23話.「魔力の鎧」の問題点
今日の朝たまたまデジモンやってたんで、ボーっと見たんですけど。
ピエモン?みたいな名前のピエロの敵が出てたんですよね。
なんか、自分の信念に忠実で、受け入れ難くても言ったことを守ってくれる悪役っていいなと思いました。
今回は森の入り口ぐらいのところで主人公と、マリウスが話すだけですね。
結局名前出せませんでした。
御免!
「魔力の鎧」を纏ったまま吹き飛ばされ、二度、三度地面にバウンドして、太い木の幹にぶつかることでやっと止まった。
(あ…?)
別に吹き飛ばされた時や、地面や木にぶつかった時の痛みや衝撃で、考えが纏まらない訳ではない。
むしろその逆、痛みや衝撃を一切感じなかった。
つまり、少年が言う空間魔法で俺の「魔力の鎧」を貫いたわけではなく、「魔力の鎧」が機能したままで吹き飛ばす方法が有ると言うことだ。
正直、魔法も剣もありあらゆるものを防ぐ「魔力の鎧」は無敵の防具だと思っていた。
それが容易く、初見で攻略された。
もっとも、その「魔力の鎧」も空間魔法の一部だと少年は言っていた。
俺より魔法についての知識が明らかに豊富な少年にとって、本当に初見だったとは思えないが…。
「いってぇ…。」
特に痛みがあったわけではないが、立ち上がる掛け声としてそう呟いた。
吹き飛ばされたことで乱れた衣服を、軽く手で直してから、文句の一つでも言ってやろうと少年の方を見る。
「離して!あいつを…!どいてよ!」
(えぇ…。)
しかし、少年より先に恐ろしい表情をしたアディルスティが、短剣を振り上げた状態で、フォルクスに捕まっているところが、目に入ってしまった。
恐らく、俺が吹き飛ばされたことで怒ってくれているのだろう。
だが、大怪我どころか、完全に無傷な俺は、彼女よりも危機感がないのか、何よりも人が本気で怒った時の表情にドン引きしていた。
ダニエルはどうしているのかと視線を向けると、こちらも槍を構えて戦闘態勢ではあったが、俺が無傷なことに途中で気付いたようで、どうするべきか迷っているように少年を睨み付けながら、こちらにチラチラと視線を送っていた。
俺が笑顔で手で落ち着くようにジェスチャーを送ると、訝しむように眉を寄せながら戦闘態勢を解いた。
それでも、槍から手を離さず、少年を見続けているのは、少年を信頼していないと示すためだろう。
「俺は大丈夫だから、アディルスティも落ち着いて。」
極力明るく大きい声を意識して、アディルスティとフォルクスに無事を伝える。
なんとか理解してもらえたのか、アディルスティは短剣を持った手をゆっくりと下ろしてくれた。
後は、フォルクスに任せて、俺は少年に向き直る。
「急に何するんですか。」
俺がそう言うと、俺と同様アディルスティの表情に引いていた少年は、一瞬笑い、真面目な表情でこちらを見る。
「あぁ、まだ軽く見ただけで分かった部分、お前の魔法の問題点の三つを示したかっただけだ。」
まず一つ、と少年は指を人差し指を立てて説明を始める。
「さっきも言ったが。お前の魔法は、空間を削る、あるいは消すことで物質や魔法、エネルギーの行き来を制限している状態だ。他の空間魔法の使い手が、空間を拡張する要領でお前が消した空間を継ぎ足せば、そこから攻撃を通される。」
空間の拡張やら、空間を消すだのはわからないが、空間を継ぎ足すと言うのは、少年が放った針のような魔法のことだろう。
いつの間にか、その針も消えてしまっているが、少年が消したのだろうか。
「二つ目は、お前が蹴飛ばされたことだ。その魔法はお前のダメージになるようなものは遮断してくれるだろう。だが、例えばお前が振るった剣を、俺が剣で受け止めることも受け流したり、弾くことも出来るだろう。」
どうやら俺が吹っ飛んだのは、蹴飛ばされたことが原因のようだ。
実際「魔力の鎧」を纏ったまま、剣を振ったことは少ない。
正直、家庭教師と「魔力の鎧」の検証をしている時ぐらいだ。
だが、彼の言う通り「魔力の鎧」を纏ったまま振るった剣でも、相手に弾かれることはあるだろう。
俺の剣の腕はとても褒められたものではないし…。
俺は無言で彼の言葉に頷いた。
「その時、弾かれた剣に引っ張られた腕は、相手によって動かされたことになる。その魔法はお前の動きを一切制限しないものだ。それ故に、お前が持つ物を使うか、お前の体が一回り大きくなったものとして、消した空間ごと掴んで投げると、お前を吹っ飛ばすことは出来る。」
どういう理屈だ…?
物を使う方は何となくわかるが、消した空間を掴むというものが理解できなかった。
(消した空間に触ると言うのが可能なのか?)
だがそういえば、アンバーには頭の触り心地が違うと、半ギレされた。
彼の話し口は、理解している者同士が話す話し方で、知識のない人間に話すときのものじゃないように感じた。
だが、事実ではあるのだろうと、そういうものなのだろうと、今は受け入れることにする。
俺が話の全てを理解しているわけではないと、察しただろう少年は一瞬考えるように右手で顎をさすり、話を続けた。
「…。そして最後に、魔法を展開しながら動くと魔力の消費が上がると言っていたが、吹き飛ばされた時は魔力の消費は上がったか?」
上がっていない…。
そもそも、体が複数回バウンドするほどの速度で動いていたら、魔力が一瞬で底をつくはずだ。
だが、木の幹にぶつかり、体が止まるまで「魔力の鎧」が解除されることはなかった。
「…いいえ。」
何故なのか、その疑問で頭がいっぱいの俺にはそう答えるのが精一杯だった。
「なら、その認識の何かが間違っているということだ。それを見つけて改善しなければ、その魔法は使い道があるとすら言えない。武術に熟達した人間は、掴んだだけで関節を外すくらいはしてくるぞ。」
俺はここに至って、この少年がなぜ俺に魔法のことを教えてくれたのか、と言う疑問を抱いた。
そして、それをそのまま口にすることにした。
「あの、なんでそんなにいろいろと教えてくれたんですか。」
「あ?そんなの決まってんだろ…。」
そこまで言うと少年はちらりとダニエルの方を見た。
「あー、いや。お前達見たところ、貴族の子供がやる舞踏会に参加するために来たんだろう。」
素直に教えてくれそうな雰囲気だったが、何か理由があるのだろうか。
無理やり気味に、話題を変えてきた。
急に話題を振られた、フォルクスとダニエルは言葉ではなく、顔を縦に振ることで答えた。
アディルスティは無言のまま、少年を睨み続けて、返事はしなかった。
「それ、俺も呼ばれちまってるから。それは、その時に話そう。大したこともしないくせに、長いだけの会だしな。時間はある。」
子供の舞踏会は、五歳になった子供が参加するものだ。
この少年の見た目は明らかに、十歳は越えている。
当然、本当に子供だけが参加するわけではない。
この国の王、舞踏会に参加する子供達の親や、国において重要と判断された人が、毎年招待される。
この少年は、王ではない。
見た目から、子供の親とは考えにくいが…。
国の重要人物と言うことだろうか。
「まぁ、今は報告しに行ったり、もう時間ギリギリなんだよ。じゃあな。」
そう言って、少年は空に浮いてどこかへ行ってしまった。
その後、全員で依頼、二回分の薬草を急いで集めて帰った。
怪我がないか、魔法や剣も防げるというのは本当か、など色々聞かれた。
帰り道の途中、笑顔が戻ったと思ったアディルスティが、急に暗い顔になって、あの少年には関わらない方が良いと忠告してきた。
驚いたのは、それにフォルクスが強く賛成したことだ。
人を否定するところ見せたことがない、フォルクスがそう言ったのだ。
意見を訂正するときも、より良い改善策か、二つ以上の案がある場合は、それぞれの利点と欠点を説明して、複合案を出すことの多い人間が明確に人を否定した。
俺は自分で思ったより、やばい人間と関わってしまったのだろうか。
そして、その二人の意見を聞いてもまだ、あの少年に再び会い、話を聞いてみたいと思う自分もまた、おかしいのかもしれない。
読んでくれている人がいるとわかるとテンションが爆上がりします。
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何卒、何卒ぉ




