやそのほかの今まで騒いでいた貴族達も、こちらに興味を失ったかのように離れていく。
「何をしたんですか?」
そう言った俺の声には、喜色が浮かんでいたことだろう。
また俺の知らない、新しい魔法だろうか。
「空間魔法でも再現できるが、これは人払いの結界と呼ばれてたものだ。」
その後、結界も魔法のではあるけどな、と彼は何かを懐かしむように笑いながら付け足した。
「どういう魔法なんですか。」
その後、しばらく結界魔法について彼に教えてもらった。
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何卒、何卒ぉ




