22話.空間魔法なるもの
新キャラです。
青い髪青い瞳の魔法使いで、今後主人公の師匠になる予定のキャラクターです。
詳しい設定は、三十話までにちょびちょびだしていく感じで行きたいです。
この話で名前出そうと思っていたんですけど、タイミングを逃したので書けませんでした。
次の話で出すつもりなのでもう書いちゃいますけど、名前はマリウスと言います。
もしかしたら、そのうちツイッターとか、生放送か何か始めるかもしれないので、もし始めたら見に来ていただけると幸いです。
「よう!お前、今面白そうなことしようとしてたな。」
目の前から脅威が消えて、安心している俺達に上空から、魔法で浮いていると思われる少年が、声を掛けてくる。
恐らくゴブリンを倒して、俺を助けてくれたのはこの少年なのだろう。
年の頃は十二、三に見えるが、その眼には長い研鑽を積んできた老人のような聡明さと、理性を感じさせた。
だが、その表情は年齢相応の、面白いおもちゃを見つけた時のような、笑みを浮かべている。
「危ないところを助けていただき、ありがとうございます。」
その少年の声にいち早く反応できたのは、やはりフォルクスだった。
ゆっくりと、その高度を下げていく少年の前に立ち感謝の意を伝える。
右手の平を胸につけ、左足を前に出して礼をする。
この国において、目上の人間に対する貴族の礼だった。
フォルクスの家には、王都に訪れた貴族たちが挨拶に来るとダニエル達が言っていた。
この少年はそれ以上の地位の家の貴族なのか、それとも単に仲間の命を救ってくれた、年上の人間に対するものなかは、俺には分からない。
だが、フォルクスが低姿勢取ったのを見て、ダニエル達も遅れて同様の礼をする。
そして、最後に俺が礼をした。
こういった一つの動作、その判断の速さを見ても、俺はこの世界の貴族として、馴染み切っていないのだろうと痛感する。
「…。やめてくれ。俺は貴族の社会には興味がないんだ。見たところ結構いい家の人だろう。そんな人間にその礼をさせたなんて、下手すれば悪評になってしまう。」
高度を下げ切り、地面に足をつけた少年は、本当に迷惑そうに、むしろ少し苛立ったような表情でそう答える。
(本当に貴族が嫌なんだろうけど、そこまで露骨にするとむしろ不評を買うことも多そうだけど…。)
「わかりました。では、改めて一、冒険者として仲間を助けていただき感謝します。」
今度は貴族の礼をやめて、頭を下げる程度にとどめたフォルクスが再度冒険者として、感謝を伝える。
「あぁ、あれは元々俺が逃がしてしまった奴だから気にしなくていい。だが、それで納得できないなら、感謝は受け取っておく。それよりお前だ。」
少年は、フォルクスを一瞥した後、その髪の色と同様の透き通るような青色の瞳で俺をじっと見る。
「なんでしょうか。」
敵対したともとれるほどの、眼力に俺は目を逸らしながら答える。
そんな俺を気にもかけないと言うように、少年は俺の右腕を覗き込むように見る。
その後、訝しむようにこちらを見て、質問を重ねる。
「さっきまで右腕に纏っていた魔法はどうした?」
右腕に纏っていた魔法?
「魔力の鎧」のことだろうか。
「あれは、普段使いできるような性能ではないんですよ。」
俺は少年に、そう説明する。
本来なら教えるようなことでもないのかもしれないが、命の恩人と言える存在でもあるのだから、軽く教えた。
魔法の家庭教師との検証で、「魔力の鎧」を展開しながら一定以上の速度で動くと、体から魔力が吸い取られるかのように、全魔力を食い尽くすことが分かったのだ。
「なるほど…。」
俺の発言を聞いた後、少年は何かを考えるかのように、しばらく右手で顎をさすってそう言った。
フォルクス達は、俺と少年が魔法の話をしていることに気が付いたのか、会話に入る訳にも、その場を離れる訳にもいかず、かなり手持無沙汰の様子だ。
ダニエルに至っては、もはや薬草を集め始めて、当初の目的を達成しようとしていた。
「じゃあ、右腕だけじゃなくて、全身にさっきの魔法を纏うと何か不都合があるのか?」
そう聞く少年の顔は、先ほどまでの楽しそうな表情ではなく、真剣そのものだった。
「全身に纏うことも出来ますけど…。」
それがどうしたのだ、と言う意味を込めて少年を見やる。
「じゃあ、なんでずっと纏ってない?あれで体を覆っておけば、物理攻撃も魔法もある程度防げるだろう。」
その少年の発言に俺は驚いた。
俺に魔法を教えた家庭教師であっても、「魔力の鎧」には火の魔法を爆発させて、俺が説明するまで気付かなかった。
同じく魔法が使えるアンバーも、頭を撫でた時の感触が髪の毛じゃないと、直接触れないとわからなかった。
そして何よりも、この鎧が、物理攻撃にも、魔法にも有効なことには俺自身すら、火の魔法を爆発させるまで気が付かなかった。
だが、この少年は魔法や物理攻撃を当てる訳でもなく、その性質を見抜いた。
「それは…。そうなんですけど、体を覆いながら動くと魔力をバカ食いするんですよ。」
俺は、この少年に少し期待していた。
今まで見たことがない、ゴブリンを攻撃した魔法や空を飛ぶ魔法。
この少年は、俺よりはるかに魔法と言うものを理解しているんじゃないか。
そういう考えが、俺の中に産まれていたからだ。
もしそうなら、俺の欠陥だらけの魔法も、利点だけを残して改良することが出来るのではないかと期待した。
「そうか…、それならまぁ、それでいい。とりあえず、全身に纏ってくれ。」
俺の答えに、少年はなにか期待していた答えではなかったのか、また、顎を右手で摩りながら、今度は少しつまらなそうに言った。
俺としては彼の要求に応じる必要はないのだろうが、何か得られるものがあるかもしれない現状で、害意も感じられない提案に、従わない理由もなかった。
「…、わかりました。」
言われるがままの状況に少し不満を感じながら、少年に答えて、全身に「魔力の鎧」を展開する。
それを見た少年は先程までの、期待外れといった表情から少し驚き、すぐに笑顔になった。
「話しぶりからして、今お前が使っている物が魔法だってイメージすらないんだろう?まず、お前のそれは空間魔法と呼ばれるものの一種だ。」
「魔力の鎧」の展開が完了した俺に、少年が告げる。
少年はそのまま、右手を拳を作るように握る。
その握られた拳には、何も握っていないように見える。
少なくとも視界の、目から入ってくる光という情報ではそう映っている。
だが、俺には握った拳の指の間に、透明な針のような形状をした、何かが確かに在ることが分かった。
彼の様に見ただけで、それがどういった性質のものなのか、というのが分かる訳ではなかった。
それでも、それが「魔力の鎧」と同質のものであると理解した。
「そして、出会ったことがないだろうが、その魔法は同じ空間魔法であれば比較的簡単に貫くことができる。」
そう言いながら、少年は拳を振るい、その透明な何かを投げた。
彼の言葉が正しいなら、投げたというより、魔法を放ったというべきなのだろう。
その結果は、彼が言うように、至近距離で爆発が起ころうと、衝撃や熱を一切通すことのなかった「魔力の鎧」に、彼の放ったその何かが突き刺さっている感覚だけが残った。
例えるなら、部屋の壁に穴が開いてしまったような。
本来密閉されることで完成された空間に、その空間に必要ないものが入るための穴を開けられたようなそんな不快感だった。
「なんですか…?これは…。」
俺は、あまりの不快感に表情を崩しながら、聞く。
「お前のそれは、体の周りの空間を削って、外からの物質やら、エネルギーの行き来を条件を付けて許している状態だ。」
少年はそう説明する。
だが、そんな難しいこと、というか、よくわからないことをしている意識は俺にはない。
「そうなんですか…。」
確かに、体から魔力を引き留めるだけで何故、物理攻撃や魔法を弾けるのかは疑問ではあった。
アンバーに読んでもらった魔法の教本にも、魔法というのは、魔力を用いて物質に影響を与えることを言うと、書いてあった気がする。
その定義からしても、体から離れていく魔力を引き留めることで、剣なんかの物質を弾いたりすることもそうだが。
魔法の家庭教師が言っていた、魔法を防ぐには魔法を用いることが、最も簡単であると言う説明を考えても、「魔力の鎧」がなんらかの魔法であると考えるのは自然であったのかもしれない。
「そして何より。」
彼はさらに何かを告げようと、口を開いたのと同時。
「魔力の鎧」を纏ったままの俺の体が真横に、吹き飛ばされていた。
読んでくれている人がいるとわかるとテンションが爆上がりします。
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何卒、何卒ぉ




